特集 27春夏ビシュウ・マテリアル・エキシビション(1)/秋冬偏重からの脱却へ/春夏の拡大に向けて/イチテキ/岩田健毛織/長大/時田毛織/日本エース/林実業/ヒラノ
2026年04月17日 (金曜日)
尾州ファッションデザインセンター(FDC)は23、24日、東京都渋谷区のウィズハラジュクホールで「27春夏ビシュウ・マテリアル・エキシビション」(BME)を開く。
尾州の産地企業13社が出展し、27春夏向けの新作生地約1100点を展示する。会場中央にはパリのトレンド発信企業、ネリーロディの情報を基に開発した生地も並ぶ。
秋冬型の尾州にとって、春夏向けの拡大は長年の課題だ。特に近年は温暖化の影響で暑い時期が長期化していることを踏まえると、春夏向けは今まで以上に重要性を増していると言える。
現実的に考えるとウールを得意とする尾州で夏向けは難しいとみられる。どうしても綿や合繊素材が選ばれがちだ。となると、春向けをいかに伸ばしていくかがポイントだ。
今回のBMEでは、リネンや綿、シルクのほか、ポリエステルやトリアセテート使いなどが顕著だ。ウールと組み合わせることで、尾州らしさを訴求した企業もある。
スーパー原料などを使ったウールの提案も目立つ。糸が細いためウール100%でも薄地に仕上がり、春夏向けでも使いやすい。上質さや付加価値を求める顧客からの人気は高いようだ。
尾州産地企業の秋冬向け売上高比率は7~8割が多くを占める。秋冬型偏重からの脱却に向けて、BMEでは尾州ならではの春夏提案が見られそうだ。
〈厳選したウール原料で/イチテキ〉
イチテキは厳選したウール原料を使った生地を訴求する。豪州の限られた地域で採れる極細繊維を使用。追跡が容易なほか、ソフトな風合いや豊かなドレープ性を備える。
「ゴールバンヴェロモット」というブランド名で提案する。豪州の東南部にあるゴールバンという地域の牧場から17・5マイクロメートルのウールだけを絞って調達した。ノンミュールシングでRWSの認証もある。
梳毛の72単・72双、80単・80双をレギュラー糸とトップ糸で備蓄する。72双糸を使った平織りもそろえており、春夏向けでは8色を備蓄展開する。
2024年から本格提案しており販売は堅調に推移する。スーツやシャツ、パンツ向けなど幅広い用途に向く。
〈薄地や凹凸感/岩田健毛織〉
岩田健毛織は麻の薄地素材や表面に特徴がある生地を訴求する。得意とするファンシーツイードはカラフルな色彩の生地をそろえた。
昨シーズンから薄地素材の打ち出しを強めてきたが、今回はさらに拡充した。160番手のラミー100%や、綿の細番強撚糸とラミーの組み合わせなどをアピールする。
加工や糸、素材で表面にさまざまな表情を持つ生地もPR。リネンのトップ糸と綿のスラブ糸を複合させた生地はミックス感のある見た目。シワ加工で凹凸のあるリネン・綿混の生地も並べる。
ファンシーツイードはカラフルにこだわった。多種多様な絣糸を使ったほか、羽根モール糸、ラッセル糸、スラブリング糸など豊富な意匠糸を組み合わせた。
〈鮮やかで清涼感を意識/長大〉
長大はスーパー160ウール糸使いで清涼感のある生地を企画した。パステル系の鮮やかな柄で、軽さも表現する。麻の太番手糸使いデニムもそろう。
スーパー160ウール80番Z撚り双糸を使用した平織り生地はなめらかで軽いタッチに仕上がる。ピンク、サックスなど多色使いで多彩なパターンの格子柄の生地がそろう。経糸がスーパー160ウール80番双糸で、緯糸に綿20番単糸で綿・ヘンプの混紡糸を打ち込んだ生地は、ヘンプの節が独特の表情と変化を持たせる。
麻の太番糸の表情を生かしたデニムも開発した。麻12番単糸で綾織りした生地は粗野な表情を醸す。緯糸にリング糸を使用した生地はファンシーな要素が加わる。
〈ウール軸に機能・表情を/時田毛織〉
時田毛織はウール使いを軸に、異素材の組み合わせで機能や表情を持たせた生地を提案する。性別を明確に区別せず、適度にトレンドを反映させる。
経糸がウール、緯糸がリネンのシャンブレーは、リネンの不均一な表情を生かす。ウールとリネンの染色浸透度の差や形状を生かして、ビンテージ調の顔付きに仕上げる。軽量感とサラサラとした触り心地で、夏らしさを演出する。
ウール42%、ポリエステル24%、ナイロン23%、ポリウレタン11%の4者混糸を使用した生地はクリアな表面に仕上がる。シャリ感と適度な伸縮性が両立する。抗菌や遠赤外線効果といった機能も併せ持つ。スポーティーな顔つきで、セットアップ向けにも適する。
〈繊細な表面感持つ生地/日本エース〉
日本エースは差別化糸や染色整理加工にもこだわった、繊細な表面感を持つ生地を提案する。
リネンが持つシャリ感を生かしつつ、自然な柔らかさを付与した平織り生地は、サラサラとした手触りを持つ。リネンとナイロンを撚糸した麻40番手単糸を経糸に、レーヨンにタスラン加工を施して嵩(かさ)高性を持たせた糸を緯糸に使用した平織り生地を開発。リネンの粗野な表情がアクセントになる。
経糸にオーガニックコットンとナイロンを撚糸した綿20単糸、緯糸に細番手シルク紬糸を配してドビーのような織り組織にした生地もそろえる。独特の表面変化と、綿とシルクの染色による色差を生かして、ミックス調に仕上げた。
〈多彩な表情の生地をそろえる/林実業〉
林実業は、多彩な意匠性と表面変化を持たせた生地を紹介する。女性向けのジャケット、ボトムス、スカートなどへの使用を想定している。
さまざまな形状を持つ意匠糸使いのファンシーツイードは、ブルー系の配色にイエローのアクセントを効かせた。オケージョン需要を狙う。ベージュ系の配色で組み立てた、格子柄の絡み織り生地もそろえる。サラサラとした手触りで涼しげな印象を持つ。
桐生産地の希少な織機で作られるカットジャカード生地も披露する。テープ状の糸とストレートな形状の糸が表面化する構造で、表情豊かに仕上がる。
糸の選定から撚糸、製織、整理加工にもこだわり、独自性の強いモノ作りを重視する。
〈トリアセ使いで差別化/ヒラノ〉
ヒラノはトリアセテート使いで差別化を図る。春夏素材として本格的に訴求して4年ほど経つが、着実に販売が進んでおり定着してきた。
トリアセテートにポリステルやポリエステル・レーヨン混、リネン、ポリウレタンなどを組み合わせた。ストライプ柄で楊柳調やミックスカラーなど多彩な見た目や風合いを提案する。ウオッシャブルや防シワなどの機能性を備えた生地もそろえた。
編み地ではトリアセテートやポリエステルを使い、ドライタッチや軽量感を表した。「ボルテックス」で紡績したリネン糸使いの編み地も並べる。麻の素材感を生かしつつ毛羽を抑えた。
用途は織物、編み地ともにジャケットやパンツ、シャツ向けなどが中心だ。





