東レ・繊維事業 成長戦略と構造改革の両輪

2026年04月21日 (火曜日)

 東レは、2026年度(27年3月期)に始動した中期経営課題で繊維事業の成長戦略と構造改革を進める。成長戦略では衣料一貫型ビジネスなどで拡大を図り、構造改革はイタリアのアルカンターラやポリエステル綿混織物で実行する。28年度に事業利益を820億円に高め、投下資本利益率(ROIC)も9%に引き上げる。

 前中経最終25年度の繊維事業の業績は、売上収益と事業利益ともに前年を上回る数字を確保できる見通し。ROICも8%を見込んでいる。産業資材分野の自動車関連が伸び悩んだが、衣料用途の糸・わたからテキスタイル、製品までの一貫ビジネスがけん引役となって全体をカバーした。

 新中経でも衣料用一貫型事業を成長ドライバーに位置付けており、サプライチェーンの面積を広げていく。技術と人を活用しながら東南アジア拠点の原糸や生地をリエンジニアリングするほか、インドを中心に新しいサプライチェーンの構築を進める。

 産業用途では、エアバッグ事業でインドなどのグローバル成長市場での積極拡大と「勝ちパターン」事業基盤強化を図る。人工皮革は、新規用途や環境配慮型などの実施済み設備投資の成果を取り込んでいく。

 人工皮革については、アルカンターラの構造改革にも取り組む。投下資本が大きく、「26年度はコーポレートできっちりとフォローする」(大矢光雄社長)方針。既にある程度の戦略は作っており、「後はしっかりと実行すること」とした。

 販売面では自動車向けの比率を抑え、ラグジュアリーブランドのバッグなどに目を向ける。地域も従来は欧州市場向けが中心だったが、米国や中国市場の需要取り込みを加速する。製造面ではコストダウンなどに力を入れる。

 ポリエステル・綿混織物は、この数年かけて事業規模の適正化などに取り組んできた。同事業はオペレーションが大きく、「技術と人という無形資産も守る必要があるため時間がかかっている」が、中経最終の「28年度で完結できる」との見通しを示した。

 設備投資は全体で4千億~5千億円(3年間累計)を予定している。前中経とは異なり、大型設備投資は少なくなるとしつつ、成長領域にしっかりと資本を投じる。繊維事業もその一つで、全体の20%となる800億~1千億円を予定している。