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生地商社の直近業績/生地減、製品増の傾向が鮮明/アパレルの仕入れ形態が変化

2026年04月21日 (火曜日)

 生地商社各社の直近業績は、生地販売が苦戦するものの、製品が拡大するという傾向が鮮明に表れた。背景には、アパレルなどが「生地ではなく製品で欲しい」という要望を強めていることがある。この傾向を受け、宇仁繊維(大阪市中央区)など「当社は生地しか扱わない」としていた複数の生地商社からも「製品事業への進出も否定しない」「研究を始める」との声が上がり始めた。(吉田武史)

 瀧定名古屋(名古屋市中区)の2026年1月期単体は、売上高が645億円(前期比5・4%増)だった。象徴的だったのは、服地部門が352億円(3%減)と苦戦した一方、アパレル部門は287億円(15・2%増)と大きく伸ばしたことだ。

 スタイレム瀧定大阪(大阪市浪速区)の26年1月期グループ連結は売上高が913億円(前期比7・5%増)だった。内訳は、原料20億100万円(6・9%減)、生地437億円(3・2%減)、衣料製品400億円(21・6%増)、ライフスタイル製品42億6100万円(18・4%増)で、国内向け生地販売が落ち込み、衣料とライフスタイルの両製品が大きく伸びるという瀧定名古屋と同じ傾向が見られた。営業現場の指揮を取る酒向正之副社長は、「日本のアパレルが小売り化やコスト削減を目的に、製品納入を求める声を強めている影響」と、その背景を説明する。

 澤村(同中央区)の上半期(25年10月~26年3月)売上高は、前年同期比8・1%増の67億円だった。生地販売は苦戦したが、製品OEM事業が大手衣料品チェーンからの受注増などで拡大した。春日英一郎社長によると、インナー関連の大口取引先向けでも、以前は生地販売が多かったが、相手の要望によって徐々に製品納入に切り替わっているという。

 今後も「生地ではなく製品納入で」という流れは続くものとみられる。その際に生地商社の強みになるのは、生地からの差別化、付加価値化を提案できる点だ。OEM/ODMのみで生地を持たない商社との違いがそこにある。

 現状は国内アパレルに見られるこの流れだが、海外アパレルからも製品納入の要望が高まる可能性はある。スタイレム瀧定大阪の酒向副社長は、「当社では現状、海外顧客から製品納入を求められるケースは少ない」とする。一方、輸出拡大を喫緊の課題として取り組む八木通商(同)は、「既に海外ブランドからも製品納入の要望が届いており、その対応を進める」として、縫製地の手配を急ピッチで進めている。