春季総合特集Ⅱ(1)/防災・国土強靭化/旭化成アドバンス/帝人フロンティア
2026年04月21日 (火曜日)
〈旭化成アドバンス/布製型枠工法で高いシェア/のり面保護などで注目〉
のり面保護や堤防の越水対策などで用いられる工法の一つに布製型枠がある。高強度の布でできた型枠に流動性コンクリートやモルタルを充填(じゅうてん)して硬化させるため、鋼製型枠や張ブロックなどと比べて軽量で施工性が高い。安心・安全や防災の観点から注目度が高まっている。
その布製型枠工法で高いシェアを誇っているのが旭化成アドバンスだ。「ファブリフォーム」工法として展開し、2025年度(26年3月期)の受注数量は21万平方メートル(前年は20万平方メートル)に達した。価格の適正化にも取り組んだことで、収益面も改善できる見通しだ。
布製型枠工法は、元々は米国で開発された工法で、1970年に旭化成グループが国内で初めて導入した。それ以来50年以上にわたって技術の開発・普及に努め、多くの実績を重ねてきた。現在は、旭化成アドバンス建材本部環境資材事業部の売上高の約半分を占めるまでになった。
同工法は、袋状・マット状に加工された高強度合成繊維(ポリエステルなど)の布製型枠に、流動性コンクリートまたはモルタルをポンプで圧入する。布製型枠が透水性を持ち、混練水の余剰分は注入圧力によって絞り出される。これによって硬化時間を早め、高密度・高強度の硬化体が構築できる。
布製型枠は、設計図に基づいて工場で製作し、従来の現場打ちコンクリートやプレキャストブロック工法と比べて少人数・短時間で施工が可能。災害復旧でも威力を発揮する。水中施工ができ、止水工事などが不要。品質の安定性なども特徴だ。
環境資材事業部では、海外製のポリエステル繊維を用い、日本国内で編み立てと縫製を行う。受注後に実地を計測(採寸)して現場に応じた布製型枠を作る。型枠の販売だけでなく、工事を請けているのが優位性とし、「安全管理や工程管理などの工事機能が高い評価を得ている」と話す。
受注のうち、ため池や調整池、ダム、河川をはじめとする水回り関連が約8割を占め、道路などの補強が2割。今後は、国の「国土強靭(きょうじん)化基本計画」でも注目度が高い河川の護岸整備に伸び代を求める。開発途上国のインフラ整備にも目を向けている。
環境負荷低減の取り組みとして生分解性繊維の活用などを検討するが、「強度が求められるため現状では難しい」とした。ただし、「開発は続ける」。業界へのアピールも課題とし、同社も加盟する布製型枠協会を一般社団法人化し、6月に設立総会を開催する。
〈帝人フロンティア/「まるごと防災」に力/啓発活動や国への提言も〉
帝人フロンティアは、防災用品のパッケージ「まるごと防災」の提案とともに、まるごと防災協議会を立ち上げて防災に関する啓発活動や国への提言に力を入れている。
身の安全と資産の保全に必要な防災用品。まるごと防災は自助の強化を目指す総合防災のプラットフォームで、建物内安全、BCP(事業継続計画)、備蓄、水防対策に対応したさまざまな商品を提案する。
防災機能カーテン「プルシェルター」は、メタ系アラミド繊維とモダクリル繊維を複合し、250℃に達すると消火作用のある不燃性ガスを放出する消火性と、500℃の熱に耐える耐熱性を持つ。外せるカーテンフック「プルック」と組み合わせることで、素早く簡単に取り外すことが可能。消火や避難時の防護衣に使え、小学校や介護施設で採用が進む。
防災毛布「もうたんか」は、ノンハロゲン系防炎剤をポリエステル繊維に練り込んでおり、難燃性に優れる。毛布には穴(取っ手)があり、緊急時に担架として活用できる。
まるごと防災は、協力企業の防災関連製品も扱っており、地震時の什器(じゅうき)類転倒や移動を防止する器具「不動王」シリーズなども好評だ。
まるごと防災を立ち上げた岸本隆久事業開発部主管は「商品単体の機能を伝えるだけでは、災害時にどんな状況が起こり、どんな対応が必要なのかという啓発にまでたどり着けない」とし、まるごと防災協議会を2021年に設立。岸本氏が代表理事を務める。現在10社が加盟し、防災に関する啓発活動や国への提言にも力を入れる。
25年6月には、まるごと防災協議会主催のフォーラムで、今年11月に創設予定の防災庁の設置準備アドバイザー会議や国へ提言書を提出した。
提言は「室内の安全対策」「備蓄対策」「企業の防災対策」の三つ。室内の安全対策では、大地震でけがの大きな原因となっている家具転倒防災対策の制度化や、カーテンなどの生活用品の防災用品化の基準策定などを提言した。備蓄では、トイレや生活用水のスフィア基準(災害や紛争の被災者が尊厳ある生活を営むための人道支援活動における最低基準)の達成を求めた。
防災用品推奨制度も25年に設け、安全性や耐久性、有効性を評価して認定している。
26年は「防災用品の規格がない」中で、同協議会、公的機関、大学・研究機関、メーカーによる評価体制を構築して基準を策定し、防災庁への提案を目指す。BCPの運用、経営層へ改善を含めたBCM(事業継続マネジメント)の浸透も図る。





