追悼/ハネクトーン早川 会長 早川 明男 氏/信頼と誇りをまとう信念貫く
2026年04月22日 (水曜日)
ハネクトーン早川(東京都千代田区)の早川明男会長が2日、逝去した。創業者の早川又吉氏の後を継ぎ、1969年に2代目社長に就任。約40年にわたり同社のかじ取りを担った。
祖業である学校用ネクタイからユニフォームに事業を拡大していた71年に、東レを通じて米国のアンジェリカと提携を結ぶ。アンジェリカはかつて全米最大規模を誇ったユニフォームメーカーで、医療、サービス、工場用白衣を主力としていた。
企業で働く女性の多くがスモックを着ていた時代、ハネクトーン早川は最新のユニフォームを紹介して注目を集め、さらに技術やデザインを自家薬籠中の物に昇華させていく。
東京・岩本町に地上6階建ての営業本社ビルを竣工(しゅんこう)し、74年に現社名に変更。工場の増設や物流強化など、メーカーとしての機能も強化した。オイルショックやバブル崩壊などの危機を越え、会社を成長させていく経緯は、2020年発刊の90周年記念史「緑の風」に詳しい。ページをめくると、時代の変化を読む先見性と、モノ作りへの誠実な姿勢、従業員を大切にする気遣いが随所にうかがえる。
取材では、ネクタイメーカーのトップらしい端然としたたたずまいが第一印象。親子ほど年の離れた記者に、いつも丁寧に対応していただいた。「ネクタイとユニフォームはただの衣服ではなく、信頼や誇りを象徴するもの」。穏やかさの中に、揺るがない信念がにじんだ。
10年に長男の智久氏へ社長を託し、自身は会長に就任。3代にわたる功績が評価され、同社は13年、まちみらい千代田が主催する「千代田ビジネス大賞」で優秀老舗部門を受賞した。「『じいさんと私とおまえの3人で取った賞だ』と喜んでくれた」と、早川智久社長は振り返る。バトンは次代にしっかり受け継がれた。
ご冥福を心よりお祈り申し上げます。(周)





