春季総合特集Ⅲ(3)/Topインタビュー/旭化成アドバンス/社長 春見 恵司 氏/国土強靭化などに可能性/利益を積み上げ新体制へ

2026年04月22日 (水曜日)

 旭化成アドバンスは、2026年度(27年3月期)の基本方針に利益の着実な拡大を挙げる。10月には帝人フロンティアとの経営統合を控え、春見恵司社長は「新体制への移行に向けて立てた予算にしっかりと取り組む」考えを示す。先行きの不透明感は強いが、これまでに実施した投資の刈り取りなどで利益を積み上げていく。

――26年度の経済で最も期待している分野は。

 高市首相は、重点投資対象として「17の戦略分野」を公表しました。この中では、防災・国土強靭(きょうじん)化が当社の持つ技術と合致します。布製型枠工法とも呼ばれるファブリフォームが防災や災害復旧で実績を上げています。人手が少なくて済み、工期の短縮や経済性にも優れた効果を発揮します。

 当社の事業とは直接の関係はありませんが、人工知能(AI)やロボットなども期待ができる分野かもしれません。将来的な話ですが、フィルター技術がレアアースの取り出しに活用できる可能性があります。また、センシング技術を生かすことも考えられます。

――25年度が終了しました。業績の推移は。

 繊維事業は、利益が前年を上回る見通しです。スポーツ・アウトドア分野が好調に推移し、キュプラ繊維「ベンベルグ」の裏地も休止品番の復活などから順調でした。一方でアセテートはトレンドの変化もあって計画に届かない見込みです。不織布はトランプ関税の影響が北米向けで出ました。

 繊維以外の事業では、廃プラスチックのリサイクルが計画に届かず、建材では高品質断熱材の販売は拡大しましたが、全体では予算未達となりそうです。比較的順調だったのが、環境資材事業部が展開しているファブリフォームです。九州を中心に受注を獲得することができました。

 全体では、売上総利益が前年と比べて拡大していますが、固定費も上昇していますので、営業利益は前年並みの予想です。24年度は過去最高益でしたので、それを更新する計画だったのですが、中東情勢の悪化で読めなくなりました。中東向けの輸出で船便のキャンセルなどの影響が出ました。

――26年度に入りました。事業環境をどう見ていますか。

 中東情勢によって不透明感が増しています。ある程度落ち着けば25年度から取り組んできたベトナムでのエアバッグ縫製やインドでのエアバッグ包材が利益に貢献してくれると考えています。エアバッグ包材の生産は今年の3月に立ち上がり、第1回の納入も始まっています。

 エアバッグ包材が本格化するインドは、個人的な感覚ですが可能性を感じています。エアバッグ包材以外の自動車関連や医薬品の原料、電池回りなどの他の領域にも期待できると考えています。出張ベースが中心になりますが、情報取集を図っていきます。

――10月には経営統合が控えます。

 当社はスポーツ・アウトドア分野を得意としていますが、帝人フロンティアの販路を使うことで拡販の余地が大きくなると考えています。エアバッグ関連も同様の可能性があり、トータルのサプライチェーンをどのように構築するのかがポイントの一つになるでしょう。

 旭化成アドバンスは、親会社である旭化成と機能分担を図り、独自商材を加えながら川中・川下のビジネスに取り組んできました。旭化成との関係性が一番の強みであると言え、この部分に関しては経営統合・新会社発足後も変わることはありません。

――10月までの半年間、何に重点を置いて事業に当たりますか。

 予算は、半年ではなく、年間で立てています。営業利益は25年度とほぼ同じ水準ですが、過去最高益を更新する計画です。立てた予算に対してしっかりと取り組んで新体制を迎えることが第一であると考えています。

 販売面では、国内は特定ブランド向けの生地が好調を持続するとみていますので、産地(協力工場)の生産能力増強は検討していきたいと思っています。樹脂化学品は独自性のある商材を伸ばしていきます。建築資材では工事ができるという強みを発揮していきます。

〈私のちょっとしたストレス解消法/膝に猫を乗せながら〉

 「5、6年前から保護猫を1匹飼っている」と話す春見さん。家で猫を膝に乗せながら、ユーチューブで猫の動画を見ているとストレス解消になるのだとか。「なでようとすると嫌がったり、そうかと思えば甘えてきたりと行動に想像が追い付かない。飼ってからその奥深さを知った」と表情を和らげる。元々は犬派だったというが、今ではすっかり猫派になり、「時間に余裕ができれば保護猫活動にも参加したい」と語った。

【略歴】

 かすみ・けいじ 1986年旭化成商事サービス(現旭化成アドバンス)入社。2015年旭化成アドバンス理事、20年同執行役員、23年同取締役常務執行役員樹脂化学品本部長、24年取締役専務執行役員樹脂化学品本部長兼プラネットフレンドリー推進室長などを経て、25年4月代表取締役社長