春季総合特集Ⅳ(4)/Topインタビュー/スタイレム瀧定大阪/社長 瀧 隆太 氏/製販両面でグローバル戦略/製品事業の拡大が顕著
2026年04月23日 (木曜日)
スタイレム瀧定大阪(大阪市浪速区)の2026年1月期は、市況が芳しくない中でも前期比増収増益を果たした。最大分母の国内向け生地販売が減収となり、輸出も横ばいだったが、製品事業が大きく伸びた。顧客の仕入れ形態の変化に対応した結果だ。「(日本を含む)世界で作り(日本を含む)世界に売っていく」ために国内外でさらに強力なサプライチェーンを作っていく。
――26年度で最も期待している分野は。
当社は「世界で作り世界に売っていく」をスローガンにグローバル事業の拡大に取り組んでおり、そこに期待もしています。そうした中で起こってしまったのがイラン戦争です。当然、経営環境の悪化が懸念されますが、環境としてはこれまでが良すぎたのだと捉えることもできます。絶望し悲観に明け暮れていても仕方がない。これが現実なんだと受け止めて、粛々と事業を進めていくしかありません。
具体的には、モノ作りのサプライチェーンとマーケットの複線化、多様化です。国内生産を基盤にすることに変わりはありませんが、生地生産における日本への依存度の高さ、縫製における中国への依存度の高さはリスクでもあると捉えるべき。複線化、多様化という観点で、世界で作って世界に売っていくという機能を改めて強化していく必要性を感じています。
特に欧州市場向けではサステイナブルなサプライチェーンの構築が必須です。それを強く意識していきます。
――原料供給にも影響が出てきそうです。
重油を多く使う加工場やナフサを原料とする合成繊維など心配は尽きません。先が読めない情勢ですが、いかなる事態をも想定しておくことが肝要でしょう。
――日本生産が基盤であることに変わりはない。
なぜ海外ブランドが日本製の生地を買うのか。この意味を常に考えながら、メード・イン・ジャパンの価値を訴求していきます。良いものを安く、ではなく、オンリーワンの価値を適切な価格でしっかりと世界に訴求していくことが当社の役目だと考えています。
――26年1月期は。
グループ連結は、売上高が913億円(前期比7・5%増)、売上総利益が183億円(6・5%増)、営業利益が51億1400万円(2・2%増)の増収増益でした。
品目別では、原料が20億100万円(6・9%減)、生地が437億円(3・2%減)と落ち込みましたが、衣料製品が400億円(21・6%増)、ライフスタイル製品が42億6100万円(18・4%増)、その他が13億4100万円(14・7%増)でした。
――近年は国内向け生地販売が苦戦し、製品が拡大する傾向です。
国内向け生地販売の苦戦は、アパレルメーカーなど顧客が仕入れ形態を変化させてきたことが主な要因です。「生地ではなく製品で」という要望が高まっており、それが当期業績にも表れました。製品事業で伸ばせたのは、この顧客の仕入れ形態の変化に対応できた成果だと言えます。
――海外市場向けは。
輸出は全体として横ばいです。前期比で言えば中国向けは増収、北米向けは横ばい、欧州向けは減収でした。
――東京・大阪の両本社制を導入し、東京に人員を集中させました。
まだ半年程度なので結果うんぬんの段階ではありませんが、狙い通り進展しているとみています。狙いとは、主要顧客であるアパレルやSPAが集積する東京で顧客との距離感を縮めることです。この進展を感じますし、社内的にも生地部門と製品部門の連携が活発化しています。当社の強みは生地開発の独自性ですので、製品納入が増えていったとしても、そこで差別化、付加価値化を図ります。
――新たな中期経営計画を策定しました。
前中計では新型コロナウイルス禍後の成長を描き、数字の面ではしっかり達成できました。新中計では数字にはあまりこだわりません。優先するのは国内外で強力なサプライチェーンを築き、それを世界に売っていくこと。当社事業の広がりが世のためになるよう意識しながら、運営していきます。
〈私のちょっとしたストレス解消法/質のいい睡眠を求めて〉
「質のいい睡眠が取れた時」と瀧さん。寝つきが悪く、眠りも浅いタイプで、「深く眠れた」と感じることはめったにないそう。成人男性の理想の睡眠時間とされる7時間眠れることもまずないが、まれに訪れる質のいい睡眠にはストレス解消を感じる。質のいい深い眠りを得るにはどうすればいいのか……。最適解はまだ見つけていないが、社業と同様、「改めて準備をしっかりしていきます」と真面目さをのぞかせる瀧さんだ。
【略歴】
たき・りゅうた 1999年ソニー入社。2007年瀧定大阪入社。08年4月から瀧定大阪社長。18年4月から兼スタイレム会長。瀧定大阪とスタイレムの吸収合併・社名変更に伴い21年2月からスタイレム瀧定大阪社長





