春季総合特集Ⅳ(13)/Topインタビュー/カケンテストセンター/理事長 眞鍋 隆 氏/サステや国際化を追い風に/顧客に寄り添うパートナーへ
2026年04月23日 (木曜日)
カケンテストセンター(カケン)は、2026年度(27年3月期)が初年度の中期経営計画を始動した。28年度の創立80周年を通過点と捉え、30年度をターゲットとする5カ年計画とした。収益の拡大や女性活躍の推進などを柱に事業を進める。眞鍋隆理事長は「マイナスの課題はない」とし、「顧客と共に考えるカケンを目指す」と強調する。
――26年度で最も期待している分野は。そこにどのように関わっていきますか。
地政学リスクが高まる中、安易に「期待できる」とは言えないのですが、大きくは三つあると考えています。初めの一つは、サステイナビリティーに対する動きです。二つ目は、アジアを軸とする産業の国際展開です。最後の一つは、安心・安全を含めた消費生活の質の向上です。
サステイナビリティーは、カケンにとってライフサイクルアセスメント(LCA)の算定や化石燃料から非化石燃料に転換するグリーントランスフォーメーション(GX)に関連するソフト面の事業につながる分野です。繊維産業の監査要求事項・評価基準「JASTI」監査を含めた人権にも関わります。
次に産業の国際展開ですが、企業が海外に進出するには法規制を知っておく必要があります。当社はさまざまな国の法規制に関する情報を持ち、顧客が必要とする情報を提供することが可能です。三つ目の消費生活の質の向上ですが、安心・安全の観点から化学物質分析や暑熱対策に関する試験などが増加しています。
――25年度を振り返ると。
国内外ともに堅調な動きを見せ、増収増益で推移しています。環境や安心・安全に関連する試験依頼が増えています。その中でも酷暑化を背景に遮熱や紫外線遮蔽(しゃへい)といった「身の安全を守る」機能性に対する試験依頼の拡大が目立っています。人権デューディリジェンスに関連する監査も支えになりました。
国内は、特に東京事業所が良好でした。地方の企業が事務所や拠点を設けており、距離が近くなったことが理由と分析しています。海外は国・地域でバラつきはありますが、全体としては安定しています。24年10月に始動したMTVカケンベトナムはプラン通りに推移し、バングラデシュも順調です。
――25年度は中計の最終年度でした。
「お客様を大切にする」「従業員を大切にする」「社会を大切にする」という経営目標(ビジョン)を掲げました。この3年間は顧客に寄り添った施策を進めることができたと考えています。MTVカケンベトナムや東京の北参道オフィスの開設も顧客の利便性向上の一環です。
従業員向けの「カケンアカデミー」の開催、JASTI監査の実施などにも取り組みました。やるべきことを予定通りに進められた3年間になり、特にやり残したことはありません。二酸化炭素排出量の削減は想定ほどではなかったのですが、継続的に取り組んでいきます。
――26年度は新しい中計の初年度になります。
前中計は3カ年でしたが、新中計は30年度までの5カ年計画とします。1948年創立のカケンは、28年度に80周年を迎えますが、100年企業に向けた通過点と考えています。新中計では、収益の拡大、デジタル技術で企業を変革するDX、女性活躍の推進、学びの機会の創出の四つを柱とします。
収益面では、サステイナブル経営の支援といったソフト面の事業を含めた新規ビジネスで30年までに売上高5億円を目指しています。DXでは正確性や生産性の向上を図ります。女性活躍の推進では、女性管理職比率を35%以上(24年実績18・4%)に高めます。学びの機会では、研修を増やします。
――課題はありますか。
マイナスの課題はないと思っています。顧客の未来の課題を予測し、解決策を一緒に考えるパートナーへの成長を目指します。
そのためには足腰を強くし、能力や知識を高めていくことが重要です。さまざまな変化が予想されますが、そうした変化にもきちんと対応していきます。
〈私のちょっとしたストレス解消法/繊維が好き〉
眞鍋さんは「普段からストレスを感じない」とし、「ストレス解消を意識したことがない」と話す。繊維に関連する美術展に行く機会は多いが、それもストレス解消のためではなく、「単純に繊維が好きだから」と語る。宮脇綾子さんや塩田千春さんらの名前を挙げ、作品の特徴や良さを説明してくれた。繊維が好きになったのは、15年ほど前に染織家の志村ふくみさんの作品を見たのがきっかけだった。その奥深さに魅了されたと振り返る。
【略歴】
まなべ・たかし 2003年経済産業省化学課長、05年NEDO総務部長、08年産業技術総合研究所理事、09年経済産業省大臣官房審議官、10年全国中小企業団体中央会専務理事、16年タクマ常務執行役員などを経て、23年10月カケンテストセンター理事長就任





