春季総合特集Ⅴ(3)/菅公学生服/社長 尾﨑 茂 氏/さまざまな分野で生産性向上/包括的な教育支援にも力

2026年04月24日 (金曜日)

 菅公学生服は、国内に19の生産拠点を持ち、強靭(きょうじん)な生産体制を敷く。モデルチェンジ(MC)に伴うブレザー化にも柔軟に対応するなど付加価値の高いモノ作りを実現して、2026年の入学商戦も納品が順調だった。非認知能力や対話、スポーツなどのさまざまな角度から包括的に、学校教育の支援にも力を注ぐ。

――26年度の経済で最も期待している分野は。

 人工知能(AI)を積極的に導入して、事務作業の生産性向上などに活用しています。AIに関わる社員研修を頻繁に実施して、さまざまな分野で生産性を向上させるために活用できる体制を目指します。

 共に働く従業員たちに「新たな働き方に変わっていかなければならない」という呼び掛けを続けていきます。

――中東情勢の影響で、さらなるインフレが予測されます。

 AIを活用して生産性の向上を図っていますが、アパレル業界のあらゆる段階で、既に限界に近い水準で経費節減が進んでいます。

 25年の入学商戦で価格改定をした際に積み残した継続交渉はありますが、26年の入学商戦では大きな値上げはしませんでした。今後も原価高騰が続くようであれば、再び価格改定をしていく必要も出てくるかもしれません。

――26年の入学商戦はいかがでしたか。

 納品は、おおむね順調に推移しました。ただし、岡山県下の学校では例年通り入学説明会の開催が遅く、納品が慌ただしくなりました。教育委員会などに説明会を前倒しできないか、協力を仰ぎたいです。

――昨年、倉敷工場(岡山県倉敷市)の敷地内に新生産本部棟の「シラウメベース」が竣工(しゅんこう)しました。

 シラウメベースを、当社の技術が集積する場所にしたいと考えています。品質基準の平準化に加え、新しい素材や型紙などの分析にも取り組みます。自動機やロボットも導入していきたい。

 ファクトリーブランドの生産や、官公庁ユニフォームのOEMを受ける工場としても活用します。このほど、ライフスタイルアクセント(熊本市)が運営する「ファクトリエ」と協業したファクトリーブランドを発売しました。

――引き続き高い水準でMCが進んでいます。

 27年春商戦は、4月に新規注文を締め切り、早期対応に注力します。MCで共通仕様の多い詰襟からブレザーへの移行が鮮明になっています。可能な限り定番型のブレザーを提案していますが、相手のあることなので柔軟に対応しています。

 当社は国内に四つの基幹工場と15の衛星工場を持つ、強靭な国内生産体制を敷いています。さらに7月には、シャツが主力の米子工場(鳥取県米子市)の隣接地に増設する、ブレザーやスラックスを生産する新工場が竣工します。

 国内工場を持つ強みを生かして、ポケットの形状など異なる仕様があるブレザーであっても、これまで通り対応します。

――包括的な学校教育への支援に尽力されています。

 昨年12月に、一般財団法人「対話による教育実施センター(CoDE)」を設立しました。「対話を通じた学びと関係性の深化」を使命とし、教育や社会における新たな価値を創出することを目指しています。全国の高校で必修科目になった探求学習の元となるのが、対話だと考えています。対話の持つ可能性を教育現場のみならず、地域や企業といった幅広い場に広げ、「対話の文化」を根付かせたい。

 スポーツを通じた地域貢献として昨年、公益財団法人日本中学校体育連盟と包括連携協定を結びました。民間企業の知見を生かした大会運営の支援や環境整備を連携で、教員の負担軽減と大会運営改革を目指します。

 グループ会社のカンコーマナボネクト(岡山市)では、主体性や協調性などの非認知能力の育成を軸に、学校の授業支援やキャリア教育プログラムの提供、教材開発、教員研修などを通じて、生徒が自分らしい未来を切り開く支援をしています。

〈私のちょっとしたストレス解消法/犬の散歩〉

 グループ全体で3千人を超える社員を抱える企業の社長を務めるとともに、児島商工会議所会頭などの公職も務めている尾﨑さん。さまざまな重圧を受けることが想像に難くないが、「ストレスはあまり感じない」と言う。そんな尾﨑さんは、私生活ではスマートフォンに愛犬の写真を貼っているほどに大の犬好き。朝晩の犬の散歩がルーティンとなっているそうで、「毎日8千歩程度は歩く」。適度な運動こそがストレス耐性を強める秘訣(ひけつ)なのかもしれない。

【略歴】

 おざき・しげる 1998年尾崎商事(現・菅公学生服)入社。2001年取締役、03年専務。06年から社長