診 先高?先安?
2026年04月28日 (火曜日)
〈ポリエステル長繊維/各社とも緊急値上げ/中東情勢で状況一変〉
ポリエステル長繊維の荷動きは、2026年初頭こそ安定的に推移していたが、中東情勢の悪化で3月後半から状況が一変した。原油・ナフサ価格の高騰を受け、合繊メーカー各社も緊急値上げに踏み切った。今後の情勢も不透明感が強まる。
ポリエステル長繊維は1~3月まで比較的落ち着いた市況が続いていた。SPA向けはやや一服感があったものの、そのほかの一般衣料用途が順調な荷動きとなり、高密度織物向けも堅調。産業資材分野は車両用途が昨年後半からの回復傾向を維持していた。
ところが3月後半から状況が一変する。米国とイスラエルによるイラン攻撃と、イランによるペルシャ湾ホルムズ海峡封鎖で中東からの原油供給がストップし、急激な原油・ナフサ高騰が続いている。
このため合繊メーカー各社とも緊急値上げに踏み切った。東レは4月出荷分から1キロ当たり50円以上、帝人フロンティアも7日出荷分から20%以上の値上げを実施した。原燃料に加えて、原油・ナフサ由来素材を使った梱包(こんぽう)資材や油剤などの価格も急騰している影響も大きいとみられる。
今後の見通しにも不透明感が強まる。懸念される原料調達に関しては合繊メーカーも6月分までは確保できているもようだ。ただ、7月以降に関しては原料メーカーからの確約を得られない状態。また、今後の原油・ナフサ価格の動向によっては、追加の値上げも検討せざるを得ないとしている。
需要面への影響も懸念される。糸値上昇や今後の供給不安を背景に、需要家も積極的な生産計画を立てづらくなっているためだ。中東情勢が合繊市況に暗い影を落としている。
〈ポリエステル短繊維/価格上昇の影響懸念/中東情勢悪化で先行き不安〉
ポリエステル短繊維の荷動きは、3月半ばまでは比較的堅調に推移していたが、中東情勢悪化によって環境が一変した。原油・ナフサ高騰を受けて合繊各社とも緊急値上げに踏み切ったが、わた値の上昇が今後の需要にどう影響するか懸念も高まっている。
1~3月までポリエステル短繊維の荷動きは比較的堅調に推移していた。特に不織布用が安定している。一服感のあった生活資材用途も回復基調となり、コスメティックやメディカルといった用途も堅調。車両用も大きな伸びはないものの、安定している。紡績用も資材用途を中心に底堅い需要が続いた。
ところが米国とイスラエルによるイラン攻撃とイランによるペルシャ湾ホルムズ海峡封鎖によって事情が一変した。中東からの原油供給が制限されたことで原油・ナフサ価格が急騰。このため合繊各社とも緊急値上げせざるを得なくなった。
東レは4月出荷分から1キロ当たり50円以上、帝人フロンティアは7日出荷分から20%以上の値上げに踏み切った。クラレも20日出荷分から1キロ当たり150円の値上げを実施する。原燃料価格の上昇に加えて、原油・ナフサ由来の梱包(こんぽう)資材や油剤なども高騰していることの影響も大きい。
このため4月以降の見通しも不透明感が強まる。原料調達に関しては各社とも5月分までは確保できているもようだが、それ以降に関しては原料メーカーも即答できない状態だ。また、需要に関しては資材用途などは当面は現状維持となるとの見方が強いが、寝装や詰めわた用途はわた値上昇で輸入わたとの価格差が一段と広がることになり、競争激化への懸念が高まっている。
〈綿織物/綿花高が押し上げ/実需不振も投機筋要因か〉
綿織物相場が上昇している。綿花価格の高騰によって押し上げられた。商社によると、投機マネーの流入が要因とみられるため、「需要は付いていない」と指摘。中東情勢による原油高などもあり、国内でのモノ作りは厳しさを増す。
ニューヨーク綿花定期相場は期近物が1ポンド当たり80セント前後で推移する。3月初旬は60セント台前半だったが、その後は右肩上がりで上昇した。不安定な中東情勢で宙に浮いた投機マネーが流入したもよう。商社によると、並行して綿織物の価格も上昇基調にある。
一方で、綿織物の国内需要は低迷が続いたままだ。切り売り向けは売り場面積の減少で不振が継続。寝装向けも国内で加工や縫製を手掛ける工場が減っており、商況は芳しくない。商社は「ただでさえ動いていないのに値段だけ高くなっている」とこぼす。
商社の話では、一部で染色整理加工の「駆け込み需要」があるようだ。中東情勢で原油が高騰する中で、国内の染工場が加工料金を引き上げる前に生機を投入するという動きだ。実際の商売向けではなく、備蓄品に回されるケースが多いとみられる。
今後も綿織物の需要は不振が続きそう。春夏の衣料向けはほぼ商売が終了し、これからは綿にとって裏シーズンに入る。資材向けの商況も不透明だ。さまざまなモノの値段が上昇する中で、繊維製品購入への消費者の目線も厳しい。
中東情勢の影響で国内でのモノ作りは難しくなりそう。染工場はエネルギー費高騰にさらされるほか、燃料の供給が滞り稼働停止を余儀なくされるケースもある。
〈アクリル短繊維/原料高騰で値上げ続く/他素材と競争激化懸念〉
アクリル短繊維の荷動きは、需要端境期ということもあり、1~3月は比較的おとなしい荷動きが続いていた。ところが3月に入ると中東情勢の悪化によって原料のアクリルニトリル(AN)価格が高騰したことで各社とも緊急値上げに動かざるを得なくなっている。ただ、値上げによって他素材との価格差が一段と開いており、競争激化への懸念が高まる。
1~3月のアクリル短繊維の市況は、SPA向けインナー用途などが比較的安定しているものの、需要端境期ということもあってセーターや靴下、手芸糸などはいずれも大きな動きがない。資材用途はフィルターやブレーキ・クラッチ摩擦材の添加材、電池材などが堅調に推移していた。
ところが米国とイスラエルによるイラン攻撃とイランによるホルムズ海峡封鎖によって原油供給が制限されたことで状況が一変した。原油・ナフサ価格の急騰によってアクリル繊維の原料であるANの価格も高騰している。このため東レは4月出荷分から1キロ当たり110円以上の大幅値上げを実施。日本エクスラン工業も3月末から需要家に対して価格改定を通知した。
このため先行きも不透明だ。懸念される原料供給に関して合繊メーカーは5月分までは確保できているもようだが、その後の供給について原料メーカーも確約できない状態となっている。
また、今回の値上げによってポリエステル短繊維など他素材との価格差が一段と広がった。このため他素材に代替される懸念が高まる。元々市況に勢いがなかったアクリル短繊維だが、中東情勢の悪化によって一段と厳しい状況となることへの懸念が高まる。





