ITA 次世代繊維を発信
2026年04月30日 (木曜日)
ドイツのアーヘン工科大学繊維技術研究所(ITA)グループは、持続可能性と高機能を両立する次世代繊維技術の確立に取り組んでいる。21~24日にドイツ・フランクフルトで開催された産業用繊維・不織布国際見本市「テクテキスタイル」で、藻類や菌類を活用したバイオ素材、外部刺激に応答する4Dテキスタイル、油水分離機能を持つバイオニック繊維などを発信し、脱石油と循環型産業への転換を示した。
温度や湿度、光などに応じて形状や機能が変化する4Dテキスタイルは、形状記憶ポリマーや吸湿性繊維を組み合わせた技術。衣料の温度調整やソフトロボット、医療分野への応用が期待され、繊維を応答型システムへ進化させる中核技術と位置付ける。
藻類由来の「AlgaeTex」(アルジーテックス)は、熱可塑性バイオポリマーとして繊維用途への展開を図る。藻類は成長が速くCO2吸収効率が高いほか、農地や農薬への依存が少なく、石油代替資源として有望で、スポーツシューズや衣料用途を見込む。
菌類由来の「Fungal Fibers」(ファンガルファイバーズ)は、キトサン繊維を用いた完全バイオベース素材。キトサンはカニ殻などの甲殻類由来のほか、昆虫や菌類由来のキチンから得られ、廃棄物資源の活用による持続可能な供給を目指す。
バイオポリエチレン(PE)を用いた「BioPEtex」は、従来の染色工程に比べエネルギーと水使用量を約5割、CO2排出を約6割削減できるとする。赤外線透過性による受動冷却機能を備え、単一素材設計でリサイクル性も高めた。
水面の油を吸着するバイオニック・オイル・アブソーバーは、外部エネルギーを使わず油水分離を行い、1時間当たり最大4㍑のディーゼル油を除去可能とする。自然界の仕組みを応用した技術だ。
農業分野では、生分解性ポリマーによる不織布や害虫防除ネットを提案。従来の石油系資材に代わる環境配慮型製品として期待される。
実装段階は目の前に
機械式リサイクルや人工知能(AI)を活用した繊維の色識別技術、繊維から繊維への循環を目指す熱機械リサイクルも提示し、工程の高度化と効率化を訴えた。3Dプリントによる自動車シートへの応用も紹介した。
これらは、バイオ原料の活用からリサイクル、AIまでを一体化した点に特徴があり、繊維産業の脱石油が実装段階に入りつつあることを示している。
同グループはテクテキスタイルで、ITA本体に加え、ITAアウクスブルク、ITAテクノロジートランスファーの3機関が共同出展した。





