東レの短繊維事業 開発で利益率高める

2026年05月07日 (木曜日)

 東レの短繊維事業部は、ポリエステル短繊維の開発を強化し、利益率の向上に取り組む。アクリル短繊維に関してもブランド戦略に力を入れ、海外市場での需要掘り起こしを進める考えだ。中東情勢の悪化による原油・ナフサ高騰を背景に値上げに踏み切ったことで輸入わたとの競争も一段と激しくなっており、さらなる高付加価値化と戦略的な用途展開が不可欠になった。

 ポリエステル短繊維は、2025年に愛媛工場(愛媛県松前町)の連続重合による紡糸を停止し、バッチ式に集約することで多品種小ロット生産への対応力が高まった。髙橋雄一短繊維事業部長は「愛媛工場の連重停止で採算は改善した。今後は、さらに利益率を高めることが重要になる」と話す。

 原油・ナフサ高騰を受けて4月出荷分から値上げに踏み切ったが、輸入わたとの価格差が広がっており、寝装用詰めわたなど汎用(はんよう)的な用途は競争が一段と厳しくなった。このため、スペックインすることで安定した需要が見込める「メディカル・衛材分野に加え、セパレーターや半導体関連部材、フィルターなどエレクトロニクス分野に向けた開発を強化する」との考えだ。ショートカットファイバーにも力を入れる。

 また、車両用不織布向けも自動車メーカーからさまざまな要望が寄せられていることから、これに応える開発で現在の主力用途である天井材や吸音材以外にも採用される原綿開発に力を入れる。

 一方、アクリル短繊維はSPAのインナー向けこそ堅調が続いているが、それ以外の一般衣料向けは需要減退が止まらない。特にリサイクル性など環境負荷低減の面で他の合繊素材に代替される傾向が強まっていることから、マスバランス方式リサイクル品の実用化を進め、他の合繊素材による代替の動きに歯止めをかけたいとする。

 また、ブランド戦略も強化する。このほど「トレロン」ブランドのロゴや下げ札のデザインを一新した。トレロンをマザーブランドとし、各種機能わたや高付加価値わたをサブブランドとして整理することで改めて東レのアクリル短繊維として打ち出しを強めた。

 3月に中国・上海で開催された国際展示会「チャイナ・インターナショナル・ヤーン・エキスポ」でも紹介し、「改めて認知度向上に努めた」として、紡績用を中心に海外市場での需要掘り起こしに力を入れる。