帝人の新中計 “クミアワセ”と“スリアワセ”

2026年05月12日 (火曜日)

 帝人は2028年度(29年3月期)を最終年度とする3カ年の中期経営計画を策定した。グループ全体での“クミアワセ”と顧客との“スリアワセ”による顧客起点型ビジネスに転換することで最終年度となる28年度に事業利益600億円、自己資本利益率(ROE)8%を計画する。

 内川哲茂社長は、大幅な計画未達となった前中計を振り返り、「素材のコモディティー化のスピードが速く、従来の素材起点型ビジネスモデルが行き詰っている。社会課題も複雑化し、素材だけで解決できるものも限定的となった」と指摘する。

 このため新中計では社会や顧客の課題の聞き取りから解決策の提案、事業デザインまでの“スリアワセ”と帝人の技術・サービス・パートナーの“クミアワセ”で顧客課題を解決する顧客起点型ビジネスモデルへの転換を進める。

 そのため、事業セグメントも顧客領域別に「アパレル&インダストリーズ」「ヘルスケア&ライフソリューションズ」「エレクトロニクス&エナジー」「スペシャリティマテリアルズ」などに再編する。

 アパレル&インダストリーズは既に顧客起点型ビジネスが進展していることから、帝人フロンティアと旭化成アドバンスが統合して10月に発足するTAフロンティアを中心にナイロン繊維やキュプラ繊維、建材用途などこれまでグループになかった素材や事業領域と既存の素材や事業の〝スリアワセ〟〝クミアワセ〟によって成長を目指す。28年度にはセグメント売上収益4900億円、事業利益220億円、投下資本利益率(ROIC)8%を計画する。

 一方、アラミドや炭素繊維、複合成形材料はスペシャリティマテリアルズセグメントとし、内川社長は「収益改善に向けて背水の陣で臨む」との考えを強調した。アラミドは生産体制の再編と25年度から約400人の人員削減などで約150億円のコスト削減を実施し、体質強化と防衛や海底ケーブルなど高付加価値用途への集中を進める。

 炭素繊維は今年1月に北米工場を休止するなど生産ラインを適正化し、こちらも25年度から約80人の人員削減などで約50億円のコスト削減を進めている。航空機用途へ集中し、次世代航空機向け中間材料の開発に力を入れる。28年度にはスペシャリティマテリアルズのセグメント売上収益1850億円、事業利益170億円、ROIC6%を目指す。

マテリアル振るわず減収減益 26年3月期

 帝人の26年3月期連結決算(IFRS)は売上収益8731億円(前期比13・2%減)、事業利益257億円(6・6%減)、営業損失707億円(前期は718億円の損失)、税引前損失740億円(同780億円の損失)、純損失880億円(同283億円の純利益)だった。マテリアル事業のアラミド事業やヘルスケア事業で減損損失を計上したことで純損失となった。

 マテリアル事業は売上収益3385億円(26・3%減)、事業利益1億1800万円(98・0%減)だった。複合成形材料は収益性が改善したが、アラミドの大型定期修繕や炭素繊維の販売減少などの影響が大きかった。

 繊維・製品事業は売上収益3500億円(0・5%減)、事業利益170億円(4・2%減)だった。衣料繊維は北米向けテキスタイルや国内向け衣料品が好調に推移し、中国での素材・製品販売拡大も業績に寄与した。産業資材は自動車用途で市況回復に遅れがあったが、各種フィルター用途は好調。販管費や労務費の増加で事業利益は減少した。

 当期は売上収益8500億円、事業利益300億円、営業利益700億円、純利益450億円を見込む。