第15回アジア化繊産業会議 繊維to繊維が重要に

2026年05月19日 (火曜日)

 アジアの化学繊維業界の代表者が一堂に会する「第15回アジア化繊産業連盟(ACFIF)会議」が14日から15日までマレーシアのペナンで開催された。「サプライチェーンのグリーン化」をテーマに報告と討議を行った。特に繊維to繊維(T2T)リサイクルの社会実装に向けた取り組みの重要性について一致した。(ペナンで宇治光洋)

 会議にはACFIF加盟9カ国・地域から日本化学繊維協会、中国化学繊維協会、インド合成繊維工業会、インドネシア繊維・フィラメント糸製造者協会、韓国化学繊維協会、パキスタンポリエステル短繊維製造業者グループ、マレーシア繊維製造者協会、台湾人造繊維工業協会、タイ人造繊維工業協会の代表者ら約150人が参加した。

 2024年の前回と同様に、繊維の資源循環が最大のテーマとなった。特に欧州が主導する環境規制への対応が焦点となる。このため欧州人造繊維協会(CIRFS)のフレデリック・ヴァン・ホウト事務総長が招かれ、EUの産業排出指令やデジタル製品パスポートなど環境規制の実施状況について報告した。

 各国・地域からも透明性イニシアチブや循環型経済モデル、持続可能な製造技術、サプライチェーンの連携・統合などに焦点を当てた報告がなされた。特にT2Tリサイクルの社会実装に向けた取り組みの重要性を指摘する点で共通する一方、リサイクルやトレーサビリティーの実現にかかるコストをどのように負担するかも焦点となる。

 日本化学繊維協会の内川哲茂会長(帝人社長)は「持続可能な化繊サプライチェーンの将来計画」と題して報告した。日本が取り組む繊維のサステイナビリティー実現に向けたロードマップを紹介し、TtoTリサイクルの実現に向けて繊維企業が連携して結成した「コンソーシアム・フォー・ファイバー・トゥ・ファイバー」(CFT2)の取り組みを紹介した。

 この中で内川会長はTtoTリサイクル実装に向けた最大の課題として回収・分別工程を挙げた。現在、世界的には拡大生産者責任の考えからリサイクルのコストなども生産者が負担すべきとの意見が強まっている。しかし、内川会長は「拡大生産者責任だけでは難しいのではないか。やはり使用者(消費者)も責任を負担することでコスト問題も克服でき、T2Tの拡大につながる」と問題提起した。

“認証疲れ”も話題に

 参加各国からは〝認証疲れ〟という問題も指摘された。欧州の環境規制に対応するために多くの第三者認証の取得が求められているが、認証・監査にかかるコスト負担が無視できなくなっている。現在、世界の化繊生産の約90%をアジア諸国が生産する一方で、国際的な認証機関は欧米に偏重しており、結果的にアジア諸国が欧米に多大な認証・監査コストを支払う構造になっていることへの不満が高まっているようだ。

 この点に関して会議では、ACFIFで認証マトリックスを作成し、必要な認証を精査するなどのアイデアが出された。アジアで共通のスタンダードを策定すれば、生産の90%を占めるだけに、強力な発言力を持つ可能性があるとする。

 会議の最後、環境に配慮し、技術的に先進的で、地政学的に強靭(きょうじん)なサプライチェーンを構築するとの総意を確認し、今後10年間の規制、環境、経済上の問題に対応するために地域協力の強化、イノベーションの促進、サステ・イニシアチブの推進を継続することを誓約する共同コミュニケを採択した。