綿紡績大手 26年3月期 繊維は減益相次ぐ
2026年05月19日 (火曜日)
紡績各社の2026年3月期決算が出そろった。全社の業績では、クラボウが純利益で3期連続の過去最高を更新し、富士紡ホールディングス(HD)と日東紡が人工知能(AI)や半導体関連需要を追い風に非繊維分野の収益を押し上げた。一方、繊維事業はコストアップに加え、一般衣料向けの需要低迷なども響き、シキボウ以外は利益面が悪化した。中東情勢の緊迫化による先行きの不透明感もあり、各社は収益改善への対応を迫られている。
シキボウは、中東民族衣装向け生地輸出やユニフォーム地の好調に加え、25年12月30日に承継したユニチカグループの衣料繊維事業などの業績も第4四半期(1~3月)から上乗せされ、黒字幅を拡大した。ユニフォーム事業は譲受事業の寄与もあり大幅な増収となり、利益面にも貢献した。
中東向け輸出は第3四半期まで業績をけん引したが、情勢の緊迫化を受けて3月には出荷が停滞した。4月以降は出荷が戻りつつあるものの、不透明感が残る。
クラボウは、安城工場(愛知県安城市)閉鎖に伴う異常操業費用の計上もあり、営業赤字となった。ただ、同費用は一巡し、閉鎖後の海外への生産移管は順調に進んでいる。糸は原料改質技術を活用した高機能素材「ネイテック」やタイ子会社のデニム向け販売が順調で、ユニフォームも増収だった。一方、ブラジル子会社のニット糸販売が低調だったほか、カジュアルは国内SPA向け生地の受注減少が響き、減収となった。
中東情勢の悪化を受け、原料確保やエネルギーコスト、輸送面への影響も懸念材料で、6月からサーチャージ制を導入し、顧客に説明しながらアイテムごとに対応を進める。
富士紡HDの生活衣料事業は、インナー「BVD」など繊維製品で、主力の年間定番品が売り場の縮小や消費者の買い控えの影響を受けて苦戦した。海外向け販売も日中関係の影響で新規受注が減少。繊維素材は人件費の増加やコスト高騰、円安が響き、厳しい環境が続いた。
日東紡の芯地などを含む資材・ケミカル事業は、製品値上げの寄与もあり販売は前年を上回ったものの、原材料を中心としたコストアップなどが響いた。子会社の日東紡アドバンテックスは、売り上げが前期比横ばいで、利益は微増益を確保した。
12月期決算の日清紡HDの繊維事業の1~3月期業績は、売上高67億2800万円(前年同期比15・5%減)、営業損失4億4200万円(前年同期8300万円の損失)となり、赤字幅が拡大した。情勢悪化でインドネシアから中東への販売が減少したほか、ユニフォーム事業で企業別注品の大型案件の剥落があった。





