蝶理とヤギ/新中計策定 新たな成長へ/海外市場と積極投資が鍵
2026年05月21日 (木曜日)
繊維関連商社の直近業績がおおむね好調だ。ただし、中東情勢の混乱によって先行き不透明感は強まっている。2029年3月期を最終年度とする3カ年の中期経営計画を同じタイミングで発表した蝶理とヤギを題材に、商社繊維事業の今後を占う。(吉田武史)
26年3月期の商社業績では、伊藤忠商事繊維カンパニーが収益(売上高)で、モリリンが営業利益・経常利益で過去最高を更新したほか、〇〇期連続増収、連続増益などが相次いだ。瀧定名古屋も26年1月期で経常利益・純利益の過去最高を計上した。
増収や増益の理由は各社各様だが、全体として収益力の向上が進んでいるのは間違いない。ただし今後の見通しは、欧州や中国の市況低迷、中東情勢の混乱によって不透明感が増している。
蝶理の26年3月期繊維事業は、売上高が1458億円(前期比4・6%減)、営業利益が72億円(7・5%減)、経常利益が70億円(10・21%減)と減収減益だった。ただ、当期こそ落ち込んだものの、近年は収益力の高まりを印象付ける決算を続けている。
一方、ヤギの同期は売上高が859億円(前期比3・1%増)、営業利益が42億2800万円(18・3%増)、経常利益が48億2400万円(28・1%増)、純利益が36億7千万円(39・8%増)の増収大幅増益となり、2期連続で過去最高益を更新した。製品OEM/ODMとブランド・リテールがけん引した。
両社はこのほど同じタイミングで3カ年の中計を発表した。3年後、29年3月期の計画は、蝶理の繊維事業が売上高1650億円(26年3月期比13・2%増)、営業利益90億円(25%増)、ヤギが売上高960億円(11・8%増)、経常利益60億円(24・5%増)、純利益47億円(28・1%増)と、いずれも拡大志向が鮮明だ。
拡大への方策として共通するのが、海外需要の取り込みと積極的な投資計画。
蝶理は「海外事業で後れを取った感は否めない」(迫田竜之社長)とし、全方位で海外売上高の拡大を狙う。26年3月期の繊維事業の海外売上高に約150億円を積み増す。内訳はASEANで50億円増、欧州、米州でそれぞれ30億円増、東アジアで20億円増、インド・中東・北アフリカで20億円増の計画。そのため海外各拠点への人員派遣や海外展示会への積極的な出展を予定する。
ヤギも主に祖業の糸・生地事業で海外販売拡大を志向し、現状の海外売上高47億円を、最終年度に100億円に引き上げるほか、ダウンウエアブランド「タトラス」などでも海外市場の開拓を進める。
3カ年中の投資については、蝶理が、引き続き産地企業への設備投資を進めるほか、グローバル市場の出口を有する企業への投資やM&A(企業の買収合併)に175億円プラスアルファ(全社)の計画を立て、ヤギもグローバル販売の拡大や新事業開発に向けて150~200億円の投資を予定する。





