特集 スクールユニフォーム(1)/学生服の価値を高める
2026年05月28日 (木曜日)
新型コロナウイルス禍に起因する混乱から脱却したのもつかの間、中東情勢の緊迫により合成繊維をはじめとした原材料の高騰が学生服業界を直撃している。学生服メーカーは、効率化などの自助努力を進めるのと併せて、リユース、リサイクルの取り組みなどで“学生服の価値を高める”取り組みを進めている。
〈コロナ禍以後の混乱脱却/ナフサ高騰の影響必至〉
今春の入学商戦の納品は順調に進んだ。コロナ禍のロックダウン(都市封鎖)に加え、コロナ禍が収束に向かった2022年ごろに外国人技能実習生が一斉に帰国したことで起きた国内生産キャパシティーの逼迫(ひっぱく)などによる納期問題を踏まえて、各社が生産の前倒しや効率化を図り、納期改善に成果が得られた。
コロナ禍関連の納期問題に対応するため備蓄生産を強化した結果積み上がった在庫も、ここ数年の在庫調整が奏功し26年度には適正化にめどがつきそうだ。コロナ禍以降に起きた諸問題から脱却へ向かったといえる。
ところがここへきて、次なる問題が発生している。中東情勢の緊迫化とそれに伴うホルムズ海峡の封鎖により、合成樹脂や化学製品の原料となるナフサが記録的な供給不足に陥り、価格が高騰する“ナフサショック”は、学生服でも影響は必至だ。
ナフサ由来原料は、ワイシャツやポロシャツに使われるポリエステルや、カーディガンに使われるアクリルなどの生地、樹脂ボタンなどの服飾資材、製品を入れる袋など、さまざまな箇所で使われている。それぞれを染める染色加工場でもボイラーを稼働させるための重油やLPガスが高騰していることに加え、染色に使う溶剤などの原油由来薬剤も高騰している。
一部合繊メーカーでは、原油・ナフサ価格急騰に対応するため、原燃料などの価格上昇を機械的に反映するサーチャージ的な運用を一部製品で価格に緊急導入した。佐川急便(SGホールディングス)も、国内の宅配運賃に燃油サーチャージを導入する検討を始め、物流経費も上昇が見込まれる。
27春商戦の学生服の価格は既に決定しているため、製品への価格転嫁は28年以降になりそうだ。学生服業界では、短くとも5年以上の間隔で値上げが実施されてきた慣例があり、コロナ禍以後のインフレ加速による原価上昇を転嫁する値上げを実施したばかりのメーカーにとって慎重なかじ取りが求められそうだ。
〈リユース、リサイクル進展/経済・環境両面から支援〉
コロナ禍以後のインフレによる価格高騰に加え、ナフサショックでさらなる価格上昇が見込まれる中で、学生服メーカーが取り組むのは、リユース、リサイクルの取り組みだ。環境に配慮しながら、入学時に学生服を買う経済的余裕がない人を支援する。
トンボは、伊藤忠商事が運用する学生服、学用品専門のCtoC売買仲介サービス「学リレ」を、同社が学校に供給する学生服向けに取り扱いを本格化する。売買が可能となる学校は来年4月時点で約10校になる見込みだ。
学リレは、学生服、学用品電子商取引(EC)サイトの「学校生活」を介した、学校関係者に利用を制限したCtoCの売買を可能とするサービス。匿名性を担保した上で学校関係者以外に流出することなく、同じ学校に所属する生徒の保護者間で売買することができる。
菅公学生服はこのほど、同じ学校の保護者同士が制服や体育着を売買できるフリマサービス「ゆにのわ」の採用校が100校を超えた。
使用しなくなった制服などを再活用できるプラットフォームで、環境問題への貢献や保護者の経済的負担の軽減を目指す。このほど採用校は100校を超えた。
明石スクールユニフォームカンパニーは、学生服のリユース、リサイクル事業の「Re―Ring AKASHI」(リリングアカシ)と連携する学校が100校を超えた。
連携する学校で制服を回収し、クリーニング、修繕、検品、仕上げを行った後、新品よりも安価で販売する。制服買い取り販売業者が適正な制服かどうか理解しないまま販売をするケースもある中、学生服メーカーが扱っているという安心感から採用につながっている。
〈中堅は独自の取り組み/レンタルなど人気博す〉
中堅は、独自の取り組みで存在感を示している。園児服製造卸のミナコンビ(東京都葛飾区)は、運動着などのリユース事業に注力する。モデルチェンジ(MC)などで不要となった衣類を自社通販サイトで提供。「丈夫で機能的な学校仕様を安価に手に入れたい」という親世代の需要を捉え、通学外の日常着としても人気を博している。
学生服ブランド「コノミ」を展開するこのみ(新潟県妙高市)は、ネットレンタルサイト「ネトカリ」で、メディアやドラマ向けの衣装提供が引き続き活況を呈している。
吉善商会は、幼稚園から大学までの学校制服において、直接案件に注力している。直販の拡大に合わせ27年春の新入生向け商戦から人工知能(AI)チャットボットを導入する。
スクールネクタイ、ユニフォーム製造卸のハネクトーン早川(東京都千代田区)は、制服のモデルチェンジに伴ってスカーフから単価の高いリボンへの移行が継続していることで、好調を維持。学校指定外のスクールファッション市場の開拓にも注力する。
学生服・ユニフォーム製造卸の金原(横浜市)は、流通網の再構築に注力する。近年、大手百貨店の学生服事業からの撤退が相次ぐ中、「販売店に親切なメーカー」としての立ち位置を明確にする。





