特集 スクールユニフォーム(5)/探訪 学生服の現場から/岡山大安寺中等教育学校/装い新たに共に学ぶ

2026年05月28日 (木曜日)

 「師弟同行」――師と弟子が心を同じくして修行に励むことを意味する言葉で、岡山大安寺中等教育学校(岡山市)が高等学校創立以来、大切に守り続けてきた教育理念だ。生徒と教師が厚い信頼関係で結ばれ、共に学び合う姿を理想に掲げる。性的少数者(LGBTQ)への配慮や暑熱対策などのため、2025年に制服を刷新。共に大安寺の未来をつくる「チーム大安寺」の装いを新たにした。

〈6年間の系統的学習を〉

 岡山大安寺中等教育学校は、中高一貫の6年間を通じた系統的な学びを可能とする中等教育学校という珍しい形態をとる。09年に岡山県では初めて設置された、県下の公立の中では現在も同校だけの形態となる。県内全域を学区として、岡山駅を通過する7路線に加え、岡山県西部の井原線沿線からも通学する生徒がいる。

 課題解決型学習などに取り組み、主体性や協調性、粘り強い心などを高める6年間の一体的な学習活動や体験活動などを通して、地域や国際社会に貢献するリーダーとなる人材の育成を目指す。

 中学と高校で別れた教育課程が組まれる一般的な学校と比べて、コミュニケーション能力を育む国語やフィールドワークを取り入れた探究の科学へ重きを置いたカリキュラムが組まれることも特色の一つだ。

 英語を母国語とする教師やALT(外国語指導助手)との会話学習活動も活発で、グローバルな視点を持った人材を育成する。高校1年生に相当する4年生に進学する際の受験はなく、他校生が受験で忙しい時期でも、全員参加の海外研修に時間を当てることができる。10日間のホームステイを通じて、さらなる異文化理解を深める機会を提供する。

〈伝統の継承と更新へ〉

 25年を期限に①伝統の継承と更新②多様な性への対応③防寒と防犯への対応――三つをコンセプトに定める制服検討委員会が設置された。

 これまでの制服から引き継いだ伝統が、「紫紺」と「ドビーストライプ」だ。スクールカラーの紫紺は、新しい制服のネクタイとリボンに取り入れられて、同校に所属する生徒のアイデンティティーを強調する。

 遠目には無地に見えるドビーストライプ生地は、光の角度や見る方向によって縦縞が影のように浮かび上がる、複雑な織り組織の素材だ。新しい制服を供給する菅公学生服が伝統的なドビーストライプをリニューアルした。制服検討委員会を担当した青山ゆか教頭によると「さりげない高級感を感じる素材が決め手になった」と言う。

 生徒は、セーラー服とブレザー、スカートとスラックスのどちらでも選ぶことができる。LGBTQに対応しながら、要望の多かった伝統的な装いのセーラー服も残した。入学時にセーラー服を選んだ2年の森本百合子さんは、「いずれブレザーに変えてみたい」と選択肢の多さに喜んだ。

 5年になるタイミングでブレザーへ変えた安井朱莉さんは、「かわいいというのが一番の理由」とうれしそうに語った。

 詰め襟タイプはブレザーへデザインを変更した。岡脇颯良さんは、73人が在学する6年の男子学生の中でブレザーに変えた4人のうちの一人。ネクタイを着用するブレザーに「気持ちが引き締まる」と語る。

 防寒と防犯のため、セーラータイプの学生服は、着丈を2センチ長く設計した。正制服のほかにも編み地のカーディガンやベスト、アイロン不要で速乾性に優れ、通気性が高いポロシャツもラインアップし、気候や体調に合わせて自由にコーディネートできる。ブレザーを選んだ2年生の德田結奏さんは、「着脱で簡単に体温調節できる点が気に入っている」と顔をほころばせる。

〈桜の校章に込めた思い〉

 新たな装いとなった学生服の胸元には、桜を題材とした校章が添えられている。校名頭字の「大」を表わす花弁には、自主独立の気概、積極進取の抱負、気宇広大の面目を象徴している。

 三村美紀校長は、今年度の重点目標に、教養と品格、自尊心を育てる「教養教育」、自立と社会参画、自己開拓の精神を育てる「生き方教育」、公共性と協働性、民主主義を育てる「市民性教育」の三つからなる3C教育を掲げる。

 6年間同じ仲間たちと「協働」することを学び、社会に貢献できる、「全人的な成長」につなげたいと締めくくった。