特集 スクールユニフォーム(8)/アパレル/魅力ある学生服へ/トンボ/菅公学生服/明石スクールユニフォームカンパニー/ミナコンビ/瀧本

2026年05月28日 (木曜日)

 学生服の26春商戦は、新型コロナウイルス禍以後に起きたさまざまな混乱からの脱却が進み、供給は順調に推移した。原燃料高騰などでインフレが加速する中でも値上げを踏みとどまっていた学生服業界も、25春夏商戦では多くのメーカーが値上げを断行し、利益率の改善も見られた。足元では、中東情勢の緊迫による懸念材料はあるものの、各社が魅力ある学生服を目指した取り組みを活発化させている。

〈創業150周年迎える/今春入学商戦も順調に/トンボ〉

 トンボは5月10日、創業150周年を迎えた。これまでの「ご縁を大切に」、次の200周年に向けて動きだす。

 創業150周年を迎えるに当たり、提携するスコットランドの老舗タータンメーカー、ロキャロンと独自のタータンチェックを制作した。ブルーは「コーポレートブルー」、ネービーは「コンプライアンスの徹底」、ピンクは「ダイバーシティ経営」、グリーンは「人と自然を大切にした価値ある製品づくり」、ホワイトは「ファーストコールカンパニーの実現」と、それぞれの色で同社の姿勢を表した。

 今春の入学商戦では、学生服、スクールスポーツ共に新規校の開拓が進み、モデルチェンジ(MC)の獲得校数、人数共に増えた。これを受けて、2026年6月期は、増収増益を見込む。

 コロナ禍以降の供給不安に対応するため生産数を増やした結果、過剰となっていた在庫をここ数年かけて適正化を進めており、今春にはめどがつきそうだ。

 昨年発表した、シップスと協業の学生服「シップススクールイヤーズ」は、私立を中心に、再来年度に向けて多くの引き合いを受けている。今後5年間で30校の採用を目指す。「イーストボーイ」は根強い人気があり堅調に推移している。

 スクールスポーツでは「アンダーアーマー」が、今年度50校以上で採用が決った。「ヨネックス」も安定的に伸びている。自社ブランドの「ビクトリー」は、学校独自の表現ができる昇華転写プリントに加え、独自素材の「ピステックス」が好評で、採用校の増加につながっている。

 スポーツ向けに、昇華転写プリント用のプレス機を紅陽台昇華センターに1台増設する。生地をセットする際の労力を軽減できるほか、色ぶれなどの問題が減少し、品質の向上と安定につながる。不良の抑制で、材料や時間のロスを軽減し、検反作業を容易にする。

〈強靭な供給体制で付加価値/フリマサービス100校超/菅公学生服〉

 菅公学生服は、国内に四つの基幹工場と衛星工場を含めた19の生産拠点を持ち、強靭(きょうじん)な供給体制を敷く。モデルチェンジ(MC)に伴うブレザー化にも柔軟に対応するなど付加価値の高いモノ作りを実現して、2026年の入学商戦も納品が順調だった。

 昨年5月に竣工(しゅんこう)したシラウメベース(岡山県倉敷市)は、計画管理や設計管理、原価管理など、学生服の製造に関わる本部機能を集約させた。品質基準の平準化に加え、縫製難易度の高い素材や型紙などの分析にも取り組む。

 米子工場(鳥取県米子市)の隣接地にブレザーやスラックスを生産する工場の増設を進めており、8月末に竣工の予定。協力工場の減少に伴う対応で、裁断場などの新たな機能を追加する計画だ。

 今春の入学商戦は、早期対応に加え、国内拠点を生かした縫製における品種転換などが奏功し、納品が順調だった。生産ライン振り分けにデジタル技術で企業を変革するDXを導入するほか、物流の効率化などを進めてきたことが供給体制の強化につながった。

 昨年3月にサービスを開始した、制服や体操服を売買できるフリマサービス「ゆにのわ」は、導入決定校数が100校を突破した。対象校の保護者同士がスマートフォンやパソコンから学生服や体操服、学用品を売買できるプラットフォーム。高い耐久性を持つ学生服を最後まで使い切ることで、環境配慮型衣料としての価値をさらに高める。加えて、近年の物価高騰が家計に与える影響を考慮して、学生服や学用品購入に関わる経済的な負担の軽減を目指し、「環境」と「経済」の両側面から学校生活を支援する。

 敏感肌や感覚過敏の特性を持つ子供でも安心して着用できる制服「やさしいワイシャツ」の半袖を新たに発売した。ネット通販のみだった販売チャネルを全国のカンコーショップなど17の店舗へ拡大する。

〈防災教育などで学校支援/再スタートの年と位置付け/明石スクールユニフォームカンパニー〉

 明石スクールユニフォームカンパニーは、 防災教育支援の一環で進める防災関連商品の提供が開始から約10年が経過した。東海地震や南海地震などの発生が想定される中、メーカーとして全国へ幅広いネットワークや学校とのつながりを持つ強みを生かし、防災意識を高めていくのが狙い。

 水や食料、簡易トイレなどが封入された災害用補助備蓄品などを展開する。7年間の保存が可能で、入学時に購入し学校生活を安全に過ごせるよう備蓄できる。緊急時の対応が求められる学校にとっても利便性が高い。

 制服のリユース、リサイクル事業の「Re―Ring AKASHI」(リリングアカシ)でも採用校が増えている。連携する学校で制服を回収し、クリーニング、修繕、検品、仕上げを行った後、新品よりも安価で販売する。リユースが難しい制服はケミカルリサイクルなどで再資源化する。学生服メーカーが扱っているという安心感から採用につながった。

 スクールでは、エンターテインメント業界の衣装製作を手掛けるオサレカンパニー(東京都港区)と協業で展開する学校制服ブランド「O.C.S.D.」が私立に好評で、採用校数は累計40校になった。

 スポーツでは、昨年から投入した自社ブランドの「FEEL/D.」(フィール/ディー)が、主力ブランドへと成長しつつある。今春からは「MoveSport」(ムーブスポーツ)も投入し攻勢を強める。

 明石スクールユニフォームカンパニーなどを含む明石グループの2025年12月期連結決算は、売上高335億4500万円を達成し、決算期を変えた20年度以降は、5期連続の増収だった。価格改定のほか、生産面での効率化や在庫削減が寄与して、4期ぶりの増益も達成した。今年を「再スタート」の年と位置付け、次世代につなぐ体制作りに注力する。

〈50枚から小ロットで生産/ミナコンビ〉

 ミナコンビ(東京都葛飾区)は自社サイトにおいて幼稚園や体操教室などに向けた体操着のオーダーシミュレーションサービスを展開している。

 園や教室のイメージカラーに合わせて希望の体操着を作成できるのが特徴だ。襟、ベース、サイドの3カ所について各15色から好みの色を選択し自由に組み合わせることができる仕組みである。発注ロットは50枚からと小ロット生産に素早く対応しており、複数サイズの混合発注にも柔軟に応じている。導入を検討する顧客に対しては実際の生地の質感や形を事前に確認できるよう生地パターン帳や製品サンプルの貸し出しサービスを実施して不安解消を図る。

 見積もり作業も大幅に簡略化した。シミュレーション画面上で色を選択して送信するだけで完了する。非常に分かりやすい画面で手軽に見積額を把握できる利便性が強みだ。商品の納期は通常発注から約2~3カ月程度となっている。オリジナルのロゴなどを入れるプリント加工の相談も随時受け付けており、幅広く対応する方針だ。さらに毎年継続的なリピート生産も可能としており、導入施設の長期的ニーズにしっかりと応えていく考えだ。小ロットからオリジナル体操着を作れる本サービスは園や教室のブランド力向上に寄与する。今後も顧客の利便性を追求し安定供給に注力する。

〈MCが業績けん引/「ヒュンメル」60校に拡大/瀧本〉

 瀧本(大阪府東大阪市)は今春の入学商戦で、制服モデルチェンジ(MC)を前年並みの約70校確保した。MCの獲得に加えて前期(2025年6月期)から進めてきた価格改定の効果も表れ、今期は前期比で増収増益を見込む。スポーツ分野では、本格展開から2年目を迎える「ヒュンメル」ブランドの体操服が前年の約20校から累計約60校に拡大した。

 ヒュンメルの体操服は、素材やデザイン、ブランドの知名度に加え、定番品を備蓄し、販売店が安心して拡販できる体制が評価されている。

 来春の入学商戦では、東京や大阪など「大都市圏での提案を強化する」(中村孝行常務兼販売業務統括本部統括本部長)。昨秋の展示会で発表した、ライセンス契約で展開する「ニューヨーカー」ブランドの新制服は、提案先から高い評価を得ている。今秋の展示会で制服のフルラインアップを披露し、28春入学向けに提案を本格化する。

 学校別電子商取引(EC)サイト「ガクハンネット。」は、機能を絞ったライト版を追加し、採用校が約100校に拡大した。教員の作業負担が減ったという声も寄せられており、さらなる導入拡大を図る。フェーズフリー認証商品の開発も継続し、「学校生活の安全につながる」提案を広げる。