特集 スクールユニフォーム(13)/素材メーカー/ニッケ/シキボウ/東亜紡織/YKK

2026年05月28日 (木曜日)

〈学校現場の課題解決を支援/保冷ベストや出張授業で/ニッケ〉

 ニッケは暑熱対策や探究学習の支援など、学校現場の課題に応える提案に注力している。グループの総合力を生かし、「利便性を高める提案」(衣料繊維事業本部販売統括部の幾永詩木ユニフォーム部長)で市場を深耕する。

 学校現場の猛暑対策として、グループの佐藤産業(東京都千代田区)が展開する特殊低温保冷剤「フローズンコア」と専用ベストの提案を広げる。ベストの背中に保冷剤を入れる仕様で、450グラムの容量で約5・5時間の保冷効果が続く。成分が水と塩類のみのため安全で環境負荷も低く、部活動や給食調理など学校全体での活用を促す。

 出前授業「ウールラボ」は累計受講者が1万7千人を突破した。同授業の認知拡大に向けて各地の家庭科教育研修会へ参加を重ねており、実験キットなどの教材貸し出しも増えている。消臭性や通気性に優れ、蒸れにくいウールの特性が夏の制服に適している点も訴求し、「制服の価値を高める」取り組みを広げる。

 今春には同授業を実施してきた大森第六中学校(同大田区)で環境配慮型素材「エミナル」が採用され、衣料品回収・循環プロジェクト「WAONAS」(ワヲナス)の取り組みも始まった。

 ワヲナスの活動をさらに広げ、横浜市と連携した中学校の制服回収に取り組んでいる。2027年に同市内で開かれる「国際園芸博覧会」にユニフォームを協賛するなど、地域と連携した活動を多角的に広げる。

〈商材広がり 総合提案に力/シャツ地から重衣料まで/シキボウ〉

 シキボウは、シャツ地や重衣料向け生地、体操服を組み合わせた総合提案に力を入れる。ユニチカグループからの事業承継で扱う商材が広がり、多様な要望に応える体制を整えた。機能性や環境対応素材も打ち出し、学販分野での採用拡大を図る。

 同社は織物の学生シャツ地を主力に、ポロシャツ向け生地や体操服を手掛けてきた。事業譲受により、ウール・ポリエステル混の上着・ボトムス用途の重衣料向け生地や園児服向け生地が加わり、体操服でも販路が広がった。

 シャツ地は、織物に加え、編み地の開発にも注力する。台湾敷紡のトリコットを学販向けに販売するほか、国内加工場を活用した素材も展開し、シャツ地の提案を広げる。高通気素材「アゼック」は学生シャツ向けで継続採用され、ストレッチ性などバリエーションも広げている。

 環境配型慮素材では、ワークウエア向けで採用実績のある植物由来ポリエステル「グリーンナチュレ」を学販向けにも提案する。廃糖蜜由来原料を配合し、石油由来原料の使用量削減や低炭素化に寄与する。体操服は糸から製品まで一貫対応できる海外生産の仕組みを生かし、幅広い商材で学校現場の需要を捉える。

〈柄企画力で個性引き出す/糸・生地備蓄し安定供給へ/東亜紡織〉

 東亜紡織は2027年の入学商戦に向け、柄の企画力と国内生産基盤を生かした柄物提案を強める。オリジナル素材「制服物語」は33シーズン目を迎え、今季も83柄を追加する。「着て楽しい、見て楽しい」柄物で学校の個性を引き出す。グレーにえんじ色やキャメル色を組み合わせるなど、ウール混ならではの奥行きある色柄表現も訴求し、多品種・小口対応と合わせて独自の価値を打ち出す。

 今春の商戦は学生服メーカーの在庫調整の影響を受けたが、宮崎工場(宮崎県都城市)での糸生産や協力工場への生地発注を継続してきた。中東情勢などで石油由来原料の安定供給に不透明感もあるが、生産を平準化しながら糸や生地を計画的に備蓄しており、来春向けの供給は「おおむね差し支えなく納入できる」見通しだ。

 機能性素材では、2ウエーストレッチ生地「デュアルアクティブ」の採用実績が拡大しつつある。高耐久のウール・ポリエステル混織物「フェルテラ」や、ウールと生分解性ポリエステルを複合した「バイオハーモニー」の提案も継続する。遮熱・UVカット・透け感軽減の機能を併せ持つ「レイファインクールα」は夏物ボトム向けに採用を広げており、柄物と機能の両面で多様化する需要を捉える。

〈磁石の力で開閉を楽に/安全対策への活用も提案/YKK〉

 YKKは、高機能性で多様な用途に対応するファスニング製品として「クイックフリー・クリックトラック・マグネティック」を打ち出す。

 同製品は、左右の開具(ひらきぐ)にマグネットを埋め込んだため、マグネットの磁力により開具を近付けるだけでファスナーを閉じることができる。

 その一方で、左右に一定荷重を加えるとスライダーが〝パチッ〟と外れ、スライダーを下げずにファスナーが開く解放機能も備えている。

 手元を見ずに簡単に操作でき、素早い着脱が可能なことから、スポーツシーンや子供服、ユニバーサルファッションなど幅広い分野での用途を想定する。

 解放機能は操作の簡易性だけでなく、安全対策にも活用できる。一定以上の負荷でエレメント(務歯)が自動解放されるため、フード付きの子供服による首つりリスクも軽減する。

 開発のきっかけは、「ファスナーの開閉が困難な服は敬遠している」という障害を持つ人からの声だった。こうしたニーズに応える機能を備えたことが評価され、2018年と20年に「グッドデザイン賞」を受賞した。

 社会的な信用性を持つ商品として、スクールユニフォームの分野に向けても、提案を進めていく。