特集 スクールユニフォーム(14)/商社/学校課題に商機探る
2026年05月28日 (木曜日)
中学校の制服モデルチェンジ(MC)や自治体統一型標準服の導入が一巡しつつある中、商社は学校現場の課題に応じた提案を広げている。小回りの利く対応力や社内外の連携を生かし、次の受注につながる提案を磨く。
〈学校現場のニーズに応える/エコサスが中学校に採用/ナカヒロ〉
ナカヒロ(大阪市中央区)は、学校現場のニーズに応じた学生服地の提案に力を入れている。生産管理と営業の機能を分け、営業担当者が提案活動に専念できる体制を整えた。「既存を守りながら攻める」(髙橋雅彦執行役員スクール事業部長兼関西スクール部長兼スクール業務部長)方針の下、販売店や学生服メーカーとの連携を深めながら細かな要望に応え、環境配慮型素材群「エコサス」など新たな提案も広げる。
昨年から学生服地向けに本格展開を始めたエコサスは、今春に大森第六中学校(東京都大田区)の制服地に採用された。グループのニッケが同校で出前授業「ウールラボ」を継続してきたことが採用につながった。
エコサスでは日本赤十字社と連携し、生地売り上げの2%を活動資金として寄付しており、同校でも制服を通じた社会貢献に取り組む。
生地見本帳やスクールセーターを展開する独自ブランド「ビーアンビシャス」は、若手を中心に企画会議を開き、新商品の検討を進めている。学校生活や生徒の要望が変わる中、「スクールにも新たな発想が必要」として商品企画を磨き、市場の深耕につなげる。
〈「服育」軸に接点拡大/リユースや暑熱対策も/チクマ〉
チクマ(大阪市中央区)のキャンパス事業部は、衣服を通じて心を育む「服育」と環境対応を軸に、学校現場との接点を広げる。今期(2026年11月期)は制服モデルチェンジの減少や流通在庫の調整局面を織り込み、前年度比で減収減益を計画するが、リユースや暑熱対策など学校現場の課題に応じた提案を深める。
服育セミナーへの依頼は全国から寄せられ、新規校での実施も拡大している。各校の相談に細やかに対応し、学校との信頼関係の構築につなげる。7月に大阪、8月に東京で「服育ラボ定期セミナー」を開き、さらなる認知拡大を図る。
学生服のリユース需要も見据えている。ユニフォーム事業部で実績のある衣類回収リサイクル事業「チクマノループ」や制服管理システム「チクマノH.U.B」のノウハウを応用し、販売店や専門店との連携を深めて提案機会の拡大につなげる。
暑熱対策では、ポロシャツやハーフパンツの夏制服の提案に加え、ビジネス向けに展開するドライアイスを活用した猛暑対策商品「氷点下ベスト」などの学校向け展開も視野に入れる。若手社員中心に新商品開発も進め、学校生活で使えるアイテムにも提案を広げる。
〈柄物ボトムで需要開拓/素材バリエーションも拡充/牧村〉
牧村(大阪市中央区)のスクールユニフォーム事業の2026年5月期売上高は、学生服メーカーによる在庫調整の影響で既存校向けの出荷が落ち込み、前期をやや下回る見通しだ。今春の入学商戦では、制服モデルチェンジ(MC)校を前期並みに確保し、ボトムス向けの多彩な柄物提案が受注を下支えした。
スラックスやスカート向けに柄物を厳選した見本帳「ジュニア・パレット・プラス」を軸に、顧客ニーズに応じた提案を深める。ウール30%混を基本としながら、コスト上昇に対応するため、ウール15%・ポリエステル85%混のウール低混率素材も拡充している。価格を抑えつつ、ウール混ならではの風合いを生かした提案につなげる。
高校MCの増加を見据え、意匠性の高い柄物ボトムス地の提案に力を入れる。得意とするコンピューターグラフィックを活用し、学校独自のオリジナル柄を作成し、採用につなげる。ポリエステル100%のスーツ調柄の展開も進め、幅広い素材と柄の選択肢をそろえて新規受注の拡大を目指す。
〈DXと高機能素材訴求/短歌コンクール開催/アカツキ商事〉
アカツキ商事(東京都墨田区)は、少子化や流通形態の変化といった市場の課題に対し、デジタル技術で企業を変革するDXと高機能素材を軸とした提案を加速している。制服特化型電子商取引(EC)システム「ニッケメイト」の導入校はニッケグループ全体で約300校に拡大しているほか、2ウエーストレッチ生地「ウルトラコンフォート」の供給を本格化している。
今春の学生服商戦は、流通段階の在庫調整もあり原反の動きは静かだった。一方、学校現場の需要は、授業料無償化で生徒が急増する都市部の私学と、定員割れに悩む地方の公立校とで二極化が顕著だ。
百貨店の撤退や地域販売店の廃業が進む中、オンライン受発注や決済を一元管理するニッケメイトは、前年から約100校増となる約300校へ導入が拡大した。人手不足に悩む販売店の省人化に貢献するほか、教職員の負担軽減に向けた生成AI(人工知能)やメタバースの活用など、教育現場のIT化も後押しする。
製品面では、縦横に伸びるウルトラコンフォート(ポリエステル65%・ウール35%)の生地販売と自社縫製品の両面で拡販を狙うほか、「マリ・クレール」ブランド制服の訴求を進める。
生産・物流インフラの構築も進む。ベトナム、中国の海外縫製拠点では、重衣料に加えポロシャツなどの生産体制を強化しOEM受注を拡大。物流面では関東の拠点再構築を終え、来春に向けて西日本エリアの体制を本格強化する。
このほか、60周年を迎える同社は、記念行事として短歌コンクールを開催する。現在、全国の児童・生徒から応募を受け付けている。
〈夏向け素材の提案多彩に/小回り利かし拡販へ/イシトコテキスタイル〉
イシトコテキスタイル(大阪市中央区)は、暑熱対策のニーズを捉え、夏向け素材の拡販に力を入れる。「インナーからアウターまでワンストップで提案できる」強みと小回りの利く対応力を生かし、スクール市場を深耕する。
昨年から展開を始めた夏に特化した見本帳「盛夏向きセレクト」は、シキボウの特殊高通気織物「S(エス)クール」や、ドット構造による高通気編み地「エアモーション」などを収録する。シャツやポロシャツ向けをそろえ、夏向け素材の採用拡大を図る。
ロングセラー商品も改めて打ち出し、用途に応じた素材提案の幅を広げる。シキボウの抗菌防臭加工「ノンスタック」を施したブロード生地は適度な厚みを持ち、夏場に1枚で着用してもきちんと見える仕上がりが評価されている。
シャツ地では先染め織物も展開し、無地に加えてストライプやチェックなどの柄物もそろえ、制服で差別化を図りたい学校のニーズに応える。編み地のシャツ地も着心地の良さとノーアイロンで着られるイージーケア性から需要が高まり、トリコットでストライプ柄を表現するなど、意匠性を高めている。細かな要望に柔軟に応えながら受注獲得につなげる。





