繊維ニュース

東洋紡エムシー 「技」と「眼」を融合

2026年05月29日 (金曜日)

 東洋紡エムシーは、今期2026年度(27年3月期)から始まった3カ年中期経営計画の基本戦略として、重点領域を明確化することで戦略的な事業ポートフォリオを構築し、ビジネスモデルの変革を掲げる。藤井尚毅社長は「会社発足から4年目を迎え、組織として事業基盤が強くなっている。新中計では、さらなる成長に向けた第2ステージに入る」と強調する。

 東洋紡と三菱商事の合弁である東洋紡エムシーの現状に対して藤井社長は「東洋紡の高分子や紡糸に関する技術といった『技』と、三菱商事のインテリジェンスやマーケティング力、ネットワークなど『眼』が融合するところに当社の強みがある」と話す。設立後3年間で意思決定の速度も早まるなど「組織としての基盤が確実に強くなっている」と評価する。

 一方、「既存の商品別ドメインではシナジーに限界がある」と指摘。このため今回の中計では自社の技術を生かして市場成長の取り込みが狙える重点領域を「電材」「環境」「モビリティ」と明確化し、経営資源を集中することで事業ポートフォリオの再構築に取り組む。これにより中計最終年度の28年度に営業利益145億円を計画し、30年度には同200億円を実現する。

 電材領域は、独自の接着・有機合成技術を生かして半導体や高速通信関連分野で拡大を狙う。既存の商材や販路だけでは限界もあることから「M&A(企業の買収・合併)も積極的に進め、インオーガニック成長を重視する」との考えだ。

 環境領域は、中空糸膜や活性炭繊維、スーパー繊維などの紡糸技術と有機溶剤濃縮・回収装置などで培った装置化ビジネスのノウハウを融合し、ユーザーの課題を解決するソリューションビジネスへの転換を進める。そのために「エンドユーザーへのアプローチを強め、共同開発などに力を入れる」とする。

 モビリティ領域は自動車だけでなくドローンや宇宙航空まで含めた幅広い領域を対象と捉える。軽量化や易リサイクル性などを切り口に金属代替ニーズに向けた商品提案などに注力。また、自動車は完成車メーカーへのアプローチを強め、自動車部品メーカーなどと連携することで、単なる素材供給ではなく部材・部品ユニットまで視野に入れた提案と共同開発に取り組み、”ティア1・5”ポジションの確保を目指す。海外の自動車メーカーへのアプローチも強化する。

 また、知財戦略も重視。知的財産と開発の連携を一段と深め、素材特許だけでなく用途特許も重視する。藤井社長は「技術で勝って、ビジネスで負けるようなことになってはいけない」と強調した。