特集 快適・衛生機能の繊維(2)/快適・衛生な暮らしを支える/素材・加工・製品と試験技術/大和紡績/シキボウ/サンワード商会/カケンテストセンター/QTEC

2026年05月29日 (金曜日)

〈SEK4分野で衛生提案/綿100%の速乾素材も/大和紡績〉

 大和紡績は、機能性を示す「SEKマーク」に対応する抗菌防臭、制菌、抗ウイルス、防汚の四つの加工素材の提案を強化し、幅広い分野へ販路を開拓する。

 抗菌防臭加工の「ミラクルセット」は黄色ブドウ球菌の増殖や臭いの発生を抑え、量販店向け衣料品や寝装品などで採用が広がる。制菌(一般用途)加工「クリアフレッシュ」は生乾き臭の原因菌の一種であるモラクセラ菌にも対応し、「クリアフレッシュVO」は抗ウイルス・制菌(一般用途)・抗菌防臭の三つのSEKマークを取得している。多様な需要に対応する加工ラインアップで快適な生活空間を支える。

 マーク新設時からいち早く認証を取得した防汚加工では、綿100%向けの「エコリリースW」とポリエステル高混率向けの「ミラクルリリースW」をそろえる。油性や水性の汚れが洗濯で落ちやすく、皮脂汚れに対して水に浸すだけで高いリリース性を発揮する。日常の洗濯で落ちにくいシャツの襟元汚れなどの対策として訴求する。

 快適分野では、綿100%で合繊並みの優れた速乾性や耐久性、寸法安定性を備える「ミラクルドライ」の拡販を図る。紡績から加工までの技術をさらに追求した進化版「プレミア」とともに独自の機能素材で市場を開拓する。

〈暑熱対策にクーリング素材/長繊維拡充で用途開拓/シキボウ〉

 シキボウは暑熱対策に向け、クーリング素材の提案に力を入れる。ユニチカグループからの事業承継で拡充した長繊維のラインアップを生かし、長繊維と紡績糸を組み合わせるなど、顧客ニーズに応じた生地開発で用途開拓につなげる。

 高遮熱性クーリング素材「こかげマックス」は、太陽光に含まれる赤外線を遮蔽(しゃへい)し、衣服内の温度上昇を抑える。高濃度の遮熱セラミックをフィラメント内部に特殊な形状で配置し、フィラメント本数も増やすことで光の乱反射効果を高めた。防透け性やUVカット機能も備え、スポーツ向けで実績を持つ。

 ユニフォーム向けには、太陽光遮蔽性クーリング素材「サラクール」を展開する。特殊セラミックを練り込んだ芯鞘構造のポリエステルで、遮熱性や防透け性を持たせた。リサイクルポリエステルを採用し、環境配慮ニーズにも応える。

 気化促進機能を持つポリエステル「打ち水」は、生地が汗などの水分を吸水し、蒸発時に周囲の熱を奪う気化熱で冷却効果が得られる。衣服内の快適性を高める素材として訴求する。抗菌防臭加工「ノンスタック」や制菌加工「ノモス」と組み合わせ、食品工場やメディカル分野にも提案を広げる。

〈抗菌や消臭での採用が拡大/猛暑対策でも注目/サンワード商会〉

 サンワード商会(大阪市中央区)のハイブリッド触媒「ティオティオプレミアム」は、消臭や抗菌での注目が高まっている。新型コロナウイルス禍で増えた抗ウイルスでの採用は沈静化した一方、猛暑対策や臭い対策での引き合いが拡大している。

 ティオティオプレミアムは大阪大学産業科学研究所との共同研究で開発したハイブリッド触媒で、抗菌、消臭、抗ウイルス、帯電防止など多機能を発揮する。近年は消臭や抗菌での採用が多く、繊維製品だけでなく、車両や建物など吹付施工も順調に拡大している。

 繊維製品では、学生服市場が在庫調整局面を迎えるなど堅調だったユニフォーム用途に一服感が出ているが、健康グッズ向けが引き続き順調に推移する。健康グッズも抗菌や消臭を付与するための採用で、靴下や寝具など展開アイテムも広がっている。

 猛暑対策品での引き合いも多く、今夏向けでは電動ファン付きウエアで汗臭対策としての採用が伸びた。近年はファッション衣料での注目も高まり、百貨店アパレルを中心に着実に採用する企業が増えている。

 従来機能に新たな機能を加えたタイプも拡充している。猛暑対策では気化冷却の機能を加えたタイプが堅調で、来夏向けでは遮熱機能を加えたタイプも開発している。非フッ素系の撥水(はっすい)機能を加えたタイプも高い洗濯耐久性を実現して開発し、ワークウエア向けなどに展開していく。

〈対応力が強みの生物ラボ/人材教育の結果が結実/カケンテストセンター〉

 カケンテストセンターの大阪事業所生物ラボは、ウイルスや菌、カビ、ダニ、蚊をはじめとするさまざまな生物に関連する試験を行っている。強みは対応力にあり、日本産業規格(JIS)以外の試験方法を含め、顧客の使用環境に合わせた試験に応じている。

 現在、生物ラボではダニやカビに関する試験依頼が増加傾向にあるという。ダニは、カバーや側地などの寝装品を中心に忌避試験と増殖抑制試験を実施している。カビは、抗カビ性とカビ抵抗性試験を行う。繊維ではカーテンなどの試験が目立つが、プラスチックや建材など繊維以外の製品の依頼も少なくない。

 抗菌性試験が一般的になった一方で、ダニやカビの試験は「伸びる余地がある」との認識を示し、その延長線上で特定タンパク質低減性試験(ISO4333)なども「増えていけば良い」と話した。他の検査機関との競争も激しくなるが、顧客の細かな要望に応じ、差別化を図る。

 例えば「カビの生えやすい環境の再現」「水を流しながらの試験」「サンプルのサイズ違い」といった要望に応えた。これらを可能にするのが人の力。「カビやダニをよく知らないと試験のアレンジはできない。人材教育の成果」と強調する。

〈サムシングニューを追求/技術の可視化にも力点/QTEC〉

 日本繊維製品品質技術センター(QTEC)の西日本事業所神戸試験センターは、微生物に関連する試験・検査を中心に顧客から高い評価を得ている。ただ、現状に満足することなく常に「サムシングニュー」(新しい何か)を追求し、他にはない技術の探索を続けている。

 同センターは「試験技術の高度化がサムシングニューにつながる」と話す。高度化には「他者ができない試験」「既存試験の精度向上」「新しい技術の獲得」の三つで取り組み、新型コロナウイルスに対する抗ウイルス作用の性能評価試験を国内検査機関で最も早く確立したという成果を上げた。

 保有している技術を可視化(認知向上)することも重要と捉えている。個人が持っている技術を組織としての技術に変換するためのQTEC内部の可視化のほか、外部向けの可視化も不可欠とし、論文執筆や学会での発表といった発信にも引き続き力を入れる。

 快適や衛生に関連する試験では「特定タンパク質低減性試験」(ISO4333)などを発信している。同試験を用いたSEKマークの運用が2025年4月に開始され、寝具類やカーテンなどで依頼が増えている。花粉、ダニの虫体や排せつ物以外の特定タンパク質にも対応する準備を進めている。