商社製品ビジネス特集2026/業務改革で未来切り開く/OEM/ODMの深化と進化

2026年06月01日 (月曜日)

 アパレル商社の事業環境は激しい変化に直面している。特に製品にかかわる事業は、消費行動の変化を受け、抜本的な改革の必要に迫られている。

 アパレル商社は主力のOEM/ODM事業に関して、サプライチェーンの最適化という課題に向き合っている。

 そうした中、STXはベトナムの生産体制の大幅な再編に着手した。現地生産の中核を担ってきたホーチミン市の縫製工場「SGS」を、郊外のラムドゥン省の工業団地に移転し、新たに「SGT」として稼働させる。

 一方、OEM/ODMで培ったノウハウを活用し、事業領域を広げる動きも活発化した。

 丸紅コンシューマーリンクは4月、丸紅ファッションリンクとフットウエア事業の丸紅コンシューマーブランズとの統合で誕生した。

 統合によるスケールメリットを生かし、ライフスタイル領域で新規事業の創出を目指していく。

〈蝶理/素材提案力の強化図る/顧客との〝共創〟推進〉

 蝶理の繊維事業は、原料・素材から製品まで一気通貫でサービスを提供できる強みを持つ。消費行動の変化に伴い、アパレル事業も変革を迫られる中、これまで磨き上げた強みをさらに発展させ、より顧客に寄り添った提案を行っていく。

 顧客の商材の企画・開発から携わり、素材の提案についても、常に幅広い選択肢を用意しておく。販売支援まで視野に入れ〝共創〟型のサービス提供を追求する。

 高伸縮機能糸「テックスブリッド」など、独自性が高い素材を豊富にそろえる同社は、こうした素材をはじめとする商材を「コンテンツ」として発信する。

 スラブ状の糸の縦横の配列に工夫を施し、通気性を高めた商品群を「SUU SUU」(スースー)という名称で展開している。

 遮熱素材「シェードシー」は、フルダル糸を使った織物生地で、遮熱率35%の機能を発揮する。

 感覚に訴えるこれらの名称には、顧客への浸透を促す狙いが込められており、決定する際には若手社員の意見も取り入れたという。

 6月11、12の両日に東京都渋谷区の「ウィズ原宿」で開催する、グループ会社のSTXとの合同展示会では、スースーの進化版など最新コンテンツを披露する。

 海外販売も、アパレル事業の成長の必須要件に位置付ける。香港事業会社のMCCが起点となり、世界を網羅した販売ネットワークの構築を目指す。欧米に向けては多様なアパレル商品、中国にはスポーツ・アウトドアを中心にビジネスを広げる構想を描く。

〈豊島/製品企画や提案を迅速に/品質担保への仕組みも確立〉

 豊島はさまざまな販路に向けて製品ビジネスを展開する。製造受託のOEMだけでなく、企画・デザインを含めたODMを拡大させている。自社ブランド素材の特徴や機能を生かした製品企画を強みとする。海外生産で日本品質を担保する仕組みも確立している。

 GMSや専門店向けアパレル企業のOEMを受託する。直営店を展開するSPAやスポーツ用品店、ホームセンター向けに衣料品や服飾・生活雑貨の納入事例も増える。各種小売業に向けて、企画から生産面を含めた包括的な提案も行う。ユニフォーム分野への開拓も進む。

 着用時の快適性を付与した素材や、強度を高めた自社機能素材の特徴を生かしたモノ作りにも優位性を見いだす。中国製の素材を東南アジアで縫製するといった、三国間の生産も急速に増やしている。求められる価格や品質、機能などの軸を見ながら、有機的に生産経路を組み立てる。

 海外生産で日本市場に合わせた品質を担保するため、さまざまな施策を立てる。品質管理は豊島国際〈上海〉が中心となり、中国はもとより他国にも品質管理の指導を行き渡らせる。東南アジアでの生産では、日本人スタッフと各現地法人のQC(品質管理)スタッフが中心となって専門のチームを立ち上げ、包括的かつ多角的な指導を施す。

 名古屋本社の営業を統括する阿知波好博取締役は「企画やデザインから製品提案まで、ワンストップで早期かつ正確に組み立てることが大事だ」と話す。

〈タキヒヨー/需要予測やIPを適切に活用/販促・売り場提案で優位性を〉

 タキヒヨー・ガーメントグループは人工知能(AI)での需要予測と、ブランド・キャラクターなど知的財産(IP)を生かした企画を強みに、製品事業を展開する。商品企画だけでなく、売り場作りや販売促進を含めた多角的な提案が、販売先からの支持を集める。販売先が直貿比率を高める中で「買わせる根拠と理由」を明確化した企画で優位性を保つ。

 販売先は専門店やGMS、百貨店系アパレル企業など。それぞれの販路で1年先までの需要予測を可能とした「FTFシステム」を活用する。ファッション系通販サイトの膨大な商品情報を用い、色、柄、素材、丈、シルエット、ディテールといった6種の要素別に分析結果が可視化できる。

 営業担当やデザイナー、商品計画を担うMDがそれぞれの分析軸で活用でき、利便性を高める。販売先も活用できるため、企画の根拠と整合性を共有できる。最終的には人のアイデアや意志決定を重視するが、高精度の市場の情報に裏付けられたデータ活用で、優位性を見いだす。

 豊富な種類のIPを生かした企画も、販売先の支持を集める。IPを活用する事例が多いベビー・子供服向けの市場調査から、サブカルチャーに明るいスタッフによる情報まで幅広く集約・共有する。最適なIPを生かした企画で販売精度を高める。

 商品企画だけでなく、3Dモデリストによる売り場の構築やSNSを連動させた販売促進も精度が高まる。マーケティングセクションが中心となり、販売促進の手法や活用方法の進化に取り組む。

〈瀧定名古屋/市場・販路に合わせた企画で/ワンストップ完結型提案〉

 瀧定名古屋の製品部門は、男性・女性向けのドレスからカジュアルまで幅広く展開している。ルームウエアやワンマイルウエア、ベビー・子供服も販売を伸ばす。市場や販路に合わせたODMを主体に、鮮度の高い企画提案をワンストップで完結させる。

 前期(2026年1月期)、製品部門に改称する前のアパレル部門売上高は287億円で、前の期比15%以上の増収だった。売上比率は全体の45%程度となる。

 主要販路は商品により異なる。女性向けカジュアルやトレンドアイテムはアパレル企業やSPA向けが多い。男女ドレス向けは郊外型専門店が主体。ルームウエア、ワンマイル、ベビー・子供服はGMSや衣料品専門店を顧客に持つ。機能やアクティブな要素を持つタウンカジュアルも、セレクト系企業に販売が伸びている。

 製品部門を担当する蜂須賀勉取締役は「素材からトレンドを押さえた、鮮度の高い企画を組み立てる」ことを強みに掲げる。国内だけでなくトレンドをけん引する韓国を含めた市場調査を重ね、傾向を的確につかむ。営業スタッフが中心となりワンストップで課題解決型の企画提案を進める。部門間で素材調達に関する情報を共有している。

 生産比率は中国が6割、カンボジアを含む東南アジアが4割。女性向けのトレンド品は中国主力工場でのQRで対応する。部門内に品質管理担当を置き、中国各地の主力工場とカンボジアの自社工場に品質管理担当を常駐させる。日本市場に合わせた品質基準を持つ製品の供給に徹する。