ごえんぼう

2026年06月05日 (金曜日)

 男性同士の恋愛ドラマのCMを見て、息子が「苦手」とつぶやいた。すかさずジェンダーの話をし、「そんな風に言わないの」と制した▼ちょっとした一言にも配慮が必要な時代。否定ではなく単なる感想でも、不用意に誰かを傷つけるのではと諭してしまう。だが「家では自由に言わせてよ」との言葉に、筆者こそ息子の感情を否定していたと気付く▼配慮は他者への優しさや共感の表れだが、哲学者の稲垣諭氏は「優しさが続かないのは自然なこと」と説く。他者を思うあまり、自分の感覚を置き去りにして心身が消耗するからだ。共感には二つあり、「情動的共感」に偏れば、同じように感じる相手にしか寄り添えず、社会に分断が生じる。相手を理解しようする「認知的共感」が大切だ▼とはいえ、認知的共感ばかりでは“配慮疲れ”に陥る。時には立ち止まり、自身の感覚を素直に受け止めることが、逆に優しさを育むのだろう。