全国綿花栽培概況調査 栽培復活へ「出口づくり」課題
2026年06月16日 (火曜日)
2025全国コットンサミットin天理実行委員会は14日、奈良県天理市の天理市民会館で「全国綿花栽培概況調査2025」の公開報告会を開いた。2025年の栽培面積は約18・3㌶、収穫量は推計約7㌧。国産綿花栽培の実態を把握するとともに、収穫後の加工や販売、活用につなげる「出口づくり」の重要性を示した。
同調査は、25年11月に同市で開いた「2025全国コットンサミットin天理―第10回記念大会―」の記念事業。回答は用紙119件、ウェブ99件の計218件だった。綿花は明治期まで国内各地で栽培され、1887年には作付面積約9万8479㌶、収穫量約8万3957㌧を記録した。その後、輸入綿の増加などを背景に縮小。現在の農林水産省に当たる農林省の全国統計では、最後となった1965年の作付面積は188㌶、収穫量は56㌧だった。実行委員会は今回の調査を「現時点で唯一の全国調査結果」と位置付ける。
2025年の都道府県別栽培面積は、兵庫県が5万9881平方㍍で最多。奈良県5万484平方㍍、岡山県1万1790平方㍍、宮城県1万1千平方㍍、滋賀県1万52平方㍍が続いた。1万平方㍍以上を栽培する事業者は5事業者あり、事業者別ではタビオ奈良(奈良県広陵町)が最大だった。
栽培規模は小規模層が中心。10平方㍍未満が68件で31・2%、50平方㍍未満が56件で25・7%だった。栽培開始時期は21年以降が103件で47・2%を占め、近年取り組み始めた個人や団体が多いことも分かった。
栽培目的は複数回答で、「社会・教育活動」が82件(37・6%)で最多。「リース、切り花、コットンボール」が73件(33・5%)、「自家用の糸布」が68件(31・2%)、「手芸品・各種小物(雑貨)類」が57件(26・1%)、「衣服等製造販売」が33件(15・1%)だった。農薬使用では「不使用」が178件(81・6%)にのぼった。
将来見据え土台が必要
24年の栽培面積は約20・3㌶、収穫量は推計約7・7㌧で、25年はいずれも減少した。実行委員長でH・A・M・A・木綿庵(ゆうあん、天理市)代表の梅田正之氏は、暑さによる収量減の可能性に加え、栽培意欲の低下も要因に挙げる。栽培した綿花を加工し、販売や活用につなげる「出口」が見えにくければ、取り組みを続ける動機も保ちにくいと指摘した。
報告では、栽培技術の継承や綿繰りなど加工工程、販売先の確保を今後の課題に示した。梅田氏は「今は18㌶、7㌧でも、将来、国産綿花栽培を復活させようとなった時には土台が必要になる」と強調。国際情勢が変化する中、栽培実態を把握し、担い手や加工・活用の仕組みを残しておく意義を訴えた。
今後は調査結果をインターネット上でも公表し、回答の掘り起こしを進める。梅田氏は「発表を見て『自分の地域でも栽培している』という声が集まれば、より実態に近づく」とし、国や行政にも調査の意義を「認めてもらいたい」との考えを示した。さらに綿花栽培を通じて「農業、福祉、教育、工業、工芸を結び、地域活動につなげたい」としている。





