LIVING-BIZ vol.131(2)/特集 寝具寝装モノ作り/原油高騰で進む値上げ/26秋冬品への転嫁必至
2026年06月17日 (水曜日)
イラン情勢悪化による原油・ナフサ価格の高騰で、ウレタンやポリエステルの原材料が値上がりしている。26春夏向けへの影響は限定的だが、26秋冬製品の値上げは避けられない情勢だ。
〈ウレタンが高騰/消費不振を懸念〉
寝具生産で素材供給が滞るなどの混乱は、起きていないとされる。一方で、値上げは相次ぐ。現状で最も目立つのが、ウレタン樹脂を発泡させたウレタンフォームだ。
ウレタンフォームは、ナフサから作られるイソシアネートとポリオールが主成分の発泡体。軟質と硬質に分かれ、軟質タイプはマットレスや椅子の中材、硬質タイプは断熱材などに幅広く使われている。
ウレタンフォームメーカーは、原料メーカーから仕入れたウレタン樹脂を発泡して販売しているが、原油・ナフサ価格高騰でウレタン原料価格が上昇したことを受け、4月から値上げする動きが広がった。
マットレス製造企業によると、仕入れ先のウレタンフォームメーカー1社から4月3日納品分以降35~49%の値上げ通知があった。ウレタンフォームの値上げは、タイムラグでウレタンマットレスなど製品価格へ転嫁され、今後小売り価格が上昇することは避けられない状況だ。
ウレタンフォームメーカーは「今後の情勢次第では、さらなる価格変動や供給制限、納期調整が必要となる可能性も否定できない」と取引先へアナウンスしている。
中国でも生産コストが上昇する。原料高に加えて、人民元高、円安が価格を押し上げている。26秋冬向け寝具への価格転嫁が進みそうだ。
寝具関連商社は「今後戦争が終結しても当面はサプライチェーンの混乱から原料価格が高止まりする予想。小売価格も上がり、消費不振が発生することを懸念している」と警戒する。
食料品や光熱費などの物価高の中で、寝具の購入を抑制する消費行動が続いているが、中東情勢の影響が長引けば、消費がさらに冷え込む恐れがある。
〈高まる中国の存在感/ASEANからシフトも〉
海外生産では、中国からASEANへのシフトが進んできた。特に日系大手量販店が中国からベトナムなどへ調達を切り替える動きが目立っている。
ベトナムはロット数が大きく、日系大手量販店や大手製造卸以外は活用しづらい面がある。そのため、小ロットに対応できる中国山東省などで生産するニーズも引き続きある。中国は原料、素材からの生産体制が整っており、寝具の生産拠点としての優位性が依然としてある。
さらに中東情勢の悪化以降、中国の安定供給が目立つ。ASEANシフトが進んできたが、原油不足でASEANの生産が不安定化する中で、ベトナムから中国へ生産を移す動きが一部あるとされる。中国の生産拠点としての存在感が高まる可能性がある。
〈東洋紡せんい/吸湿ポリエステルわた拡販へ/生産体制を再構築〉
東洋紡せんいは、高吸湿ポリエステルわた「グレファージュ」を2027年3月期の重点素材に位置付けている。国内生産体制を再構築し、顧客が求めやすい価格帯で安定供給できる体制を整えた。
グレファージュは、機能性材を分子レベルで繊維に化学結合させた改質わたで、綿を超える8%以上の吸湿率を持つ。
10年ほど前に開発し、紡績での展開も図ったが、染色性や堅ろう度に課題があったため、染色が不要な中わた用途を中心に販売を模索。ただ、小規模の生産体制や高価格帯がネックとなり、十分に広がっていなかった。
国内の協力工場を活用した生産体制を新たに構築し、課題を解消。従来の100キロ釜から、300キロ釜で製造することで月5トンを供給する。生産効率が高まり、「顧客が求めるプライス」に近付けた。
立体捲縮(けんしゅく)でかさ高性もあり、ふとんやウエアの中材用途へ提案する。寝具では、蒸れ感軽減を切り口に年間商材として訴求する。粒わたタイプも26年度中に打ち出す予定。
グレファージュと、粒わたポリエステル不織布シート「エアークロス」を組み合わせれば吸湿性を持つクッション材も製造可能。産業資材向けへも訴求する。
〈25年のふとん生産数/200万枚割れに〉
経済産業省の「生産動態統計」(速報ベース)によると、従業員20人以上の事業所の2025年のふとん生産数は、前年比10・5%減の199万枚だった。2020年以降300万枚割れが続いていたが、200万枚の大台も下回った。
掛けふとんは24・1%減の29万8302枚、敷ふとんは17・2%減の70万4286枚、こたつふとんは19・0%減の2万3751枚、羽毛・羽根ふとんは1・4%増の96万5597枚だった。





