繊維ニュース

NICTなど/衛星通信アンテナ47%軽く/炭素繊維複合材で排熱部材

2026年06月19日 (金曜日)

 情報通信研究機構(NICT)、シャープ、三菱ケミカル、テックラボは、非地上系ネットワーク(NTN)向け平面アンテナを47%軽量化することに成功した。炭素繊維プリプレグとグラファイトシートを組み合わせた複合材料製の排熱デバイスを採用し、衛星通信ユーザー端末としての動作も確認した。

 従来の平面アンテナはアルミ製排熱デバイスを使っていたが、新設計のCFRP(炭素繊維強化プラスチック)排熱デバイスに置き換えた。重量は5・5キロから2・9キロに軽くなった。排熱デバイス単体では1キロ以下を実現した。

 NTNは衛星や高高度プラットフォームなどを使う通信ネットワーク。山間部や海上、離島、被災地など地上系通信が難しい場所でも高速通信を可能にする。一方、衛星や高高度プラットフォームを追尾する平面アンテナは発熱量が大きく、高い排熱性能と軽量化の両立が課題だった。

 開発では、NICTがアンテナ全体設計や軽量化方針を検討。三菱ケミカルが炭素繊維プリプレグとグラファイトシートの材料開発を担い、テックラボがCFRP排熱デバイスの設計、成形加工技術を確立した。シャープが同デバイスを平面アンテナに組み込み、統合評価した。

 アンテナ特性の評価では、送信パターンの差が端末誤差の範囲内に収まり、受信利得特性にも差がないことを確認した。さらに、通信モデムと組み合わせ、衛星通信ユーザー端末として動作することも確かめた。

 軽量化により、産業用ドローンの搭載可能重量の範囲に収まる端末が実現した。ドローンや車両などへの搭載を広げ、災害時の通信回線確保、モビリティ(移動手段)の位置情報送信、自動運転への利用などを見込む。4者は今後、排熱性能や実装性の詳細評価を進め、用途に応じた最適設計と実証を続ける。