繊維ニュース

この人に聞く/東洋クロス 社長 清水 栄一 氏/クロスも〝新〟の創造

2026年06月22日 (月曜日)

 東洋紡グループで装丁クロスや合成皮革、フィルムコーティング事業などを担う東洋クロス(大阪市中央区)。4月に就任した清水栄一社長に今後の戦略を聞いた。

  ――現在の業容は。

 繊維資材分野のクロス、ビニルレザー、合成皮革のほか、フィルムの4事業を展開しています。このうちクロスはパスポートや銀行通帳の装丁で高いシェアを誇ります。ただ、パスポートは安定しているものの、銀行通帳クロスは都市銀行を中心に通帳廃止の動きが続いており、需要は漸減傾向。このため最近では自動車の荷台の積載物を保護するトノカバー向け不織布加工も行い、こちらは堅調です。

 合成皮革は家具や車両シート地が主力です。車両シートに使う合成皮革の撥水(はっすい)防汚加工はフッ素系が主流ですが、当社はシリコン系なのが特徴。コストは高くなりますが、耐久性に優れます。近年、非フッ素系加工を求める海外の自動車メーカーでの採用が増えています。

 一方、ビニルレザー事業は、2027年3月末で樽井事業所(大阪府泉南市)での自社生産を停止し、協力工場での委託生産に切り替えることを決めました。設備の老朽化が理由です。有機溶剤などを使用する関係で安全防災設備などの大型投資・更新が必要なのですが、現在の用途の市場性では新規投資に見合う収益性を確保するのが難しいと判断したこともあります。

 フィルム事業は、東洋紡の工業用フィルムの受託加工と一部自販です。東洋紡のフィルムは敦賀事業所(福井県敦賀市)と宇都宮事業所(宇都宮市)が生産拠点です。両事業所が扱いにくい、小ロット品や特殊品の生産を担えるのが当社の強みです。

  ――今後の戦略は。

 フィルム事業を軸にしながら、祖業である繊維資材分野も伸ばしていく考えです。フィルム事業は大型の先行投資を進めたこともあって収益面で苦戦していますが、筋肉質な事業体制を再構築します。引き続き東洋紡のフィルム本部とも連携を強めながら、受託といえども製造加工拠点として不可欠な存在となることが目標。そのために開発や製造加工技術に一段と磨きをかけます。

 繊維資材分野は、新規用途開拓など「〝新〟の創造」に当社でも取り組みます。例えば合成皮革は車両シートに加えて、コンシューマーエレクトロニクス用途や、宝飾品のケース・什器(じゅうき)といったラグジュアリー用途などが有望でしょう。非フッ素系撥水防汚加工も強みになるはず。クロスもパスポートや通帳に続く用途開拓が欠かせません。

 このため「サステナブルマテリアル展」「新機能性材料展」「高機能プラスチック展」など合同展示会にも積極的に出展します。繊維資材分野は、まずは、いろいろな人に当社の技術や製品を〝見つけてもらう〟ことが欠かせません。ですから、これまで以上に発信も強めたいと思います。