特集 サステイナビリティー(3)/社会課題解決に貢献へ/先進的製品・技術・サービス/旭化成/小松マテーレ/東洋紡せんい
2026年06月25日 (木曜日)
〈旭化成/加工でも環境負荷低減/二国間クレジットも活用〉
旭化成のベンベルグ事業部は、キュプラ繊維「ベンベルグ」のサステイナブルな素材特性を打ち出すと同時に、染色加工の技術開発などを通じて製造・加工工程での環境負荷低減に取り組んでいる。二酸化炭素など温室効果ガス(GHG)排出量削減も二国間クレジット制度(JCM)を活用し、サプライチェーン全体での環境負荷低減に取り組む。
ベンベルグは、天然素材であるコットンリンターを原料とし、海水中も含めた生分解性もあるなど環境に優しい素材特性が強み。さらに新たな染色加工の技術開発に力を入れており、これを国内外の加工場に提供することで加工工程でのエネルギー使用量などの削減につなげる。
また、GHG排出量削減に関し、JCMを活用する。JCMは、途上国で脱炭素技術などの普及や対策実施を通じて実現したGHG排出削減・吸収への日本の貢献を定量的に評価し、日本側のGHG削減目標など(NDC)の達成に活用する制度。
現在、東南アジアなどでGHG排出量削減につながる技術などの提供に向けた取り組みを進めている。日本から提供した技術によって実現したGHG排出量削減効果は、現地だけでなく一部は日本の成果としても算定することができる。これによってサプライチェーン全体での環境負荷低減と、新興国での環境負荷低減技術の導入・普及に貢献できる。
そのほか、リサイクル技術の実用化にも力を入れる。既にキュプラ長繊維不織布「ベンリーゼ」の端材を再利用するプレコンシューマー型リサイクルを進めている。
〈小松マテーレ/必要な量だけ染める/染め替えなどにも対応〉
小松マテーレは、必要な量だけ無駄なく染める製品染めのリブランディングを進めており、2月に製品染めブランド「TINTORIANA」(ティントリアーナ)を立ち上げた。独特の表情や風合いなど幅広いバリエーションをそろえ、染め替えや後加工などのニーズにも対応していく。
製品染めはこれまで「ガメダイ」ブランドで展開してきたが、今のニーズに合うよう再定義し、ティントリアーナとして展開する。従来は製品染めならではの意匠性を追求してきたが、無駄のないモノ作りやアップサイクルなど近年増える新たな要望にも対応していく。
製品染めで必要な量だけ染めることで、無駄のないモノ作りを実現する。染色釜は2キロから90キロまでそろえ、10着からの染色が可能。従来の製品染めは1点ものの表情が特徴だったが、色の再現性も追求していく。
製品在庫を違う表情にして販売する動きにも対応する。通常納期は1カ月だが、計画的に対応すれば2~4週間での染め直しも可能で、店頭の売れ残りを色を変えてシーズン内に売ることもできる。
海外で染色するユーザーには、寸法が安定するよう前処理した製品染め前の状態でも供給する。
同社は、2002年からイタリアのティントリア・エミリアーナと提携し、製品染めの技術を蓄積してきた。独特の表情や風合いのバリエーションも幅広い。足元では洗いざらしや落ち感などビンテージ感がある商品が人気で、デニムの落ち感を出す商品も注目を集めている。製品染めでデニムに後加工を施すなどのニーズも増えており、今後は機能加工なども強化する。
ポリエステルやナイロンのほか、ウールや綿などの天然繊維でも合繊長繊維を得意とする染工場ならではの味が出せると人気を高めている。
〈東洋紡せんい/「さいくるこっと」注目/ポストコンシューマー型も〉
東洋紡せんいが販売する新タイプのリサイクル綿糸「さいくるこっと」への注目が高まっている。ここにきて大手アパレルも採用に向けて動きだしており、使用済み繊維製品を再利用するポストコンシューマー型リサイクルに向けた取り組みが始まった。
さいくるこっとは、協力関係にあるインドの大手紡績と連携して実現したもの。新方式の開繊技術によって繊維長を維持した反毛を原料とするため、細番手糸やリサイクル原料100%の紡績が可能。糸表情の品位にも優れる。
欧米へのテキスタイル輸出に取り組む産地企業を中心に採用が進む。その1社であるエイガールズは昨年11月に米オレゴン州ポートランドで開催された機能性ファブリック見本市「ファンクショナル・ファブリック・フェア」(FFF)に出展し、さいくるこっとを採用した生地で「コットン・アワード」を受賞した。
ここにきて大手アパレルも採用に向けて動きだした。アパレルが日本で回収した使用済み綿製品をインドに送り、さいくるこっととして再生するポストコンシューマー型リサイクルの取り組みが検討されている。そのほか、デニムの開発なども進められている。
ほかにもリサイクル原料を活用した長短複合紡績糸や2層構造紡績糸、特殊紡績糸などのラインアップを拡充する。マテリアルリサイクルナイロン長繊維「ループロン―M」とマスバランス方式を含むケミカルリサイクルナイロン長繊維「ループロン―C」の提案にも力を入れる。こちらも欧米輸出に取り組む産地企業で採用が進んだ。





