特集 サステイナビリティー(6)/社会課題解決に貢献へ/先進的製品・技術・サービス/シキボウ/豊島/クラレ

2026年06月25日 (木曜日)

〈シキボウ/資源循環へ多彩な提案/生分解や繊維廃材の活用で〉

 シキボウは、資源循環に向けた素材提案を拡充している。高通気素材「アゼック」と生地商社のV&AJapan(大阪市西区)が手掛ける生分解性ポリエステル「クラフトエボ・リーテ」との共同企画や、繊維廃材のアップサイクルなど、多様な循環手法で企業のSDGs(持続可能な開発目標)関連需要を捉える。

 クラフトエボ・リーテは、特定条件の堆肥に埋めると水と二酸化炭素に分解される素材で、製品回収後にV&AJapanの堆肥場で処理し、資源循環させる仕組みも合わせて提案する。アゼックとの共同企画は昨年10月の展示会から展開を始め、認知度の向上とともに引き合いも増えている。

 ユニフォームでの展開を想定し、ワークウエアや食品白衣向けに、クラフトエボ・リーテと綿の混紡糸を用いた織・編み地のアゼックを開発した。ユニフォーム素材で多い綿・ポリエステル混生地への置き換えも見据え、採用拡大につなげる。

 グループの新内外綿と連携する繊維廃材のアップサイクルシステム「彩生」は、不要になった生地や端材を反毛して再び糸に戻し、製品原料に生かす取り組み。廃棄製品を原料にノベルティーへ再生する採用例も出ており、着実に実績を積み上げている。

 反毛とは異なる再資源化の手法として、廃棄綿を再利用したバイオマスプラスチックペレット「コットレジン」も展開している。廃棄綿をミクロサイズまで粉砕したものを樹脂と混ぜ合わせてペレット化し、成形品への活用につなげる。素材の状態や用途に応じた選択肢をそろえ、再資源化の可能性を広げる。

〈豊島/海洋ごみをアップサイクル/食材再活用の染色も拡大〉

 豊島は、回収・循環型の素材やプロジェクトを「OurCycle」(アワサイクル)と称し、さまざまな取り組みを通じて持続可能な社会の実現を目指す。

 「UpDRIFT」(アップドリフト)は、国内の海岸で回収されたペットボトルなどをリサイクルし、新たな製品として生まれ変わらせるプロジェクト。

 沖縄県石垣島でのビーチクリーン活動に参加しているマッシュスタイルラボ(東京都千代田区)は、そこで回収したペットボトルの一部を、アップドリフトのスキームを活用してリサイクルし、その生地を使い再生品を作り出している。

 同社のレディースブランド「emmi」(エミ)は23年、フォトグラファー・後藤啓太氏との協業で製作したTシャツ2型に、アップドリフトの生地を採用。

 25年にも、ecostore JAPAN(東京都千代田区)が展開するニュージーランド発ナチュラルデーリーケアブランド「エコストア」とのコレクションを発表した。

 ゴールドウインが展開するブランド「ザ・ノース・フェイス」(TNF)と共同開発した繊維「ドリフトダイ」は、環境配慮と機能性の両立を追求した。コットンをベースに、アップドリフトの再生ポリエステルを組み合わせることで耐久性を高めた。ドリフトダイを使ってTシャツ、ロングスリーブ、スエットを製作し、「ロングライフなものづくり」を実践した。

 ドリフトダイの開発では、廃棄食材を染料に再活用する「FOOD TEXTILE」(フードテキスタイル)のカラーも取り入れ、赤かぶ、しょうが、センブリの3色を採用した。

〈クラレ/「ランドセルは海を越えて」/アフガンの学び支え23年〉

 不要になったランドセルを回収しアフガニスタンに寄贈する、クラレの国際社会貢献事業「ランドセルは海を越えて」は今年23回目を迎えた。毎年7千個~8千個を送り、現地の政変や新型コロナウイルス禍などでも途絶えることなく、累計17万個を超える。

 同社の人工皮革「クラリーノ」は1965年の発売以来、ランドセル用素材として高いシェアを誇る。2000年代に入り、「思い出の詰まったランドセルを再利用できないか」という声が寄せられたことが事業のきっかけ。

 保存用のミニチュアにするサービスもあるが、耐久性の高いクラリーノ製のランドセルはそのまま使える。NGOや企業、学校などの協力を得て04年、第1便がアフガンへ旅立った。

 全国から集められたランドセルを検品し、箱詰めする「旅立ち準備」は同社の恒例行事。今年は4月、横浜市内で行われ、新入社員と社員ボランティア、関係者、同社社員で女子スキージャンプの髙梨沙羅選手らが倉庫で汗を流した。

 ランドセルはシンガポール、パキスタンを経由して陸路でアフガン国境へ。現地のNGO「アフガン医療連合センター」の協力で各地に届けられる。

 政情不安な同国では学校、教員が不足し、児童労働も深刻。学齢期の児童の約半数が通学できていないという。

 同社のレポートには、野外でランドセルを机代わりに勉強する子供たちの姿がある。校舎はなくても表情は青空のように明るい。「アフガンはモノを大切に使う文化がある国。ランドセルを毎年楽しみにしていただいている」と同社。ランドセルは「学び」の象徴であり、日本と現地をつなぐ絆といえる。平和への思いを込め、取り組みは続く。