特集 サステイナビリティー(7)/関西ファッション連合のSDGsアワード/ファッション業界が挑む、持続可能な未来
2026年06月25日 (木曜日)
協同組合関西ファッション連合(KanFA)はこの数年、SDGs推進室を事務局内に設置し、SDGs(持続可能な開発目標)関連事業に熱心に取り組んでいる。2021年4月からは加盟組合員の中でSDGsへの取り組みを積極的に推進する企業を表彰する「SDGsアワード」も始めた。今年も4月20日に第6回の授与式を大阪市内のホテルで行った。どの企業のどのような取り組みが審査員に評価されたのか、紹介する。
〈評価項目は普遍性など五つ〉
選考の際の評価項目は、「普遍性」「包括性」「参画性」「統合性」「透明性と責任説明」――という五つ。その結果、今回授与されたのは4賞・4社(三起商行は2賞獲得)だった。
SDGs活動に積極的に取り組み、特にSDGs推進室の活動テーマに貢献・協力した会員に与えられる「パートナーシップ賞」、SDGs活動にユニークな内容または独自のアイデアで取り組む会員に与えられる「ユニーク賞」、SDGs活動に積極的に取り組み、他の組合員に向けても開示・発表した「アクション賞」、各評価項目の総合得点が高い企業に与えられる「審査員特別賞」――の四つ。
〈パートナーシップ賞・審査員特別賞/「子ども第一」のSDGs戦略/三起商行〉
三起商行は1971年の創業以来、「子どものことを一番に考え、子どもたちへの愛情をカタチに」という不変のフィロソフィーを持っている。2015年にはCSR調達を開始し、環境問題や人権問題への取り組みを本格化させる。同社にとってのSDGsは、新たな付加価値ではなく、創業哲学の「現代語訳」だ。SDGsの視点を取り入れながらも根本は変わらない。奇抜な新規施策を追うのではなく、自社の強みと社会的意義を結び付けるアプローチを続けている。
21年には部門横断型の「SDGs推進委員会を発足させ、不安の共有や体験型学習、業務への還元を順次進めた。
長寿命化としてのリペアサービス、環境配慮としてのサステイナブル素材の採用、人権と信頼としてのサプライチェーン構築、日本の技術伝承としての伝統工芸の保護に取り組んできたことや、子供に関わる企業として教育支援やスポーツ支援、各種の社会貢献活動を続けてきたことが評価された。
〈アクション賞/繊維業界の未来を紡ぐ/カケンテストセンター〉
カケンテストセンターには2020年ごろから、個々の営業担当者が顧客からの相談として有害物質管理などへの対応を行ってきた。この流れを受けて21年に立ち上げたのが「CSR推進室」。組織的な知見の集約を開始した。23年には「サステナブル推進室」も新設し、複雑化する環境負荷削減ニーズに特化し、事業として正式に推進する。
自社のごみ排出量を算定するなど環境負荷低減の取り組みを具体的に進め、「工場を廃業させないための伴走」をテーマにサプライチェーンの工場の人権監査にも乗り出す。業務では、紙からデジタルへの移行など、デジタル技術で企業を変革するDXの推進と、男性育休の定着といった働き方改革を進め、「次世代へつなぐ土台作り」に奔走している。こうした具体的かつ効果的な取り組みがアクション賞の受賞につながった。
〈アクション賞/商社が描くエコシステム/丸紅ファッションリンク〉
丸紅ファッションリンクは2022年、丸紅グループ「行動憲章」に基づく社長発案のプロジェクトを始動させた。2年で米国のリサイクル技術企業との協業によるエコ素材や、日本の縫製工場の端材を活用した反毛糸を開発し、一定の成果が出たとして解散する。
その後、産業廃棄物処理場を訪問したことを契機に、再資源化の可能性に気付く。商社機能を生かして社外の力を結び付けつつ、紙くず、繊維くず、廃プラスチックなどを固形燃料(フラフ燃料)に再資源化することに成功。24年度のプラスチック廃棄リサイクル量はドラム缶77本分、15・65㌧に達し、コスト低減と環境配慮を両立させた。この取り組みが決め手となり、アクション賞を受賞した。
〈ユニーク賞/持続可能な共創プラットフォームへ/増見哲〉
副資材製造卸の増見哲は1939年の創業以来、ボタンやレース、ファスナーの卸売りをなりわいにしてきた。転機は新型コロナウイルス禍。SDGsへの意識が高まり、「今のままでいいのかな」という問いが生まれた。そして23年、増見喜一朗社長の祖父で創業者である増見鉄男氏が通い、その後廃校になった兵庫県・淡路島の小学校をリノベーションして複合施設「ei―to」(エイト)をサステイナブル発信拠点として立ち上げる。
廃棄繊維を再利用した陳列台や、海洋ごみを活用したアート照明など空間全体で循環型経済を体現した施設。藍染め体験やプリント体験、廃棄テントに絵を描くワークショップなどを通じ、愛着を持って「長く使うモノ作りの楽しさ」を伝えている。
地域のハブとして機能する「共創のエコシステム」を標ぼうし、子供たちが自ら服を作り、ランウエーを歩く体験も提供するなど企画の充実が顕著。こうした取り組みが評価され、今回の受賞に至った。





