特集 サステイナビリティー(10)/社会課題解決に貢献へ/先進的製品・技術・サービス/トーア紡マテリアル/島田商事/伊藤忠マシンテクノス

2026年06月25日 (木曜日)

〈トーア紡マテリアル/再生炭素繊維の用途開く/紡績糸とテープ材開発〉

 トーア紡マテリアルは、リサイクル炭素繊維(rCF)を用いた紡績糸とテープ状材料を開発した。熱可塑性複合材の成形に向け、長年培ってきた紡績技術を生かして短繊維状のrCFを中間材料に加工し、新たな需要創出を目指す。

 航空機や自動車に使われる炭素繊維複合材料(CFRP)の廃材や製造端材から取り出すrCFは、短繊維状となるため用途展開が課題だった。同社は岐阜大学、三重県工業研究所と連携し、経済産業省の成長型中小企業等研究開発支援事業(Go―Tech)の採択を受けて2023~25年に共同研究を行い、四日市工場(三重県四日市市)で両材料を開発した。熱可塑性繊維には、熱による成形加工が容易なポリプロピレン(PP)を採用した。

 紡績糸はrCFとPPを混綿し、開繊、カード、練条を経て精紡機で撚りを掛けた。クリンプがなく開繊しにくいrCFに前処理を施し、体積比でrCF50%、PP50%の太さ300テックスの紡績糸を実現した。同糸で生地も製作し、用途展開の可能性を広げている。

 テープ状材料の体積比もrCF50%、PP50%で、スライバーに撚りを掛けず、加熱してPPを溶融させた。ニードルパンチ不織布と異なり、繊維を長さ方向に配向できるため、重ね合わせる方向を変えることで、強度を設計した成形品の製造が可能になる。

 開発した紡績糸やテープ状材料を生かし、スポーツ用品や靴の基材、ドローンなどへの展開を見込む。ポリカーボネートなど他の熱可塑性材料との複合も検討し、rCFの用途拡大につなげる。

〈島田商事/独自性強い取り組みを推進/寄付と有害物質規制と〉

 副資材製造卸の島田商事(大阪市中央区)は、一味違った独自性の高いサステイナブルの取り組みを推進している。一つは、副資材の購入が寄付につながる「T.S.P.L.」プロジェクト。もう一つは、繊維関連商品製造時の規制物質の使用・不使用を透明化して共有する独自の「島田RSL」(リストリックサブスタンスリスト)の取り組みだ。

 T.S.P.L.は、SDGs(持続可能な開発目標)の17の目標それぞれに提示されているテーマカラーに着目した資材販売の取り組み。「多彩な色を持つ副資材だからこそ表現できることがあるのではないか」と考え、SDGsのアイコンカラー17色の副資材をラインアップした。

 対象の副資材をアパレルなどが購入すると、その3%が自動的に支援団体に寄付される。団体はブリッジエーシアジャパンなど複数。アパレルやその製品を購入した消費者が自動的にSDGsに貢献できる取り組みとして、2023年度(12月期)の導入以降、徐々に認知度を高めている。

 26年度の対象副資材の販売総額は、5カ月を終えた時点で、25年度通期の719万円を上回る822万円となり、過去最高だった23年度の756万円も超えた。このうち3%が各種社会貢献団体に寄付される。ユニフォーム関連で多く購入されており、今後はスポーツやメンズなどスポーツ以外の分野への広がりを課題とする。

 RSLとは、製品に含まれる有害な化学物質の使用を制限・禁止するリストで、各ブランドや認証団体などが独自に設定している。同社は23年度から、厳しい規制を課しているとされる国内外のアパレル10社それぞれの規制と業界規制を調べた上で、独自のリストを策定した。

 日本、中国、タイ、インドネシア、ベトナムなどの主要な仕入れ先約300社にそのリストを渡し、物質ごとの使用有無をサインして返却してもらう。1年に1回このやり取りを行っており、今年で4回目。その内容は「業界で最も厳しいとされるブルーサインに近いものになっている」という。

 自社の営業や仕入れ担当のスタッフが毎回確認する手間が省略され、仕入れ先の業務も簡便化できる。安心・安全を担保できる取り組みとして、欧米ブランドや、海外志向の強い日本のブランドから重宝されているという。

〈伊藤忠マシンテクノス/残糸処理で廃棄物削減/半自動ドローイング機も登場〉

 伊藤忠マシンテクノスは、機械商社として日本のニーズに対応した最新機種を世界から調達する。このほど新たに長繊維用残糸処理装置の提案を開始した。

 同社が提案するのが、バンデ・ビーレグループのメスダンの長繊維用残糸処理装置「プロキシマ」。製織・編み立て工程で発生する残糸は廃棄処分されることが多く、廃棄物削減や環境負荷低減の観点から対策が求められている。これに対してメスダンのプロキシマは、残糸をつなぎ直し、パッケージにリワインディングすることで再利用を可能にする。

 一般的な長繊維のほか、炭素繊維やアラミド繊維など高機能繊維の処理も可能だ。高機能繊維は糸値が高価なため、残糸を回収・再利用することは廃棄物削減だけでなくコストダウンでも大きな効果を発揮する。環境配慮とユーザー企業の競争力強化につながる装置といえるだろう。

 もう一つ注目の提案が台湾の準備機メーカー、CCIの半自動ドローイング機「ドローウィズ」。ドローイング工程で最も労力を要する筬(おさ)通しを自動化する。元々はサンプル製織用の装置だが、筬幅2600㍉まで対応するタイプも用意し、並幅の製織準備にも使うことができる。

 近年、織布業界では受注の小ロット化・短納期化が一段と進み、準備工程の負担が大きくなっている。また、産地の人手不足も深刻で、少しでも準備工程の自動化を進めたいというニーズは多い。一方、自動ドローイング機は高価なため、設備投資の負担は大きい。これに対して、ドローウィズは比較的少額の投資で準備工程の一部を自動化できる。産地の持続可能性に貢献する機械といえる。