特集 サステイナビリティー(13)/社会課題解決に貢献へ/先進的製品・技術・サービス/東レ・ライクラ/モリリン/赤ちゃん本舗

2026年06月25日 (木曜日)

〈東レ・ライクラ/再生やバイオマス活用/グリーンプロジェクト推進〉

 東レとザ・ライクラ・カンパニーの合弁でポリウレタン弾性糸「ライクラ」を製造販売する東レ・ライクラは、サステイナブルなモノ作りを実現するために「東レ・ライクラ・グリーンプロジェクト」を推進している。リサイクル原料やバイオマス由来原料の活用が加速する。

 グリーンプロジェクトは、社会的責任(CSR)を戦略的に実践する「企業としての責任」、廃棄物や水使用量の削減など「製造工程での環境負荷の低減」、環境配慮型製品など「未来を守る持続可能な開発」の三つを柱とする。

 取り組みの一つとして2024年から滋賀事業場(大津市)に試験機を導入し、リサイクル技術の確立を進めた。使用済み繊維製品からポリウレタン成分を分離・回収し、再利用する。現在は製造工程で発生する端材や残糸を資源化するプレコンシューマー型リサイクルで技術確立を終えた。将来的には使用済み繊維製品を再資源化するポストコンシューマー型リサイクルの実用化も目指す。

 バイオ由来原料を一部使用したポリウレタン弾性糸「ライクラT―926Cファイバー」も商品化した。原料特性に加えて既存のソフトストレッチタイプと比較して約5℃低い温度で熱セットできるため、生地加工の際の使用電力量や二酸化炭素排出量の削減にも寄与する。

 新規用途開拓としてライクラを使ったボディタオル「つるふわあらいぐまボディタオル」も商品化し、大手通販サイトを通じて販売している。泡立ちの良さが特徴で、せっけんなどの使用量削減にもつながるという。消費者に向けたブランディングの一環でもある。

〈モリリン/未利用資源をインクに/環境配慮型の2次加工訴求〉

 モリリンは食品や植物由来の未活用資源を顔料インクに再生し、印刷や2次加工に活用する「エバーカラー」の訴求を強める。アパレル・服飾雑貨の2次加工や、文具やノベルティー向けの印刷にも対応できる。異業種との協業の輪を広げることも目的に掲げる。

 廃棄をなくし、インクの素材に再生することで、サーキュラーエコノミー(循環型経済)の実現を目指す。アパレル・服飾雑貨の2次加工事業「モリカスタムプロ」の一種としても推進する。環境配慮由来の顔料インクで加工した商材を扱う企業の価値向上にもつなげる。事業課題への解決にも貢献したいとする。

 コーヒーを抽出した後の残渣(ざんさ)や、チョコレートの製造過程で廃棄の対象となるカカオハスクなどを使いインクにする。現在、6色のインクをそろえており、色の三原色となる青、緑、赤をブレンドしながら、個別の色指定にも対応する。貝殻や卵の殻、廃棄対象のタイヤを活用した、白と黒のインクを開発中。実現するとCMYKカラーモデルにも対応が可能となる。

 顔料インクは、インク製造企業、食品系商社、薬剤開発に関連する商社などが連携し、特許技術によって製造される。飲食店を展開する企業が協業することで、サービスの幅が広がる。

 エバーカラーを推進する新規事業室の宮川翔氏は「サステイナブルな2次加工、印刷サービスとしての強みを生かしたい」と話す。今後、エバーカラーで使用するインクが、さまざまな場面で広く使われることにも期待する。環境配慮への取り組みが先行する欧州市場への参入も見据える。

〈赤ちゃん本舗/子育て支援通じ持続可能性/哺乳瓶や衣料品など回収〉

 ベビー・マタニティ専門店「アカチャンホンポ」を展開する赤ちゃん本舗(大阪市中央区)は「子育て支援の課題解決そのものが持続可能性につながる」と認識のもと、哺乳瓶の回収・リサイクル、リユースなどに取り組む。

 2023年3月から全国店舗で始めたピジョン製哺乳瓶の回収・リサイクルもその一つ。育児用品最大手のピジョンと連携。国内の哺乳瓶市場で約80%のシェアを持つというピジョン製品を対象に25年12月末までに累計約5万本を回収。樹脂パーツは再生し、一部をマタニティーマークにし、自社のリサイクル啓発イベントで無料配布する。

 廃棄物削減だけでなく「哺乳瓶は育児の記憶として愛着がある特別なアイテム。次世代へのお守りとしてストーリー性」を持たせ消費者のリサイクル意識の啓発につなげたいとする。

 リユースは23年から年1回、日本リユースシステムが運営する「古着でワクチン」に参画する。同システムは消費者が専用バッグを自己負担で購入する仕組みだが、同社は実施期間中に店舗へ持参すれば無料で引き取る。集めた衣料品は海外に輸出・販売され、その収益はNPO法人「世界の子どもにワクチンを日本委員会」を通じポリオワクチン提供に充てられる。他社で購入した衣料品も対象だ。

 この取り組みでは効率的な回収ボックスだけを設置するのではなく、スタッフが対面での受け取りにこだわる。

 衣服を手渡される際に「ありがとうございます」と直接声を掛けるなど消費者とのコミュニケーションを重視するなど同社の姿勢を表している。