特集インテリア総合(1)/持続可能なモノ作りへ/コスト高騰への対応課題に
2026年06月26日 (金曜日)
2月28日に始まった米国とイスラエルによるイラン攻撃で原油価格が高騰し、インテリア業界へも大きな影響を及ぼしている。米国とイラン双方が戦闘終結などに関する覚書に合意し、経済の正常化が期待されるが、完全収束につながるか、先行きの不透明感も残る。
〈可塑剤にタイト感/接着剤の需給が逼迫〉
インテリア製品は、原油由来の素材使いが主力。国産壁紙は、塩化ビニル樹脂系が生産量の95・6%(2024年度、日本壁装協会調べ)に上り、国産タイルカーペットも裏材の塩ビバッキングをはじめ、パイルもナイロン糸とポリプロピレン糸使いが全体の88・5%(25年、日本カーペット工業組合会員企業の生産)を占め、原油高騰の直接的な影響が大きい。
中東情勢悪化後、インテリア製品の製造に大きな支障は出ていないが、原材料の一部でタイト感も出ている。樹脂を柔らかくして成形加工をしやすくする可塑剤は国内メーカーの生産が一時的に停止。東リでは、輸入品の調達や貯蔵タンクの確保を進める。
施工時に使う接着剤の需給も逼迫(ひっぱく)感が見られる。住宅メーカーの一部で資材の納期が固まらず、7月以降の住宅の引き渡しが遅れる恐れがあり、インテリア製品の販売にも波及しそうだ。
インテリアメーカーでは7月以降、塩ビ素材などの確保に不透明感が出ていたが、米国とイランが戦闘終結などに関する覚書に合意したことで、原料・素材調達の安定化につながるとの期待感が高まる。
〈コスト増で相次ぐ値上げ/適正な価格転嫁テーマ〉
生産コストは大幅にアップしている。原油価格の高騰で4月以降、塩ビ樹脂や可塑剤、ナイロン糸、ポリプロピレン糸などの原油由来の原材料・素材コストが上昇する。
タイルカーペット1次基布(ポリエステルスパンボンド不織布)の大手2社では、NBセーレンが4月から1㌔50円、5月からさらに1㌔50円の値上げ。フロイデンベルグ・スパンウェブ・ジャパンは1日納品分から現行価格より15%の値上げし、サーチャージ的運用で毎月変動させる。
カーペットメーカーによると、平均で30%程度コストアップする。
コスト高騰を受け、大手インテリアメーカーでも値上げが相次ぐ。サンゲツは7月1日受注分から18~30%程度、スミノエインテリアプロダクツは同15~30%、東リは7月27日受注分から20~30%、リリカラは29日出荷分から15%~30%程度、田島ルーフィングは7月21日納品分から20~30%、それぞれ値上げする。値上げはビニル系床材、カーペット、壁装材、カーテン、幅木・接着剤など幅広い品目に及ぶ。
東リはコストアップが先行し、後追いの改定のため利益を圧迫。27年3月期の営業利益は19・6%減、上半期に限ると50%減を見込む。永嶋元博社長は「先行きが見通しにくい状況。第2四半期が終わった時点で通期計画を見直したい」とする。
カーペット製造の日本絨氈(堺市)は、コスト高騰への対応を優先課題に挙げ、「自社で負担、吸収できる値上げ幅ではなく、価格転嫁せざるを得ない。いかにスムーズに転嫁していくかが課題」と強調する。
中東情勢が安定化しても、コスト増の影響は当面続くとみられ、適正な価格転嫁がポイントの一つになる。
〈インテリア/暑熱対策品にニーズ/夏の長期化、高温化で〉
夏の長期化、高温化で、遮熱性や断熱性を高めた暑熱対策インテリア製品が売れている。
オーダーカーテン製造小売兼卸のインテリックス(和歌山市)は、遮熱カーテンの売れ行きが堅調だ。「5年ほど前は遮熱カーテンの認知度は高くなかった」が、夏の高温化とともに、大手家具・インテリア製造小売の訴求もあり、遮熱レースなどの認知が広がったと捉える。遮熱性に、UVカットや遮像、採光を加えた多機能カーテンが人気という。
糸加工とインテリア・ブライダル・アパレル向け生地販売のサンコロナ小田(大阪市中央区)のインテリア縫製品部は、ボイルカーテン「エアリースカットプリーツ」などを提案する。フルダル糸を使用して25・4%の断熱性がありながら、程よい撚りをかけたS撚り糸とZ撚り糸を交互に緯糸に使うことで透け感を持たせた。
リリカラは防炎・遮熱・消臭のトリプル機能を持ったカーテンが、設計士の間で好評。商業施設などには防炎機能に加えて遮熱や消臭を兼ね備えたタイプが人気となってきた。
カーテン製造のカズマ(福井市)は、「遮熱カーテンの需要が高まっている。小売店バイヤーの絶対条件の一つとなりつつある」と捉える。アルミ蒸着フィルムを0・3ミリのスリット糸にして経糸として織り込んだカーテンは、面で光を反射し、薄く柔らかでありながら高い遮熱性・断熱性、UV遮蔽(しゃへい)効果を兼ね備える。近年は1枚づりの学校での採用も増えているとする。
人工芝でも、遮熱・断熱機能を高めた製品のニーズが高まる。東レのカーペット製造子会社である東レ・アムテックス(大阪府富田林市)は、遮熱・断熱人工芝「テクノヒートリフレクト」の2025年販売額が、23年比で3倍になった。
テクノヒートリフレクトのパイルには、反射材を混練して熱の吸収を抑制。下地層には、機能性特殊塗料やコーティング剤などを研究開発・製造する日本プロツバル(東京都新宿区)が、宇宙航空研究開発機構の保有する技術を利用して開発した「特殊中空セラミックバルーン」を使用することで高い断熱性を実現。試験では従来の人工芝と比べて、表面温度が最大10℃下がった。幼稚園の園庭などにも使われ、施工時も熱くないと評価されている。
積水化学グループの染色加工、積水ナノコートテクノロジー(愛知県蒲郡市)のナノ金属コーティング加工「masa」(マサ)も注目される。半導体を製造する際に用いる、金属の薄膜を作る技術「スパッタリング」を応用。同加工を施した遮熱カーテン地や遮熱シートなどの売れ行きが堅調だ。





