ごえんぼう

2026年07月07日 (火曜日)

 ある映画を思い出した。クラスで飼っていた金魚が死ぬ。世話をしていたのは主人公だけだったが、他の生徒も「かわいそう」と手を合わせる。そんな始まりだった▼シネコンではなく、ミニシアターで上映されていた。ミニシアターは大手映画会社などから独立し、作家性の高い作品や自主制作映画などを上映する。東京都内にはまだ多くのミニシアターが存在するが、近年は閉館が相次いでいる▼銀座のど真ん中にあるシネスイッチ銀座も今秋に閉館する。館名は、洋画と邦画をスイッチして提供することに由来し、『ニュー・シネマ・パラダイス』を単館上映したことで知られる。同映画はミニシアター興行成績第1位を誇る▼冒頭の映画では、金魚の死と周りの態度に主人公が〈この世界では、死なないと優しくしてもらえない〉と独りごちる。何事も同じなのか。ミニシアターも国内繊維産業も。失ってから目を向けても、もう遅い。