繊維ニュース

学生服、ユニフォーム、ジーンズ関連企業/AIで暗黙知を形式知へ/知見共有へ活用広がる

2026年07月09日 (木曜日)

 繊維関連企業で人工知能(AI)の活用が広がっている。社内の知見をAIに学ばせて業務に活用することで、個人の知識と経験に基づく言語化されていない知識(暗黙知)を、誰でも業務に生かせる知識(形式知)へ置き換え、全ての従業員が同じ水準で業務を遂行できる体制を目指す。

(光元 徹、秋山 真一郎)

 暗黙知を形式知へ置き換えることで、業務効率化や生産性向上へつなげる経営手法は「ナレッジマネジメント」と呼ばれる。AIの登場によって暗黙知の収集と蓄積、整理が容易となり、多くの企業が活用に踏み出す。

 ユニフォーム製造卸のアイトス(大阪市中央区)は、絵やデザイン画から、さまざまなシチュエーションで従業員がユニフォームを着用するイメージ画像を生成するAIを提案する。任意のユニフォーム画像を選択し、「20代、男女、背景は清掃工場」といった指示を出すと、求める印象に近い画像を生成できる。

 これまで、営業担当者の力量に頼っていた提案業務が、簡単に顧客にイメージを伝えられるようになったことで、業務負担を軽減できるようになる。

 明石スクールユニフォームカンパニーは、新型コロナウイルス禍で非接触採寸の要望が増えたことを受けて始めた、AI採寸の精度が高まっている。現場の意見や学校ごとに異なる規定などの独自の知見を学ばせたことに加え、身長や体重、ウエストなどから導き出すサイズの情報が蓄積されたことが奏功する。

 実際に試着と人の手による採寸をしていたコロナ禍前と比べ、返品交換の件数の減少につながっている。

 スペインの染色加工機器製造販売ジーノロジアは、加工されたジーンズの画像からレーザー加工機で使うデザインを抽出することに特化した「ビリーAI」を開発した。

 さまざまなジーンズの加工抽出履歴を学習したビリーAIを使うことで、作業時間は大幅に短縮される。過去に抽出した情報を基に自動で補完するため再現性が高く、抽出する作業者の習熟度にも左右されにくい。

 縫製のINAHO(イナホ、岡山県倉敷市)は、AIを組み込んだメールソフトを導入して、受信する全メールを一元管理する。AIには、社内の仕様書や発注書、納期管理システムなどの全てを学習させているため、分業された各工程の進捗(しんちょく)もAIが自動で収集して最適な納期回答を導き出す。

 これまで個々の業務水準によってばらついていた顧客対応を、AIの活用により会社として必要な水準まで引き上げる狙いがある。