ごえんぼう

2026年07月10日 (金曜日)

 外務省が日本の哲学・思想を外交に生かす戦略を打ち出した。古来の価値観を国際社会で再解釈する局面がきた▼聖徳太子の「和を以(もっ)て貴(とうと)しとなす」、和辻哲郎の「間柄的存在」など、人と人の関係を重んじる思想は、衝突より調和を軸にした関係構築を可能にする。自然との共生観もアニメなどを通じ世界に浸透し始めた。特に「大国の強い主張にさらされてきた新興・途上国で受け入れられやすい」とみる。外交資源としての広がりが期待される▼半面、調和が閉塞感や“事なかれ主義”を生むことも。異論が表に出にくく、意思決定が曖昧になる。必要な議論まで避ければ、外交の場でも誤解を招きかねない▼調和は美徳だが、過剰になれば停滞を生む。日本の哲学が外交で力を持つには、その両義性を踏まえ弱点を補う姿勢が欠かせない。思想を掲げるだけでなく、実行の確度を高めてこそ、国際社会の信頼を得られるだろう。