特集 今治タオル産地(5)/ニュースファイル 産地の話題
2026年07月16日 (木曜日)
〈愛媛県産技研/最新の研究成果を発表〉
愛媛県産業技術研究所・繊維産業技術センター(愛媛県今治市)は7月上旬、タオルを中心とする繊維製品の最新研究成果7件を発表した。
一部の研究には今治産地のタオルメーカーも参画している。
風合いの見える化技術の開発では、機器による測定値と人の触感評価データを統計解析し、摩擦や圧縮に関する測定値から柔らかさや滑らかさ、肌触りなどを予測する評価式を確立した。この式を活用することで、これまで感覚的に表現されることが多かった風合いを数値化できるという。
関連研究の「洗濯を繰り返したタオルの評価」では、洗濯回数の増加による風合いの変化を、人の触感評価と機器測定の両面から分析した。素材や洗濯回数による相関関係を検証。パイルループ径の変化など物理的な変化を顕微鏡で確認するなど、柔らかさや滑らかさを維持できる素材選定や使用・洗濯方法の確立につなげる。
製品開発分野では、タオルメーカーとの共同研究により、タオルの製織技術を応用したストレッチ性や表面形状の変化を実現する技術を公開した。これらの技術を活用した衣料品の企画開発についても報告している。
このほか、強撚糸によって毛羽落ちを抑えながらドレープ性も両立する高耐久タオルの開発、今治産地の実情に合わせた糸在庫管理アプリの開発・提供、かんきつ類や酒類の生産過程で生じる残渣(ざんさ)を活用した染色技術の調査結果などを発表した。
〈シキボウ/多彩な紡績で別注拡大〉
シキボウは、多彩な紡績技術を生かし、タオルの差別化につながる別注糸の販売を拡大している。タオルメーカー各社から独自性のある商品作りに向けた開発依頼が増えており、幅広い糸種と別注対応力を強みに需要を取り込む。
従来は綿100%の開発が中心だったが、最近は速乾性や接触冷感などを求め、ポリエステルなど合繊との組み合わせも増えてきた。グループの新内外綿の生産子会社、ナイガイテキスタイル(岐阜県海津市)と富山工場(富山市)で、少量の開発から量産まで幅広く対応し、今治産地からは数トン単位の別注依頼も入っている。
今年は新内外綿にコンパクト精紡機を導入し、既存設備と合わせ、コンパクト糸や渦流紡績糸、長短複合糸、杢(もく)糸など多彩な糸作りに対応する。複重層糸にはユニチカグループから承継した「パルパー」が加わった。「ツーエース」と合わせて開発に力を入れ、提案の幅を一段と広げる。
杢糸をパイルに使うタオル企画も増え、販売を伸ばしている。天然色素を使った「ボタニカルダイ」など、素材のストーリーを訴求できる糸も提案し、タオルへの採用拡大につなげる。
〈今治タオル青年部会長 塚本 裕治 氏/存在感をより高めたい〉
――2026年の活動に向けて。
26年4月から部会長を務めさせていただくことになりました。諸先輩方が築いてこられた思いを受け継ぎ、メンバーと共有しながら、共に前へ進んでいきたいと考えています。
今年度は「団結力の向上」「健康と癒やしの向上」「発信力を強化し存在感を高める」の三つを活動方針に掲げます。
団結力向上については、タオル製造業をはじめ幅広い業種のメンバーが情報を共有し、課題解決につなげられる場となるよう、さまざまな活動を進めます。
数年前から検討されていたチームTシャツも製作します。白地のシャツの背面にロゴを入れるデザインで、夏前には完成させます。
これまでイベント出展などに参加する際、統一したユニフォームがありませんでした。対外活動の際に着用することで、一体感が生まれるだけでなく、外部からも一目で青年部会のメンバーと分かるようになります。活動を通じて産地内外での存在感を高めていきたいと考えています。
また、メンバー間の親睦を深めるため、キャンプも計画しています。過去にも実施してきましたが、普段の活動では時間をかけて交流できる機会は意外と多くありません。青年部会にはタオルメーカーだけでなく、さまざまな業種のメンバーが所属しており、互いを知る良い機会になると思います。
――対外的な活動計画について。
5月には今治青年会議所が創立60周年記念事業として開催した地域交流イベント「いまばりテラス」に参加協力し、タオルの即売会を行いました。
今後も地域の夏祭り「おんまく」や、秋の自転車イベント「サイクリングしまなみ」へ協力を予定しています。
地元でのアピールを強化し、青年部会の認知度向上につなげていきます。
また、藤髙亮前部会長(藤高社長)が進めてきた大阪・泉州タオル産地との交流も継続します。国内のモノ作りを維持していく上で、産地間連携の重要性はますます高まっています。
青年部会としても、両産地の交流を通じて新しい取り組みができないか検討していきます。
――「健康と癒やし」に目新しさを感じる。
社会人や経営者にとって、健康維持はとても重要です。私自身も健康づくりのため、「愛媛マラソン」などに青年部会の仲間と参加しています。
先に述べたキャンプなどの自然体験も含め、心身の健康を意識した活動を進めていきたいと思います。
――「学び」については。
外部講師を招いた勉強会を定期的に開催します。人工知能(AI)の活用法など、時代の変化に即したテーマを取り上げていきます。産地外への研修などにも活動の幅を広げていきたいと考えています。
部会メンバーや委員会の力を借りながら、一体感を持った運営を進めていきます。





