ミラノ・ウニカ2027AW~世界を引き付ける日本素材(前)

2026年07月21日 (火曜日)

日本のモノ作りの根底を見た

 7~9日にイタリアで開かれた国際生地見本市「ミラノ・ウニカ(MU)2027AW」で、日本勢の存在感が高まった。海外参加者が全体の50%に迫る中、日本コーナーは来場者数、生地のピックアップ数とも過去最高を記録。環境配慮や職人技を含む日本のモノ作りが欧米の高級ブランドを引き付けた。2回にわたり会場の動向を追う。

 「ミラノ・ウニカ」内に設けられた日本コーナー「ザ・ジャパン・オブザーバトリー」(JOB)の出展者数は43社だった。内訳はブース出展のJOBが35社、ハンガー出展のJOB Nextが6社、JOB以外の日系出展者outside JOBが4社で、うち新規出展は5社だった。

 JOBを組織する日本ファッション・ウィーク推進機構(JFWO)による第3弾となる今回の産地フォーカスは「和歌山ニット」。トレンドコーナーに併設した仮想現実(VR)疑似体験コーナーでは、ドローンによる美しい産地風景と迫力ある工場現場の映像に加え、生産現場からのクリエーターそれぞれの「モノ作り」への熱い思いには、見学者たちから「日本のモノ作りの根底を見た気がする」という声が上がった。

 丸編み地メーカーの丸和ニット(和歌山市)は、編み地の伸縮性と織物のハリを両立させた形崩れしにくい独自素材を、世界に1台だけのバランサーキュラー編み機を駆使して製造し、そのクオリティーの高さから客足が絶えなかった。

 今正ファブリック(山形県米沢市)は、コットンにこんにゃく由来ののりをコーティングし、リネンのハリを持たせた生地で話題を集めた。

 近藤紡績所(名古屋市中区)は、他社にまねのできないオリジナルの独自紡績糸を使用し、光沢感と手触り、高級感のある風合いにこだわった生地を展示し、ハイブランドに向けての提案を進める。

 尾州ウールブースは今回も人気で、昨年の2倍の引き合いがあったと各社が語った。初出展の鈴憲毛織(愛知県一宮市)は、4カテゴリーのラインアップを紹介。有松絞りでバイヤーの目を引き付け、クオリティーの高いハイランドウールなどを展示。麻混で従来品より軽め、シーズンレスで使用できるウールが特に感触が良かった。

 中伝毛織(同)では、絡み織りの薄手生地に注目が集まった。全般的にコート地のような肉厚ウールではなく、中厚までを用意。カジュアルに使用できるウール混の透け感のある生地という、今まで見られなかった変化に驚きを隠せない。

 御幸毛織(名古屋市西区)では、前回まで好評だったウールデニムが下火となったが、ギャバは変わらず評判が良く、中でもウオッシャー加工してカジュアルさを出したものが好調だった。尾州ウール各社で聞かれたのが、これまでの仕立て映えする厚みのあるウール生地から、軽め傾向への流れが顕著だという反応だった。今後の展示サンプル選びに、よりリサーチが必要だと感じると口をそろえた。

 右肩上がりで成長を見せた石川ブースでは、全体で379社の引き合いがあったと笑顔で最終日を終えた。合繊の機能性を持ちながら、限りなく天然繊維に近い生地を提案した丸井織物(石川県中能登町)はパッカブルのスーツなど企画提案力にも優れており、「能登クオリティー」を追求している。

 ムツミテキスタイル(同小松市)は無地ライクなジャカード、スポンジングジャージーなどファッション性の高い商品を展示した。

 最軽量化に成功したカジレーネ(同かほく市)の合繊生地はスポーツ・アウトドア部門で変わらず人気を誇る。また、和紙生地ブランドもよりソフトに改良され、合繊の限界に挑戦している。

 キュプラ繊維にフォーカスし、セルロース繊維の開発にも力を入れているスタイレム瀧定大阪(大阪市浪速区)も好調を持続、ハイブランドの発注を得た。100件ほどの引き合いで会期を終えたが、数ではなく質が問題だと断言。イタリア、フランスのバイヤーが減り、米国と英国が目立ったと印象を語った。また、地政学的・為替相場などの問題もあるが、MUへの継続出展の意義を強く勧めた。

 ホール1、トレンドコーナーの隣という抜群のロケーションを確保したJOBは好感触ムードをまとい、各社軒並み今回の来場者数に満足を示し、好調だったと述べていたのが印象に残った。

(ミラノでImago Mundi代表・両角みのり)