繊維ニュース

技術の眼/トンボ/GSIクレオス/旭化成「ベンベルグ」/プレジール/丸佐/蝶理

2026年07月22日 (水曜日)

 「技術の眼~NEW WAVE GENERATING TECHNOLOGY~」では将来的にニューウエーブを巻き起こし得る重要な技術にスポットを当て、紹介する。

〈トンボ/猛暑から小学生守るEFウエア〉

 トンボは、電動ファン(EF)付きウエア製造卸の空調服(東京都板橋区)と協業して「小学生向けEFウエア」を開発した。小学生の実態に合わせた専用設計で、猛暑から子供を守る。

 ウエアの肩から背中にかけて、3D構造のメッシュ「スーパースペーサー」を配置して、ランドセル着用時にも空気の通り道を確保する。肩にかかる負担を軽減するクッション性も備える。

 ファンには指が入り込みにくいフィンガーガードを採用。バッテリーは軽量で片手に収まる寸法に設計した。日本の電気用品安全法の基準に適合する「PSEマーク」を取得している。

 スペーサーとデバイスを取り外して付属パーツで穴をふさぐことで、通常のウインドブレーカーとしても着用できる。ウエア本体は家庭用洗濯機で丸洗いが可能。

〈GSIクレオス/薄膜太陽電池で共同研究〉

 GSIクレオスは、川崎市の令和8年度「環境技術産学公民連携公募型共同研究事業委託」に採択され、光透過型有機薄膜太陽電池(ST-OPV)の共同研究を川崎市と開始する。市が持つ施設で実証実験を行い、都市環境での発電性能・耐久性・施工性を総合的に評価し、施工標準の確立と社会実装を目指す。

 今回の実証実験によって屋外耐久性が十分と判断されれば、これまで導入が進んでいなかった軽量・透過・曲面追従が求められる場所への設置機会が増え、市内の再生可能エネルギー導入量の拡大に寄与することにつながる。脱炭素・レジリエンス・景観配慮を同時に満たす都市型ソリューションとして川崎市の行政課題の解決に資することを目指す。

 川崎市内での横展開に加え、同種のインフラを持つほかの自治体・民間施設への外販によって同社ST-OPV事業の広域拡大を図る。製品売り上げに加えて、EPC(設計、調達、建設)・保守・モニタリング・ライセンスなどの付随収益の積み上げにより、高い収益構造を構築する。

〈旭化成「ベンベルグ」/高機能マイクロファイバー開発〉

 旭化成はこのほど、キュプラ繊維「ベンベルグ」の高機能マイクロファイバーを開発した。平均繊維径1マイクロメートルを実現しており、細く均一な繊維からなる高機能セルロースマイクロファイバーとして化粧品配合材などさまざまな用途での活用が期待される。既に花王がスキンケア製品で採用を決めた。

 ベンベルグマイクロファイバーを配合した液体を塗布すると、均一な繊維がネットワーク状の膜を形成する。化粧品分野で肌上の皮膜形成や皮膜の隙間に配合成分を保持する効果などが期待できる。分散性にも優れるため、水以外の液体にもなじみやすく、液体中に均一に分散するため化粧品やコーティング材料に加えた際に配合成分の分離・凝集を抑制する効果も期待できる。

 また、一定の条件下で海洋生分解性を確認しているため、マイクロプラスチックによる環境負荷の懸念も抑えることができる。原料は通常のベンベルグと同様にコットンリンターを使用しているため天然由来素材となる。界面活性剤や防腐剤など添加物を含まない粉末として提供することが可能だ。

〈プレジール/衣料用POM長繊維、中量産へ〉

 ポリアセタール(POM)繊維の実用化を進めるプレジール(大阪府豊中市)は、マスバランス方式による環境配慮型メタノール由来原料にも対応したPOMを用いた長繊維の中量産に移行した。2年前からタイで衣料用途向けに紡糸条件の最適化を重ね、糸質と生産性を改善しながら供給体制を整えてきた。繊維に適した樹脂開発も自社主導で始め、本格展開に向けた基盤を固める。

 顧客側の試作も少量から中量規模へ移行しており、糸の中量産を繰り返して需要に対応する。量産を見据えた商談も出ており、「本格展開に向けた供給体制を整えている」。

 これまではPOMの繊維化を中心に取り組んできたが、樹脂開発も自社主導で進める。一般的にPOM樹脂は射出成形用途が中心で、衣料用途に求められる染色性や風合い、堅ろう度などへの対応には細かな改良が欠かせない。添加剤の配合などコンパウンドのノウハウを蓄積し、樹脂の最適化を図る。

〈丸佐/“冷たさ長持ち”で現場守る〉

 東レグループの繊維専門商社、丸佐(岐阜市)は、特殊低温保冷剤「ワンダーアイス」と、専用ベスト「ワンダーアイス アイスベスト」を打ち出す。猛暑・暑熱対策商材として、さまざまな労働環境への使用に向けた訴求を強める。

 ワークウエア製造卸企業が保冷剤を使用したベストの販売を推進する中、東レグループ企業との連携による素材の活用や、独自技術で開発された冷却剤を組み合わせて差別化を図る。通常の保冷剤は150㌘が大半だが、ワンダーアイスは300㌘と500㌘の2種類をそろえる。

 ワンダーアイスはポリマーを含まない食品添加物由来の液体を使用し、対流を起こすことで冷たい状態を保つ。19層の構造で、冷却効果だけでなく耐水性、耐熱性、耐衝撃性も持つ。保冷剤の表面が0℃、裏面は5℃と異なるため、使用環境により使い分けができる。

〈蝶理/不織布重ねた中わた提案〉

 蝶理は、長繊維の不織布を折り重ねることで、特有の凹凸構造を生み出す独自の中わた素材「TORIKUMO」(トリクモ)の提案を開始した。繊維の間に多層の空気を取り込む構造により、暖かさと軽量性の両立が実現した。長繊維を使用することで、表地から繊維の抜けや吹き出しがなくなるメリットも訴求し、多様な用途への採用を目指す。

 トリクモは、蝶理が開発した専用機械で加工する。従来のエンボス加工とは異なる「折り紙製法」で、独自の凹凸構造を形成する。製法、製品で国内の特許を取得した。

 スパンボンドを使用せずに仕立てることができるため、表地が持つ風合いや表情を生かせる。ポリエステルの中わたであり、イージーケアにも対応する。

 機能性や着心地を追求した中わたとして、日常使いのアウターやスポーツウエアに向けた提案から始める。