素材メーカー、商社など/物流は“協調領域”/企業の垣根越え共同輸送
2026年07月23日 (木曜日)
物流を企業間の“協調領域”と捉え、荷主や物流事業者が連携する動きが広がっている。荷主と運送会社が往復の積載率を高める取り組みや、競合商社によるフェリーを活用した共同輸送を通じ、ドライバー不足への対応と二酸化炭素(CO2)排出量の削減を両立する。持続可能な物流の構築に向け、企業の垣根を越えた連携が鍵を握る。
〈空車減らしCO2最大4割削減/東レ〉
東レは、総合物流企業の岡山県貨物運送(オカケン)とNX備通(広島県福山市)と連携し、中京エリアと広島エリア間における共同物流の取り組みを開始した。ドライバー不足への対応や貨物を積まずに走行する空車の割合の低減を目指す。効率化によって最大で約40%の二酸化炭素削減を見込む。
東レのような荷主は、個別の物流企業に片道だけの輸送を委託するのが一般的とされる。一方の物流企業側は、複数荷主や複数拠点にまたがる往復物流は調整が難しく、往路では高い積載率が確保できても、復路では積載スペースに余裕がある状況が生まれていた。
東レは広島エリアの顧客の協力を得て、オカケン、NX備通とともに、ドライバーの労働時間や運行規則を踏まえた上で、各拠点での積み込み・荷下ろしのタイミングや運行スケジュールを見直した。輸送計画も事前に共有し、ドライバーの負担に配慮しながら高い積載率での往復輸送を可能にした。
荷主と物流事業者が連携し、ドライバーの労働時間制限を考慮した現実的な運行設計を行うことで、安定的な輸送力の確保と持続可能な物流体制の構築につながる。今回の取り組みは、荷主が主体的に運行条件を見直すとともに、荷主と物流事業者が連携することの意義を示すものとしている。
〈「事業者間連携賞」を受賞/豊島など4社〉
豊島、MNインターファッション、ヤギ、関光ロジNEXT(山口県下関市)の4社は、日本物流団体連合会(物流連)が主催する「第1回日本物流大賞」で、東京九州フェリーとともに「事業者間連携賞」を受賞した。競合3商社が物流で共同した点などが高い評価を受けた。
アパレルや雑貨といった商材を対象にトラック輸送に依存していた従来の物流体制を見直し、海運モーダルシフト(貨物輸送を環境負荷の小さい手段に切り替える取り組み)を推進してきた。製品分野で競合関係にある3商社が中国から輸入される関東向け貨物を下関港に集約し、首都圏の中継地点までの幹線輸送で「共同輸送」を実施している。
2025年3月のアライアンス結成から26年2月までの1年間、幹線輸送の大部分を関光ロジNEXTグループが運営する東京九州フェリー(新門司港―横須賀港間)が担う複合一貫輸送を展開した。フェリーを利用したトレーラー輸送によって、従来の10トントラックでの長距離陸送と比較して、CO2排出量を71%、ドライバーの運転時間を85・7%削減できた。
競合3社が「物流は協調領域」と捉えて共同輸送を実現した点が事業者間連携のモデルケースとして高い評価を受けた。さらに、下関港のコンパクトさを生かし、貨物集約で安定したトレーラー単位の輸送を成立させるための実務的な工夫なども評価ポイントとなり、今回の受賞に至った。
今後は中継地点の経由を省き、最終納品先へダイレクトに商品を届ける「共同配送」を目指す。
物流連は、陸・海・空の物流事業者や物流団体で構成する一般社団法人。日本物流大賞は事業者間連携や先進技術活用、働き方改革貢献といった持続可能な物流の実現に向けた優れた取り組みを顕彰する。





