ごえんぼう
2026年07月31日 (金曜日)
便利さが過度に進む今、私たちは「道具が選択肢を奪う」状況に気付きにくくなっている▼あるユーチューバーが深さ5㍍の穴から脱出する実験をした。自転車、スマートフォン、おの、スプーン、素手で挑んだ結果、最速は素手だった。スマホは使い道を探すうちに断念し、自転車は高さを稼ぐ発想に至るまでに手間取った。おのとスプーンは壁を削って足場を作れたが効率は低い。素手は体全体を使った▼道具があるほど「使わねば」と思い込み、かえって遠回りになる。生成AI(人工知能)が生活に浸透する中、使う前提の固定化が発想の幅を狭める。「ミニマル志向」の背景に、道具が増えるほど身動きが取りづらい現実も見える▼道具は可能性を広げる一方、判断を曇らせ行動の自由を奪うことがある。持つこと自体が目的化した瞬間、人は遠回りする。道具をどう使うかの前に、使うか使わないかを選び取る柔軟性が必要だろう。





