全国テキスタイル産地特集Ⅰ(3)/商社編/日本のモノ作りを持続させる

2026年07月30日 (木曜日)

〈豊島/上質な風合いのジュート訴求〉

 豊島は天然繊維から合繊まで幅広い素材を提案している。リネンの代替として風合いを高めたジュート素材のPRに注力。高強力ポリエチレン繊維は資材向けで広がりを見せつつある。

 インドのベンチャーと協業した、ジュート素材「ヤジュート」は高騰が続くリネンの代替として訴求。繊度を細くすることで良質な風合いを実現し、麻ならではの機能性も持つ。アパレル向けなどに提案を進めており、一部採用も決まり始めた。

 資材向けで広がりを見せるのが「ダイニーマ」だ。鉄よりも強度がある上に軽量で耐久性も高い。金属代替のダイニーマチェーンのほか、ダイニーマを使った手袋や作業着などの市場投入を見据える。

 ダイニーマは資材向け以外でも展開が進む。スポーツやアウトドア向けで欧州や中国などでの認知度が向上しつつある。今後もダイニーマの高い機能性を生かし、用途開拓を進める。

 同社素材部門は国産生地の輸出にも力を入れる。各産地の特徴を生かしたモノ作りで、海外にはない商材を打ち出している。

〈澤村/産地とは「共存共栄」〉

 繊維商社の澤村(大阪市中央区)の繊維資材部は、北陸のトリコットと丸編み地を中心商材にしている。2015年には福井市内に北陸支店を開設し、モノ作り商社としての姿勢を鮮明にした。その意識は常に「共存共栄」に向いている。

 トリコットに強いのが同社生地事業の特徴。北陸支店を開設して以降は丸編み地にも幅出しし、今ではトリコットと染色加工場で十数社、丸編み地で十社弱に常時発注する関係を構築する。

 顧客と話し込み、糸から差別化してさまざまな特徴を持つ生地を開発する。生地作りを担当者が個人一貫でこなせるのが強みだが、近年はチームで動くことも重視する。

 ニッターや染色加工場とは「共存共栄の関係」であることが社内に浸透している。「販売力を身に付け、日本のモノ作りをサポートしていくことが当社の使命」。そのためには海外販売を増やすことも必須と考え、少しずつ実績を積む。中国法人が3月に「インターテキスタイル上海」に約20年ぶりに出展(前回は澤村として出展)したのもその一環だ。

〈スタイレム瀧定大阪/日本のモノ作り守る〉

 スタイレム瀧定大阪(大阪市浪速区)は近年、小塚毛織(愛知県一宮市)と合弁会社カナーレジャパン(同)を、シモムラ(石川県小松市)と合弁会社WS(同宝達志水町)を設立するなど、日本のモノ作りへの投資を進めている。

 このほど撚糸・タオル製造の浅野撚糸(岐阜県安八町)と戦略的パートナーシップを締結したのもその一環。浅野撚糸の特殊撚糸「スーパーゼロ」を用いた「SORAITO」(ソライト)という生地ブランドを立ち上げた。早くも需要家の関心を引き、パーカやTシャツが今秋から店頭に並ぶことが決まっており、海外ブランドとの商談も進んでいる。

 柔らかさと軽さが最大の特徴。ピリングも少なく、夏に涼しく冬に暖かい。現在は丸編み地のみだが、織物やトリコットも投入していく。

 同プロジェクトを立ち上げたテキスタイル1部の金島一裕副部長はソライトの狙いを、「日本のサプライチェーンを守ることと、日本ならでは、スタイレムならではのモノ作りを進める一環」と説明。ブランディングに力を入れつつ国内外での販売拡大に臨む。

〈瀧定名古屋/産地と協業し意匠性を追求〉

 瀧定名古屋(名古屋市中区)の紳士服地部は企画力を強みに売り上げを伸ばしている。国内産地と協業し、意匠性を追求した多彩な生地を展開する。天然繊維回帰の流れを受け、機能を組み合わせた商材の訴求も進める。

 紳士服地部は4課体制を敷いており、カジュアルからドレスまで幅広い用途の生地を扱う。中でもカジュアルを手掛ける10課は天然繊維から合繊、織物、ニットまでと多種多様な展開が強みだ。

 国内の衣料品販売は厳しい状況に置かれているが、着実に販売を伸ばしている。北陸、和歌山、尾州を中心とした国内産地と協業した、感度の高いモノ作りが奏功し、紳士服地部の上半期(2~7月)は増収を見込む。

 天然繊維回帰を見据え、提案を強めているのが「COX」(シーオークロス)だ。綿に合繊を複合させた機能性織物で、80単の細番手綿糸や特殊加工による上質な風合いも備える。アウターからボトムスまで使える。

 今後も企画開発力で勝負する。大竹聡一郎部長代理は「意匠性やファッション性を高めていくことが重要。こうした生地作りに誇りを持ってビジネスを進めたい」と話す。