全国テキスタイル産地特集Ⅰ(4)/商社編/蝶理/旭化成アドバンス/一村産業/ヤギグループ

2026年07月30日 (木曜日)

〈蝶理/「工」の機能を重点強化〉

 蝶理の繊維本部の4~6月は、スポーツやユニフォームなどの用途が堅調だった一方、ファッション用途が落ち込んだもよう。産地への糸販売は安定して推移した。

 中東民族衣装用途は中東情勢の緊迫化を背景に低迷したが、徐々に営業活動が戻りだしている。7月以降は、一時帰国していたドバイ駐在員が復帰し、出張も再開した。

 今期(2027年3月期)からの新中期経営計画では、海外の拡大を重点方針の一つに掲げ、海外展への出展拡大とともに駐在員を増やして取り組んでいる。海外の出口強化により、日本製の糸や生地の販売拡大にもつなげる考え。

 モノ作りに関与しながら商流を創っていく「半工半商」を掲げる中、新中計では「工」の機能のさらなる強化を重視する。素材事業部で原料部とテキスタイル部が連携して生地開発を進める素材イノベーションチーム(MIT)には、糸加工や織り・編み、染色加工に詳しい技術者を増員した。

 原料を軸にした生地開発の幅が広がるなどの効果が出ている。「本当の意味での半工半商につながってきた」(芦田尚彦常務執行役員)と、北陸や海外企業との取り組み強化につなげていく。

 産地への設備投資も進めていく。昨年に北陸の協力工場へ導入したピン仮撚り機は、糸販売の拡大を背景に量産機がフル稼働し、試験機の導入で開発も加速している。市場の状況を見ながら、次の設備投資も検討していく。

〈旭化成アドバンス/裏地など各用途が堅調〉

 旭化成アドバンスの繊維事業の上半期(4~9月)は、前年同期比大幅増収となる見通しだ。アウトドア用途が引き続き堅調なほか、裏地が拡大し、アウターや資材も前年並みを維持している。

 前期は過去最高益となったが、今期も勢いを持続する。裏地の拡大は、キュプラ繊維「ベンベルグ」の生産量回復に伴って新規開拓が進んだため。特に婦人用が伸びている。アウターも引き続き好調で、昨年に大きく伸ばしたスポーツ・アウトドア用途も堅調を維持する。

 事業の拡大に併せ、日本の産地との取り組みを強化していく。今秋に帝人フロンティアと統合してTAフロンティアとなるが、産地の取り組み先が集約されるなどの変化はないという。

 今後、スペースを拡充して産地への発注量を拡大していく考え。ウオータージェット織機ではアウトドアを中心に有力企業との取り組みを強化していく。エアジェット織機は、ベンベルグ裏地や資材用途の伸びを背景に織布スペースを拡大しており、レピア織機もアウター中心に順調に推移。織布での取り組みが堅調なことで、撚糸の発注量も拡大基調にあるという。

 丸編みは学販用途が回復に向かっており、ファッション衣料も堅調で、発注量も増えていく見通し。経編みは足元でインナーやスポーツが堅調なため、10月ごろから発注量が増えていく見通し。

〈一村産業/ユニフォームをさらに拡大〉

 一村産業の繊維事業部門の第1四半期(4~6月)は、中東情勢緊迫化の影響を受けた中東民族衣装用途が低迷したが、ユニフォーム用途が順調に伸びた。高通気素材「アミド」や高伸縮素材「ラクストリーマ」など独自商品が引き続き好調で、酷暑対策としての需要も追い風となった。

 今後はユニフォームをさらに伸ばし、中東民族衣装用に並ぶ柱に育てる。柱のワーキングをさらに伸ばすとともに、機能素材の提案を強化して病院向けなども拡大を狙う。別注案件にも力を入れる考えで、人員も拡充して取り組んでいる。

 ユニフォームの拡大に向け、糸、織り、染色の各段階で北陸を中心とする産地企業との取り組みを深化していく。アミドの進化やUVカット、遮熱など機能商品の開発に加え、サステイナブルを視点にした開発も強化する。

 産地との取り組みを強めながら海外生産も拡充し、顧客が志向する海外縫製への対応を強化する。既にベトナムで染めた生地の展開が始まっているが、新たに中国での染色も始める予定。

 中東民族衣装用途は、中東情勢の沈静化を見据えて、開発を強化する。中国製の追い上げも念頭に置き、糸から染色加工まで各段階で差別化したモノ作りを進める。

〈ヤギグループ/新生地ブランド展開開始〉

 ヤギグループは、生地の企画・製造・販売を行う東播染工(兵庫県西脇市)と共同で生地ブランド「The First Scent of Ground」(FG)を立ち上げた。シャツやインテリア関連などの幅広い用途に向けて提案し、海外市場にも目を向ける。

 ヤギグループのイチメン(東京都渋谷区)を合わせた3社が連携する。ヤギのインド産オーガニック綿糸「ユナ・イト オーガニック」を用い、100%使いの生地のほか、ブランド独自の糸としてユナ・イト オーガニックとリネンの複合糸も作った。東播染工が染色と製織を担い、イチメンが生地を備蓄する。

 先染め織物を基本とする。柄は、太い線と細い線の二つで均一ではない揺らぎを表現した「Vein Stripe」、糸と線、線と線、チェックとチェックのそれぞれが響き合う「Echo Check」などをそろえる。

 生地は、3社のほか、大阪市内のファブリックショップでも扱う予定。イチメンは「自分たちの価値を高める生地としてアパレル企業などに提案する」とし、「海外の展示会などでも紹介したい」とした。