全国テキスタイル産地特集Ⅱ(9)/糸編/原料からの付加価値化に貢献/山忠紡績/大津毛織/泉工業/東洋紡糸工業

2026年07月31日 (金曜日)

〈山忠紡績/サステ糸の好調続く〉

 綿紡績の山忠紡績(大阪府岸和田市)は、主力のデニム用太番手糸で環境配慮型商品の販売を伸ばしている。

 落ちわた混糸「RC」やトルコ産オーガニック綿100%糸「ペルガモン」への需要が続き、環境配慮型糸は売上高の約3割を占めるまでに拡大した。2024年に取得したオーガニック認証「GOTS」も受注を後押ししており、「サステイナブルが注目され始めてから、需要の多い状態が続いている」。

 デニム向けの旺盛な受注を背景に、5~12番手を中心に月産700コリの生産を維持する。生産分の大半が即日出荷となる中、「月間の生産進行表を10回以上見直す」など柔軟に計画を組み替え、顧客の要望に応える。

 親会社の綿花商社、山忠棉業(同貝塚市)と連携した原料調達力も、安定供給を支える。山忠棉業は、世界各国から顧客の要望に合わせて高品質な綿花を調達できるほか、多様な綿花を国内倉庫に備蓄している。

 製造面では、除じん能力に優れたタンデムカード機を使い、カード糸でありながらコーマ糸に近い品位を実現する。

〈大津毛織/反毛ウール糸を拡販〉

 紡毛紡績・毛織物製造卸の大津毛織(大阪府泉大津市)は、反毛ウールを用いたリサイクル紡毛糸「メリネス」の拡販に力を入れる。

 メリネスは反毛ウールを50~90%混紡した糸で、織り糸用に10、14毛番手、編み地用に16毛番手を展開する。反毛わたの国内調達が難しくなる中、中国の紡績拠点と現地の調達網を生かして買い付けを進め、安定供給につなげている。

 高付加価値分野に向け、ウルグアイ産ポロワース種のラムウールの取り扱いを始めた。メリノ種とリンカーン種を交配した平均繊度20マイクロメートルのノンミュールジングウールで、繊維長が長く、強い光沢感を持つ。繊度14・5マイクロメートルの極細ウール糸「サクソンメリノ」とともに、差別化提案につなげる。

 カシミヤ5%・ウール65%・ナイロン30%混の「エアーヤーンカシミヤ」は、軽さと形態安定性、肌触りの良さに加えてカシミヤ混ながら値頃感に配慮した点が評価され、セーター向けに販売を伸ばしている。高級原毛からカジュアル志向なカシミヤ混糸まで、用途や価格帯に応じた提案を広げる。

〈泉工業/再帰反射糸に撥水機能〉

 ラメ糸製造卸の泉工業(京都府城陽市)は、設備を傷めない再帰反射糸「セッソンフリー」に撥水(はっすい)機能を付与したタイプを開発した。

 セッソンフリーは再帰反射材をスリットした糸をポリエステルフィルムでカバーリングしたもの。再帰反射材のガラスビーズが露出していないため、織り・編み・縫製工程で設備の損傷が起こりにくい。また、ガラスビーズが露出していないため、水にぬれても反射輝度の低下が少ない。この特徴を生かし、表面にシリコーン加工を施すことで撥水機能も付与した。スキーやアウトドア、シューズなどの用途への提案を進める。

 そのほか、村田機械と渦流精紡機「ボルテックス」による新タイプのラメ糸を共同開発している。通常の撚糸工程ではなくボルテックスによる精紡工程でラメと短繊維を混繊するもので、ランダムにラメを露出させるなどで通常のラメ糸とは異なる糸表情を出すことが可能だ。

〈東洋紡糸工業/高級カシミヤに新たな風合い〉

 カシミヤ紡績の東洋紡糸工業(大阪府忠岡町)は27秋冬に向け、高級カシミヤに独自加工や異素材を組み合わせた新作糸を打ち出す。

 主に生後6カ月未満のカシミヤヤギの産毛を整毛した「ベビーカシミヤ」糸に初めてファー加工を施した「ベビーファーカシミヤ」を開発した。軽さや柔らかさを保ちながら、長い毛羽を引き出し、ボリューム感を生み出している。

 ウール50%・シルク40%・カシミヤ10%混の「STIWO」は、紡毛糸では極めて細い毛番手の44番双糸に仕上げ、特殊加工したシルクで膨らみと軽さを両立した。ラミー90%・ベビーカシミヤ10%を組み合わせた「ラミーカシミヤ」の48番双糸は、速乾性とさらりとした肌触りに、カシミヤの滑らかさを加えた。

 欧州でのカシミヤなどの糸販売を見据え、2月には動物繊維のトレーサビリティーに関する「SFA」(サステイナブル・ファイバー・アライアンス)認証を取得した。認証対応と高品質原料の調達力を強みに、海外ブランドへの提案力を高める。