中国で動きだした“新”東洋紡グループ(前)

2026年08月06日 (木曜日)

機能材で成長産業攻略

 東洋紡グループは2024年、中国事業を再編した。機能材事業を強化し、電気自動車(EV)、環境、エネルギー関連など成長産業への展開を加速。一方、衣料繊維では日本産地と連携した生地提案型ビジネスへ転換する。新体制の下、中国市場でさらなる成長を目指す。(上海支局)

 24年1月、中国事業の専門性と機動力を高めるため、現地組織を再編。その中核を担うのが、東洋紡と三菱商事との合弁会社、東洋紡エムシーが100%出資する東洋紡艾睦希〈上海〉国際貿易(東洋紡MC上海)だ。東洋紡〈上海〉投資がそれまで展開してきた機能材・環境・産業資材事業を切り出し、東洋紡MC上海へ集約した。

 東洋紡MC上海の主力は、樹脂・接着剤分野だ。自動車バンパー向け塗装接着剤「ハードレン」や、ポリエステル系エンジニアリングプラスチックを手掛ける。

 中国自動車市場では、地場EVメーカーの台頭を受け、日系自動車メーカー向け需要が伸び悩んでいる。こうした中、地場メーカー向けや新用途の開拓を加速している。

 環境・インフラ分野では、VOC(揮発性有機化合物)処理装置や分離膜を拡販。中国のリチウムイオン電池セパレーター設備投資は25年に一巡し、26年以降の回復が見込まれている。これに伴い、VOC処理装置の販売回復にも期待する。

 また、火力発電所向けバグフィルター用PPS繊維や、各種不織布でも、新商材の開発・販売を目指す。

 さらに、中国政府が重点育成する次世代産業への展開も視野に入れる。洋上風力発電向け軽量係留索など、軽量・高強度素材が求められるニッチ市場の開拓を進めていく。

 東洋紡〈上海〉投資董事長兼東洋紡MC上海董事長の川田和之氏は「中国で勝てない企業は世界でも勝てない」と語る。中国企業を競合ではなくパートナーと位置付け、独自技術を武器にした中国メーカーとの「共創モデル」で成長市場を開拓しようとしている。