特集安心・安全(6)/高強度/暮らしと社会を支える

2026年08月06日 (木曜日)

 高強度繊維は、安全性や耐久性が求められる場面で欠かせない存在となった。インフラ施設の補強材や、作業者を守る防護ウエアといった産業用途にとどまらず、近年は日用品やスポーツ用品など、より身近な領域へも浸透が進む。暮らしと社会を支える素材として、活躍の場を広げている。

〈衣料用途にも積極提案/海外で難燃ビニロン拡販へ/クラレ〉

 クラレは、高強力ポリアリレート繊維「ベクトラン」を衣料用途にも積極的に提案している。そのためラインアップも拡充した。また、国内で実績豊富な難燃ビニロンは、海外市場での拡販を目指す。

 ベクトランは、スリングや船舶用ロープなど産業資材用途で豊富な実績を持つ。近年では洋上風力発電設備で使用する係留索としても注目されており、必要な物性や機能の確立に向けて大学など研究機関と共同研究を進めている。

 こうした実績を生かし、衣料・用品用途に向けた提案にも力を入れる。特にアウトドア分野に注目し、リップストップ生地といった用途に提案できる細繊度タイプもラインアップに加えた。鞘部分にポリアリレート以外の樹脂を配置することで染色可能な芯鞘タイプも開発し、デザイン性への対応力も高めた。

 また、同社は難燃ビニロンの用途開拓にも力を入れている。ビニロンはコンクリート補強材など建材用途で高いシェアを持ち、難燃繊維としても国内では官需を中心に豊富な実績があるが、海外市場ではほとんど普及していない。このため海外市場でも難燃ユニフォームや一般衣料に向けた提案に取り組む。

 海外での認知度が不足していることから、親水性などビニロンの特性を打ち出し、着心地の向上にも貢献する新規の難燃繊維として訴求する。原着タイプも用意し、これまで原着の難燃繊維を使用していた需要家が既存の製造ラインのまま難燃ビニロンを採用できるようにした。

 4月にはドイツ・フランクフルトで開催された世界最大級の産業用繊維・不織布国際見本市「テクテキスタイル」でも難燃ビニロンとベクトランを難燃ユニフォームやスポーツ・アウトドアなどの衣料・雑貨用途に重点提案した。