特集安心・安全(7)/検査機関/信頼支える評価技術

2026年08月06日 (木曜日)

 製品に求められる安全性や機能性が多様化する中、それらを客観的に確かめる検査機関の役割が増している。防炎・難燃などの安全性試験や暑熱環境下での快適性評価から、キャラクターグッズの試験まで対象は幅広い。各種規格への対応に加え、商品企画や表示に関する相談にも応じ、品質と信頼性の向上を後押しする。

〈グッズ関連で豊富な実績/守秘も徹底的に/カケン〉

 カケンテストセンター(カケン)は、キャラクターグッズに関する試験・検査で存在感を示している。大阪事業所キャラクターグッズラボが対応しているが、テーマパークなどで販売されるグッズの試験・検査は1992年から実施している。長年培った実績で安全と安心を届ける。

 もともとは雑貨ラボとして、かばんや靴、ベルトをはじめとする服飾雑貨を主体に、テーマパークや商業施設向けグッズの依頼にも応じてきた。キャラクターグッズのニーズが増えてきたことから2019年にラボ名を変更し、現在は17人体制で「年々増えている」という依頼に対応している。

 Tシャツやタオル、帽子、マフラー、かばん、キーチェーン、ボールペン、カチューシャ、サングラス、縫いぐるみなど、繊維と非繊維を問わず、食品を除いた多種多様なアイテムの試験・検査を行う。物理的な試験と化学物質に関連する試験の両方に応じている。

 34年にわたる知識と経験に裏付けられた技術力を生かして顧客を支える。消費生活用製品安全法の改正で25年12月から3歳未満向け乳幼児用玩具の規制が始まったが、玩具の仮装用コスチュームや縫いぐるみ、ガラガラ(ラトル)などの依頼も受ける。

 販売前の商品を扱うことが多く、守秘を徹底しているのもキャラクターグッズラボの特徴と言える。検体は、ラボの中で施錠された空間で保管・管理し、他部署のスタッフは立ち入れない。検体の処分も厳格に管理して行う。

〈ボーケン/燃焼性評価で豊富実績/米自動車安全基準に対応〉

 ボーケン品質評価機構(ボーケン)は、繊維製品や産業資材の安全性・快適性を評価する幅広い試験を実施している。特に防炎・難燃などの安全性試験や暑熱環境下での快適性評価の需要が高まる。

 産業資材分野は繊維だけでなく樹脂やゴム類の燃焼性評価に豊富な実績がある。自動車のフロアマットやシートのほか、インパネなど内装樹脂も米国の自動車安全性基準「FMVSS302」に基づく燃焼性試験を実施できるほか、完成車メーカーそれぞれの難燃性試験規格にも対応する。

 一般繊維製品でも防炎・難燃への関心は年々高まってきた。ユニフォームやインテリア、アウトドア用途に加えて、最近ではモバイルバッテリーケースや工事用シートなどの試験依頼も増加している。これらに対して日本防炎協会の防炎性能試験基準に基づく評価や、日本産業規格(JIS)、繊維評価技術協議会の規格に対応した表面フラッシュ燃焼性試験などを行っている。

 猛暑が常態化する中、熱中症対策製品の評価ニーズも高い。電動ファン付きウエアやペルチェ素子付きウエア、水冷式ウエアのほか、気化冷却や接触冷感、持続冷感効果が期待される製品に対して「JIS L 1927」に基づく接触冷感性評価や暑熱対策関連の評価を行い、機能の〝見える化〟に取り組む。

 土木建築分野でもキセノンウェザーメーターによる促進耐候性試験に対応しており、屋外で長期使用する資材の耐久性評価を通じて安全性と品質確保を支える。

 試験だけでなく表示や商品企画に関する相談にも対応し、開発から販売まで一貫したサポートに力を入れる。

〈PCM生地の温度緩衝評価/一部で試験受け付け/QTEC〉

 日本繊維製品品質技術センター(QTEC)は、PCM(相変化材料)を使った生地の温度緩衝機能評価方法を開発した。生地に発熱体を圧着・離脱させた時の生地温度を測定し、熱応答性を評価する。現在は、温度緩衝能力の指標をどのように設定するか検討中であるが、一部試験の受け付けを始めており、早い段階で本格展開できる体制を整える。

 PCMは、物質の状態(相)が固体・液体・気体に変わる相変化時にエネルギーの放出または吸収を行い、利用可能な程度の発熱もしくは冷却ができる物質の総称。PCMを活用した繊維関連製品も以前からあるが、機能の高度化もあって注目度が高まっている。

 PCMの熱特性評価には示差走査熱量測定(DSC)が用いられてきたが、実使用環境における温度応答を直接評価することが難しいという課題があった。QTECが開発した評価方法は、繊維製品に人が触れた状態に近い条件で温度応答特性の評価を可能にした。

 試験方法自体は難しくないとするが、センサーや生地に当てる熱源に工夫を加えるなど、独自性を高めている。6月に京都女子大学で開かれた日本繊維製品消費科学会でポスター発表を行い、スポーツアパレル企業や繊維商社などが関心を示した。

 今後は文献調査に加え、今回の評価指標と体感との相関を検証する。寝装品を中心に問い合わせが増えているため、早期に本格運用を始める。福井試験センターが対応し、納期は5営業日を想定する。