中国で動きだした“新”東洋紡グループ(後)

2026年08月07日 (金曜日)

日本製生地の内販本格化

 機能材事業を移管したことで、東洋紡〈上海〉投資の主力事業はフィルム事業となった。「日本での高機能産業用フィルムの増産を踏まえ、中国での拡販を確実に進めることを使命にしている」と、川田和之董事長は話す。

 一方、衣料繊維事業はこれまで原料販売中心だったが、近年日本の産地と連携した生地の中国内販を本格化させている。

 新たな収益源として期待するのが、地場スポーツ・アウトドアブランド向けの販売だ。北陸産地など高度な編み立て・染色加工技術を持つ工場で生産した日本製の高機能編み物を、地場ブランドへ直接、あるいは日系商社経由で供給する取り組みが2025年から本格始動している。

 背景には地場ブランドのニーズの高度化がある。中高級市場へのシフトが進む中、現地のサプライヤーでは再現しにくい日本独自のアイデアや製法、品質保証へのニーズは高い。川田董事長は「日本メーカーが持つ発想力は固有の強み。その強みを中国市場へ広げることが、日本の産地を守ることにもつながる」とみる。中国を日本の開発技術を維持するための重要市場と位置付け、日本の産地と一体で成長を図る。

 主力素材の深掘りも進める。日本国内のアパレル用途では縮小傾向にあるアクリル繊維だが、中国では独自の肌触りの良さがヨガウエアなどの女性向け衣料で再評価されており、アクリル「エクスラン」は高級インナー向けを中心に用途を広げている。消臭機能を持つアクリレート素材も、これらとの混紡素材として提案を強めている。

 一方で課題は、日本品質と中国市場が求めるスピードの両立だ。仕様変更などを現地で完結できる開発機能を強化する。日本品質を維持しながら、中国市場が求める開発スピードに対応できるかが、今後の成長を左右する。

(上海支局、おわり)